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イケメンがイケメンを拾う映画

ロードムービーを殆ど見ていない。
嫌いじゃない、でも好きではない、きっと食わず嫌いなんやと思う。つまらんかったらどうしよう?とか、寝てまうかもなぁ?とか色々考えた結果、選ばない。
単調なものが得意じゃないのだ。
ロードムービーでも「ノッキン・オン・ヘヴンズドア」は好きやけど。

ストリートキッズのマイク(リバー・フェニックス)と、市長の息子で家出中のスコット(キアヌ・リーブス)が、マイクの故郷のアイダホへ記憶の中の母親の真実を探しに行き、道を違えていくロードムービー。
男娼、ドラッグ、格差社会、家庭環境・・・
真面目に語りたい深い内容の話だが、まずは脱線したい。

皆んな落ち着いて聞いてくれ。
私のリバー・フェニックスが美しい。

若きキアヌとフェニックス

顔面が国宝すぎる。
しかもフェニックスは、みんな大好き伝説の少女漫画「BANANA  FISH」のアッシュ・リンクスのモデルになった男。
それだけで観る価値ある。とりあえず私にはある。正直に言う、だから観た。
このロードムービーが例えつまらなくてもフェニックスが美しいし、眼福すぎて満足のあまり寝てしまっても、それを理由にもう一度観ればいい。
もうロードムービー苦手とかゆうてられへん。

さて、ちょっと落ち着いた。

マイク(フェニックス)はナルコレプシーを患っていて、強いストレスや緊張を感じると眠ってしまう。道路の真ん中でも、男娼の仕事(💕)の途中でも眠ってしまう。
そんなマイクの親友のスコット(キアヌ)は、市長である父親への反抗で家出した筋金入りのボンボン。一人息子だから遺産も地位も名誉も約束されてる。
この設定やと、コンプレックス刺激されたりあるんちゃうか?と予想するけど、2人は親友。イケメン同士の親友はパワーワードです。

見所①スコットが王子様すぎる。

マイクのナルコレプシーは時に自主的に起きる事もあるので、映画の大半倒れてる。ほんま仮面ライダーWの菅田将暉くらい倒れる。
そこにスコットが現れて拾っていく。たまに放置されるけど、一応安全なところ移動させてくれて、自分のジャケットをそっとかけてくれる。しかもしれっとそのジャケットを着るマイク。彼シャツならぬ、彼ジャケ。
惚れるなぁ、これは。と思いながら見てたら、奥さん事件です。
マイク、マジでスコットに惚れる。
普通に恋します。純粋が過ぎる。守りたい、その曇りなき眼。

見所②悶絶級の告白シーン。母性引きちぎれそうになるから皆んな気をつけろ。

こんなに楚々と出来るものか?危う過ぎる初さに見てるこっちもモジモジ必須のマイクの告白に対し、正論で断るスコットの手厳しさは一旦置いておこう。
全体的に自由に撮影されたそうだが、告白シーンはフェニックスのアドリブだとか。
思い付きであんな胸キュン作れんのか?若きフェニックスには私に無い装備が多過ぎる。
しかしアドリブの告白のお陰で、マイクの発作って何回かに一回はスコットの気を引きたかったんちゃう?の邪推に繋がり「わかるー学生時代好きな子にやったー」の謎の共感が生まれ、一気に内容が入ってくるし、マイクめっちゃ応援してまうし、奇跡の展開を期待してしまう。
と、まぁそんな誰もが一度は経験する乙女心を、フェニックスは蘭の花に擬態するハナカマキリくらい自然に演じてます。

若さゆえの反抗や、孤独に向き合ってくれる人の温かさ。大人に成りきれない青さ。
アイデンティティの確立や、何よりも「家族」が重くのしかかる。
全てが約束され恵まれているスコットより、救いようがなく社会的弱者であるマイクの方が人間臭く、感情が豊か。後半のどこか鬱屈としたスコットと、マイクの対比を見ていると、不幸の基準や幸せに生きることの価値があやふやになる。
シンプルで美しい映像の中に、重量級の問題がぎっしり詰まっているが、単純にストーリーだけ追っても面白いし、論争しあっても楽しいし、戯れるイケメンに悶絶してもいい。多角的な観方が出来る視野の広い作品だ。
ノッキン・オン・ヘヴンズドアが「死ぬ準備」ならマイ・プライベート・アイダホは「生きる準備」の映画だと思う。

2人が道を違えなかったら?と考えたら最後の車がスコットで、BLになる世界ですが、そんな異世界は存在せず、奇跡の展開は裏切られ惨敗。そんなハリウッドの厳しさにも触れれる、社会の荒波の様な話です。

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