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中学受験を偏差値ではなく「飛び級レベル」で考える

中学受験を、「中学の受験」と「中学受験勉強」に分けて考えてみようというシリーズの第2回。


中学受験は「3年飛び級を目指す世界」


習い事をするか否かを考える際、習い事をすることで技能が上がる楽しみと、試合に出て上位を目指すことのように、切り分けて考える必要があります。サッカーを例にとると、プレーをすることで上達し体力がつくことは間違いなくプラスですが、試合結果にこだわりすぎると勝率が低いときに苦しさを感じてしまいます。

中学受験をするか否かを考える際も同様で、中学受験勉強によるプラスと、中学受験しての合否の結果は、密接に絡みつつも分けても考えた方が良いと考えています。
そこで今回は、受験する中学を偏差値ではなく「飛び級レベル」という視点で語ってみてはどうか、という提案です。

飛び級レベルの基準

中学受験界では偏差値が4種類あり、ここでは四谷大塚における偏差値(Y)を基準にして話を進めます。偏差値の詳細については、以下の塾の説明が参考になります。 https://tomei-riso.jp/matsumoto/course/common-sense/page03/

このエントリでは、以下のように考えることを提案します。

  • Y60以上: 「3年飛び級」レベル

  • Y50以上: 「2年飛び級」レベル

  • Y40以上: 「1年飛び級」レベル

なぜ飛び級レベルと捉えるのか? 高校受験との比較

中学受験、特に難関校受験は、公立高校の試験レベル(英語と二次方程式を除く)に匹敵する内容を、小学6年生がこなしています。つまり、小学6年生に中学3年生への3年飛び級を課しているとも言えます。

例えば、高校受験用の塾教材と中学受験用の教材を比べてみると、英語と方程式を除いてほぼ同じ内容が扱われています。それどころか、中学受験の方が難しい場合もあるというのが、高校受験と中学受験の両方を教える塾の先生の意見です。

実際、SAPIXの中学受験教材を見ると、理科は中学生向けのジュニア理科資料、社会はジュニア歴史資料とほぼ同じ内容です。

各偏差値レベルの飛び級の目安(案)

3年飛び級レベル (Y60以上)

中学受験の難関校(御三家より1~2ランク下のレベル、Y60程度)

目安として、次のNoteで掲げられている進学実績

だいたいこの辺りが中学受験を考える層が「うちの子、御三家とは言わないけれども…」 高い塾代(3年間で250万円)を払うなら、行って欲しいと思う「”小4時点の”志望校のボリュームゾーン」ではないでしょうか?

このレベルを目指す場合、まさに高校受験の内容を小6までの3年間で学ぶことになります。このレベルを目指すには親の本気の伴走が不可欠です。偏差値58の壁を超えた子どもたちは、単元の掛け合わせや応用ができるレベルに達しています。

2年飛び級レベル (Y50以上)

このレベルでも十分に小6の学力としては高い水準であり、「必要な範囲の単元ごとの理解」が終わっている状態と考えられます。

自分の子と「親自身」が3年飛び級ペースは辛いなと思うのであれば「偏差値58の壁」を無理に超えなくても、単元ごとの完成度で目指せるのがY50台です。
最近だと「中受ボリュゾ」なんて呼ばれつつあるゾーン。
それだって十分、小6の学力としてはすごいと思うのです。

高校受験で言えば、「必要な範囲の単元ごとの理解」はだいたい終わって、これから中3で総合演習に入れる」くらいではないでしょうか。
このあたりを「2年飛び級」レベルと言ってイイのではと思います。

具体的な学校と進学先は以下の「中学受験ウォッチ」さんの比較がすごい。

あと、「偏差値58の壁」については以下にまとめてもらったので、『二月の勝者』未読の方はどうぞ (https://www.genspark.ai/agents?id=340d1589-cb3e-413d-8cc0-13839ccfa836


1年飛び級レベル (Y40以上)

Y40レベルの子どもたちも「1年飛び級」と言える力をつけているといえるのではないでしょうか。特に国語は、大人が読む文章を解釈し、設問に答える内容です。このレベルに達している子どもは小学校の上位2〜3割に入ると言えるでしょう。

四谷大塚の過去問データベースを覗いてみると、その難易度が実感できると思います。

 


最後に。あくまで「飛び級」

中学受験を「偏差値」ではなく「飛び級レベル」として考えると、その厳しさと同時に「中学受験勉強」が決して無駄にはならないことを感じられるのではないでしょうか。この視点で中学受験を捉えてみませんか?

なにより、本当は、親が「私は中学受験の問題は分からないから~」と言っているのは不思議です。Y60以上の算数は奇形化してて仕方ないですけど、あとの国語・理科・社会は、「飛び級」ではあれど中学の範囲です。一緒に勉強すると、子供もやりがいがあると思います。

#ちなみに、Felo.aiや、GenSparkに検索させたところ、現時点では似たエントリはなさそうです。

「中学受験」がまじかに迫るいまだからこそ、「中学受験勉強してくれてありがとう」と言いたい


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