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トヨタのサスペンションの除電特許 その4

トヨタより先にやっていたのでは?

ボルト・ナット形状で除電するのを始めたのは、2013年の後半か遅くとも2014年の初め。
私は自分のオートバイや車でマフラー、サスペンション(足周り)、キャブ、エンジンもやっていて、その後も範囲は広まって行きました。
もう、12年前の事です。特許を持つ友人のお客さんでトヨタのディーラー勤務の人がいて、既にディーラーに卸していましたから、2014年にはディーラーのアフターマーケットパーツとして、販売されていたのです。
ちなみに解説しているこの特許の申請日は2015年7月3日です。もしかするとその効果を知って、「他の方法で除電出来ないか?」と研究を始めたのかどうかは分かりません。ただ、事実として遅くとも2014年には製品として販売が始まっていました。 

何台もの車で走行テストをしていくと、どこでもいいから付ければ効果があるのではないというのが分かって来ました。つまり、車のプラットホームによって実際に付けて走らなければ分からない、静電気をどこから放電するのかを特定する必要があるのです。
どうでしょう、巷には特許を模倣(犯罪です)して自慢している輩がいますが、このような事を知っている人はいません。適当な箇所で除電すれば必ず効果がある訳ではないのです!
それがあるので、「これ、売りたい」とは思っていましたが、私は手を出さなかったのです。車ごとに取り付ける場所が変わるのであれば、ディーラーか同型車の専門店でないと無理だからです。

12年も除電チューニングをやっているので、現在ではデータが蓄積されてどの順番でやればいいか、どこが効果が大きいかというのがほぼ把握出来ています。ですから、まずは走る為に一番重要で間違いがないタイヤを使ってもらって、その先も興味があれば経験に基づいて、次の除電箇所のアドバイスをしています。
遠回りに思えるかもしれませんが、ユーザーさんも取り付けてテストする事で、除電の知識や面白さが感じられるのです。
普通は欲しいと思って買ったら、自分で取り付けるか取り付けてもらって終わりですが、除電の場合は取り付け方で体感が変わる事も良くあります。
なので、アフターフォローも重要。ユーザーさんとのやり取りで毎日数時間を費やしています。
模造品を販売している輩は売り逃げですから、こんな面倒な事はしませんし、そもそも体感出来るはずもなく知識もないので、アドバイス出来るはずがありませんね。
いつも通り、太文字が特許文献、その下に解説を記載します。

【0017】
    上記態様によれば、自己放電式除電器はダストブーツの表面に設けられており、ダストブーツは金属よりも電荷が帯電し易い樹脂にて形成されている。更に、ロッド部及びダストブーツは、ロッド部からダストブーツへ電荷の移動が可能であるよう接続されている。よって、自己放電式除電器によりダストブーツが除電され、ピストンに帯電する電荷がロッド部を経てダストブーツへ移動するので、作動液体に帯電する電荷がピストンへ移動する。従って、作動液体の帯電量を減少させることができるので、作動液体の粘性が過剰な電荷の帯電に起因して高くなり減衰力が過剰になることを防止することができる。

自己放電式除電器(トヨタの除電の特許名)はダストブーツに貼られ(下図90D)ていて、ダストブーツは金属よりも帯電し易い樹脂(ゴム製)で作ってある。
これは電気が通りやすい金属から流れて、電気が流れにくいからこそ帯電する樹脂で除電する。
マジ軽ナットタイヤ用はエアーバルブに付けますが、ホイールとの金属同士の接触がないのを不思議がる質問がありました。電気だから接触していないと流れないと思われたようですが、これと同じ理屈です。導通ではなく帯電ですから。
更にサスペンションのロッドからダストブーツへ静電気が流れる形で固定されているので、作動液体(通常はオイル)に帯電した静電気がピストン➡ロッド➡ダストブーツと流れ、自己放電式徐電器で除電される。この結果、作動液体の帯電量を減少(除電)させる事が出来るので、作動液体の粘性が過剰な電荷の帯電が原因の減衰力が過剰(動きが悪くなる)になるのを防止出来る。
帯電によりオイルの粘度が高く(硬く)なるので、動きが悪くなる。本来は路面や車体からの振動に伴って細かく動いて吸収しないといけないのですが、それがぎこちなく動く。
言葉で言うなら、カクカクと動くようになる。それを除電すると、オイルが元の粘度に近くなる事でスムースな動きになる=走行・操縦安定性が良くなる。

【0019】
  上記態様によれば、自己放電式除電器は、複筒型のショックアブソーバにおいて、車両が標準の積載状態にあるときの内側シリンダと外側シリンダとの間の作動液体の液面よりも下方にて外側シリンダの表面に設けられている。よって、自己放電式除電器が、内側シリンダと外側シリンダとの間の作動液体の液面よりも上方にて外側シリンダの表面に設けられている場合に比して、内側シリンダと外側シリンダとの間の作動液体を効率的に除電することができる。従って、内側シリンダを効率的に除電し、内側シリンダ内の作動液体に帯電する電荷を効率的に内側シリンダへ移動させることができるので、内側シリンダ内の作動液体を効率的に除電することができる。

