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眠れぬ夜に読むBL小説

季節の変わり目で、心や身体がざわざわする夜にちょっとひと笑いして、ゆっくりおやすみなさい。

最後にアロマの話もあります。
昔その界隈でブイブイいわしてたので気になる方いたら記事作ります😳

就寝準備、子供の寝かしつけ、夜の執筆の筆休め、暇つぶし。
理由はなんでもいいんです。

そんで、別に何時に読んでもいいんです😘


パンツはどこに消えた?


有時ゆうじさんとお付き合いを始めてしばらくは主寝室に入れてもらえなかった。

仕方なく俺はゲストルームで寝起きしてる。

抱きついても、足を踏んでも、キスの最中に騙し打ちして鼻の穴に指を突っ込んでも、腹をかかえて笑ってくれるし、どの部屋で何を触ってもなんも言わねぇのに、この部屋に“2人で入ること“は許してもらえない。

しかもこの部屋は防犯の為に中から鍵がかけられる。

もう、どうしようない。


「これ、大丈夫?」
「何が?」
新しい冬用のパジャマに着替えた有時さんは、今夜もすっかりリラックスしている。

「スウェット派の俺からすると、こうゆうパジャマはやらかすぎて肌につくし、裸みたいでなんか不安」

しっとりと有時さんの体のラインに乗る布をつまんでちょっと引っ張ると、くすぐったそうに体を逃がす。

「スルスルしてかゆそう」
「軽くて心地いいよ。俺あんまり締め付けたり重さがある方が嫌なんだ」
「俺は重い方が安心するから布団も真綿まわたがいい」
「俺は羽布団。ほら、やっぱり俺達は別に寝るべきだろう?」

掛け時計をチラ見して「さてと」と、立つと有時さんは寝る準備にはいる。
一回、主寝室に入って出てくると、歯磨きのためにそのまま洗面台に向かう。

扉がちゃんと閉まらず、キィっと少し開いた。
その音に足を止めたから「閉めとくよ」と声をかけて立ち上がる。

寝るまでアロマを炊いているらしく、扉の前に立つとふんわり眠気をさそうにおいがした。

ちょっとクンクンして中をチラ見。

いつもと変わらない、紺色の寝具のキングサイズベット。
サイドテーブル、加湿器、芳香機、オレンジ色にぼやっと光るベットランプのほの暗い床に、何か落ちていた。

「?」

黒い、布?

軽いというより、柔らか過ぎて重みを感じる、シルクのような素材に見える。
大きさ的に・・・女の人のパンツくらい。
「いやまさか!」
男性用のビキニでもこのくらいか。

パタン。

靴下かなんかと見間違えだろ。
有時さんいつも普通のボクサーだし。

ソファに戻ってスマホを触ってると、戻ってきた有時さんはテレビで天気予報をじっくり確認する。

この人は寝る前にスマホを見ない。

俺は気にしないから、スマホで先に予報を見てやる。
「晴れっすよ?」
「そのようだな」
見るからに脱力した顔でぐいっと伸びをして。

「んっ!・・・あぁぁ〜、っふぅ・・・。俺は、寝る」

そのままあくびをして、首を鳴らす。
俺がスマホ片手にそれをじっと見ていたのに気付いていたのか、やれやれと腰に手を当てた。
「テレビ見ないなら消すよ?」
リモコンを取ろうと手を伸ばと、今度は動いた体の胸元に視線がいく。

本能ってやつなのか、女の人のスカートの三角ゾーンとか、胸の谷間とかも目がいくけど、相手が男でもガバッと開いた服の隙間はついつい見ちゃう。

「あ」
「ん?」

ざっくりと開いた胸元がちらちらして、思わず口が開く。
これが狩猟本能ってやつか。

「まだ見る?」
「はい、出来れば・・・有時さんを」
「ハハっ、そうじゃなくて!」

笑いながらテレビを消すと、ソファテーブルに手を着いて少し離れたリモコン立てにそっと置いた。

前のめりになるとパジャマが重力に引っ張られて下がり、体のラインが気前よく見えた。

腰をしならせ、ついた左手の肩甲骨がういて、背骨のくぼみが線を引いて、広背筋が強い有時さんの少しのくびれと、骨盤。
そこからの、お尻のラインも割れ目の線までくっきり。

くっきり?

主寝室の床に落ちた、あの黒い布が再び浮かぶ。

「質問です!」
「はい、なに?」
ついでにコップに残った水を飲みきりながら、俺を振り向く。
「パンツ、はいてますか?」
どう見てもパンツのラインが、ない。

有時さんは俺をきょろっと見て、微笑む。
「まだ起きてるならグラスを洗っておいてほしいな」
「ハイ・・・」
少し気にしたのか、お尻のところをすっと触って、割れ目のラインのところの布をつまむと、するっと生地を整えて。
「おやすみ」
え?

