【今日の臨床】左臀部に痛みと痺れが出る80代女性。後編
※写真は施術中のイメージ写真で、本文とは関係ありません。
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左手を触診すると、有鈎骨辺りに強い緊張がありました。
この有鈎骨は、足にある立方骨と兄弟骨となるため、相関関係にあります。
つまり、左手の有鈎骨の硬さが、左足の立方骨に現れていたのです。
そして、左手環指のMP関節の癖を診ると、手のひら側に下がる癖がありました。
またよく診ると、MP関節が下がるだけでなく、左手環指中手骨が内転する(中指側に寄る)癖もありました。
これらの癖により、左手有鈎骨の位置がズレ、強い緊張が出ていたのです。
これは、恐らく美容師という仕事をする中で、そのような指の使い方をしているのだと思われる。
左手環指を少し反らせ、中指に寄せながら何か行っているのでしょう。
しかもそれが、美容師歴50年以上行われてきたはずですから、身体に染み付いた癖となっているはずです。
以前、右太腿の付け根が痛む40代男性でも似たような臨床がありました。
その男性と同じで、下肢と繋がりのある環指がズレたために、左股関節に強い緊張が出たのです。
改めて環指と身体の繋がりをお伝えすると、
末節骨↔︎足
中節骨↔︎下腿部
基節骨↔︎大腿部
DIP関節↔︎足関節
PIP関節↔︎膝関節
MP関節↔︎股関節
上記のようになります。
左手環指は、左下肢と繋がりがあるので、左手環指の影響が左下肢に出るのです。
この女性は、MP関節が手のひら側に下がり、中指側に寄る癖が出ていたために、関連する左股関節に影響が出たということです。
そして、左股関節がズレることで、梨状筋の張りが強まり、痺れと痛みが出たのです。
この女性の痛みと痺れを取るためには、左手環指のズレを戻す調整が必要です。
左股関節をあれこれ施術しても、効果は出ません。
なぜなら、左手環指のズレが原因だからです。
手指は物を掴んだりするだけでなく、身体と密接に繋がっているのです。
これを理解していないと、この女性のような症状は根本改善することは出来ないのです。