複筒型ショックアブソーバは下図のような二重構造になっています。それを頭に入れて読まないと理解出来ないでしょう。14Rがロッド、14(M)がピストンです。

車両が標準的な積載状態の複筒型(二重構造)のショックアブソーバの場合、内側シリンダーと外側シリンダーの間の作動液体の液面より下側の表面に自己放電式除電器を取り付けている。液面より下側に取り付ける事で上側に取り付ける場合に比べ、内側シリンダーと外側シリンダーの間の作動液体を効率的に除電出来る。
これは何度も書いている静電気の「地産地消」と重なります。帯電している至近で取ってあげる、これがもっと効率の良い除電なのです。
従って、内側シリンダーの作動液体の静電気を効率的に内側シリンダーに移動させる事により効率的に除電する事が出来る。
いやぁ、ややこしい表現ですね。これを特許庁文学と呼んでいます。一般の方が読んでも理解しやすいように翻訳しています。解説を全て行うと膨大な量になるので、ポイントとなる部分や、訳して理解出来る部分を選んでいます。【0021】
  上記態様によれば、自己放電式除電器は、複筒型のショックアブソーバにおいて、特定の部材である外側シリンダ及びエンドキャップの少なくとも一方の表面に設けられており、電荷が内側シリンダから特定の部材へ移動可能である。除電器によって特定の部材が除電されると、電荷が内側シリンダから特定の部材へ移動し、内側シリンダの電位が低下するので、内側シリンダ内の作動液体に帯電する電荷が内側シリンダへ移動する。従って、
内側シリンダ内の作動液体の帯電量を減少させることができるので、作動液体の粘性が過剰な電荷の帯電に起因して高くなり減衰力が過剰になることを防止することができる。

自己放電式徐電器は復筒型のショックアブソーバにおいて、外側シリンダー及びエンドキャップの少なくとも一方の表面に取り付けられていて、静電気が内側シリンダーから移動可能となっている。
特定の部材で除電気を除電すると静電気が伝わって来て内側シリンダーも除電されるので、作動液体➡内側シリンダーと静電気が伝わり帯電する事に起因して作動液体の粘度が高くなる(硬くなる)事により、減衰力が過剰になる(動きが悪くなる)のを防止する事が出来る。
要は帯電によりショックアブソーバー内のオイルが、メーカー設計時のオイル粘度より硬くなるので動きが悪くなり、突き上げや凸凹のショックの吸収する能力が低くなる。
それを除電する事で、設計の粘度に近づき動きが良くなる=操縦・走行安定性が高くなるという当たり前の事になります。
トヨタの特許と除電方法は違えど目的は同じ事をしていました。マジ軽シリーズでサスペンションを除電する事で、内部の作動液体(オイル)を除電出来るのです。
マジ軽ナットでの除電は汎用のものを使用します。ショックアブソーバのネジは殆どがネジ部が出ているのでそこに取り付けます。
小学校の授業で学んだ、エボナイト棒を毛皮で擦って静電気を発生させる実験を思い出して下さい。先生が静電気を起こすのに擦った回数はせいぜい10回前後でしょう。
サスペンションの場合、ロッドやインナーチューブがエボナイト棒、毛皮がオイルシールやオイルの流動帯電と考えると分かり易い。
例えば10km走るのにどれだけ動くのか、もの凄い回数サスペンションが伸縮していますね。それ以外にも車体からも静電気が流れて来るのです。
それを下の写真のようにする事で、ロッドやインナーチューブ自体から直接放電させてしまうのです。わざわざ、ゴムブーツやプラスチック部品で待ち構える事なく、先に除電してしまうのです。
もちろん、ゴムブーツやプラスチック部品からも静電気は流れて来ますから、それも除電されます。

ヴェゼル e-HEV 4WDのフロントサスペンション
ヴェゼル e-HEV 4WDのリアサスペンション

             スタビライザーリンクへの取り付け

スタビライザーのネジ部にも取り付けるとハンドリングが改善します          
  単体のショックアブソーバーへの取り付け

先にサスペンションの除電をしていて、後に開発したマジ軽ナット タイヤ用でタイヤが振動をより吸収するようになり、相乗効果となりました。

サスペンションを除電した事で、細かな凹凸でもスッと動作するようになって走りやすくなりました。マジ軽ナットシリーズは取り付けるシーンによってボルト・ナット止めやバンド式が選択出来ます。

ボルト・ナットが取り付けられない場合は、バンドを巻く方法もあります

単にオイルが帯電して動きが悪くなるだけではなく、サスペンションはオイルが漏れないようにオイルシールでロッド(シャフト)を締めつけています。ここでは摺動(擦れ)によって静電気が発生します。小学生の時に遊んだ、下敷きを擦ると静電気が発生して髪の毛を引き寄せたりするのと同じ理屈です。
これも動きが悪くなるので除電してあげる。とても理に適った安上がりのチューニングですね。
導電性の低い(電気を通さない)プラスチックやゴム等は電気を通さないのだから帯電するはずがない」と誤解されている方が非常に多いので、是非下の記事を読んで下さい。どなたでも経験のある事を例にとって、分かり易く記述しています。

本来の目的ではありませんが、これからの乾燥した季節に車から降りた際の「パチッ」となる嫌な放電も軽減されます。電気を使わないから1日中放電し続けてくれます。

某自動車メーカーのアフターマーケットパーツでパチッの防止目的だけで4千円位で売られていますから、走行性能が良くなった上でそれも軽減出来るなら安いものです。
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