主寝室に入ってしまった。

「おや、すみなさい・・・」
閉まった扉に声をかけ、1人でぼんやりと見つめる。
コップをキッチンのシンクに置いて、もう少し考える。

ノーパン?
あんなペラペラのパジャマでノーパン?

だめだろ、そんなの。
気になる。
めっちゃ気になる。

ざぁっとコップを洗ってもう一度リビングから主寝室の扉を見つめる。

禁断の扉。

いつもなら閉めた後に“カチ“って内側から鍵をかける音がするのに、今日はしなかった。

開いてる。

ノーパンの年上の恋人が、ちょっと笑って寝室の鍵を開けている。

どうする?GOする?

「・・・コホッ・・・」

中から乾いた咳が聞こえた、まだ起きてる。

ゆっくりとドアノブに手を伸ばして、やっぱりと引きながら指を丸める。

これは夜這いではない。
ただの確認作業だ。

①床のあれはパンツなのか。
②今現在はノーパンなのか。
③今夜はオッケイのサイン。

よし。
まずはノックしないと。
軽く握った拳を顔の高さまで上げて、ちょっと中指の関節を立てて。
聞こえないように「ふ〜ッ」と息を吐いた。

瞬間。

キシッ・・・カタン。

う、動いてる。
中でまだ起きて動いてる。
夜、1人でナニする?

NO!!
開けちゃいかん、プライベートタイムかもしれん!!
と、思いながら聞き耳を立てる。


「はぁっ。」

息。

「んんっ・・・」

声?

「・・・ぁ」

声!!


落ち着け俺。

落ち着け。
ここの主人あるじは有時さんだ。
自分の家だから何をやってもいい。

ハナクソほじっても、全裸で側転しても、大麻栽培・・・は、ダメだけど、何してもいい。

ゲストは俺だ!

だから、だから、窮屈なパンツを脱いで寝ても、いい。
脱いでイロイロあってももちろん、もちろんいい。

どうしよう。
気になる。
床のあれはパンツなの?
今はノーパンなの?
俺は誘われてるの?




「リキ?まだ起きてる?」

呼ばれた?!

ビクッとして扉から飛び退き、ビシッと背筋を伸ばす。

「ぅは、ハイッ!!」
「ちょっときて」

え?

「あ、あの、入っていいの?」

おずおず、って擬音が昔から謎だったけど、マジで今の俺、おずおずしてる。

「ん、きて?」

ふわぁ〜おぅぅ❤︎

スウェットの裾をギュッと伸ばして、髪を撫でつけ咳払いし、肩を軽く上げ下げして心を落ち着ける。

最後に肩の埃をひとはらい。
コンコン、と一応ノックして。

「し、失礼します」

ノブを回した。

禁断の扉の向こうでは、オレンジのベットランプだけがぼんやり光ってベットを照らし、床にペタンと尻をつけて片膝を立てた有時さんがこちらを見ていた。

サッと床を確認したが、黒い布は回収されている。

「どうしたんですか?」
「ちょっと、ベットの下に転がってしまって」
「え?なにがっすか?」

おじゃまします、ともう一度断ってから中に入り、しゃがんで一緒にベットの下を覗き込む。

薄暗い室内のベットの下は見えづらすぎだけど、ジッと目を凝らすと奥に白い丸っちょい何かがぼんやり見えた。

なんだあれ?

こけし?
太短い・・・拳握った腕くらいの太さで・・・

・・・❤︎

馬鹿野郎!なに考えてんだ!


ドンッ!!


拳でみぞおちを叩いて自制。
突然自分を殴って嘔吐えずく俺を、有時さんは二度見しながらジリっと下がって安全距離を保った。

まずい、怯えさせないために自制したのに警戒されてどうする。

「大丈夫です!有時さんを襲う悪霊はさりましたから!」

だから何?って顔に書いてるけど、強行突破する。

「さぁ、安心して続きをしましょう!」
まだ獣を見るような目で俺を見ながら有時さんはベットの下を指差した。
「て、手が届きそうで届かないんだ」
有時さんを困らせる悪い・・・いや、有時さんの寝室に潜り込める羨ましいあいつを取ればいいんだな。

ふぅ、よし。

・・・。

「質問です!」
「はい、なに?」
「確認までなんですが、あれなんですか?」

いやもう、オモチャでも何でもいいし、男同士だし、恋人同士だし、疑問を先にどうにかしよう。
無理だ、イロイロ!

充時みつじがくれた何かのキャラクター」

あー・・・なぁんだ。
じゃなくて!
はいはい、充時が好きな恋愛育成ゲームの進行役みたいなキャラクターがいたな。
白くてエリンギみたいな形の妖精?概念?かなんかの。
形がちょっとアレで、よく商品開発はGO出したな?って大爆笑したやつだわ。

「もちもちして触り心地が良いから揉みながら寝てる、最近」
「揉みながら?」
「揉みながら」

けしからん。

30過ぎの日本屈指のシューターがエリンギのぬいぐるみ揉んで寝てるだと?
かわいい。
てか、そんなのの代わりに・・・・

ドンっ!!

2発目の自制。

「ぅっオエ、・・ふう。即、救出します!」
「おね、お願いします」

俺の下心が光の速さで出来心とタッグを組んでしまう、

冷静になれ。
よし。

体が分厚いからベットの下には潜れねぇけど、腹ばいで上半身をベタッと床につけて手を伸ばしたらギリ届くはず。
「んッ・・!」
位置を見極めてグイっと手を伸ばすと俺の中にモチっとした感触がした。
ルンバのおかげでベットの下は綺麗掃除されていて、エリンギは埃一つなく綺麗に救出された。

「ありがとう」

手渡すと有時さんは満面の笑みで受け取り「もう離すまい」とエリンギの顔面が潰れるほどぎゅっと力いっぱい掴んだ。

握力ハンパないから引きちぎれないかハラハラしたし、なんか下半身がヒュッとした。

「みつがクレーンゲームで取ってくれたんだよ」
「有時さんもこうゆうの好きって意外ですね」
「俺は全く興味無いし、卑猥な形だし、一生涯こんなもの要らないって言ったんだけどな」
「ぅは、そこきっぱり言えるのマジ勇者っすねー」
「でも、年甲斐もなく仲直りの印!って聞かないんだもの、可愛くて断りきれないよな」

皆んな、ここに天使がおる。

すんげぇ筋肉で、握力やばい天使がおる。

「俺、有時さんのこと来世も大切にします」
「嬉しいが、来世はもういいかな」
「フラれた。今世で来世の俺がフラれた。でも今世はまだ付き合ってるから幸せです!」
「ありがとう。俺もリキが大好きなんだけど、年のせいかその、愛の圧力に胸焼けするんだ」
「俺の圧力で胃酸と愛情が過多っすね!」

一件落着すると有時さんは、横になるためベットに膝をついてのぼる。
すると、床に座った俺の目の前に自然とお尻が突き出され、ぴたりとした布地が大きめのお尻の丸さを見せつけてくる。

あ、自制、無理。

「・・・!」

理性と一瞬で決別し、俺はお尻を鷲掴みにした。

有時さんはビクッ一瞬体を揺らした。
そしてそのままベットにくしゃっと突っ伏して、両腕に顔を埋めて大笑いしだした。

「ふふふッ・・・!!あぁだめ、おかしい!」
「ん?」
「安心してください、履いてますよ!」

撫でてみたら手の平にちょっと、ラインの感触があった。

「ちゃんと履いてんじゃん!!」
「そんなに気になったの?」
「だってぇ!!ややこしい素ぶりするからぁ!」
「メーカーからサンプルで頂いたんだよ、履き心地を試して下さいって」

そう言って膝立ちになると長めの上着をまくってズボンをずらして見せてくれた。

形のいいお尻にショートボクサーの丈の黒いピタッっと薄い生地が皮みたいに張り付いている。

「こんなのほとんど履いてないじゃん!」
「はい、おしまい」

パジャマを整えてエリンギを握りしめた有時さんが布団に入る。
「電気、消して?」
はいはい、と立ち上がってふと気がついた。

「・・・鍵いいの?」
「閉めておいで」
「は〜い。・・・・って、え?これ、内鍵ですよね?」
「だから早く、閉めておいで」
「!!はい!!」

扉を閉めて、明かりを落として。
隣に潜り込むと目の前に有時さんの顔がある。
うっすら目を開けて、ちゅっとキスされた。

意識すると寝室はいいにおいがして、くらくらする。
隣で穏やかなあくびの音が聞こえて、

ふぅっと肩の力が抜けた。

「ふぁあ・・・ぁはふぅ」

俺もつられてあくびがうつる。

「くぁっ・・・はぁ」

「リキのあくびは犬と同じ音がするね」
「犬の音ってなんすか。
てか、床にさっき落ちてた黒い布?アレは一体・・・」
「黒い布?あ。シルクのアイマスクかな?ゆるいヘアバンドみたいな形で取れにくいのに、具合が良くないのか起きると床に叩きつけてるんだよね」
「野生的で好きです」
「ふふ、君は本当に・・・ふふふ」

ふとんの中がぽかぽかして有時さんの瞼が重くなる。

まばたきみたいにしとしとと、まつ毛が下まつ毛とかさなって、奥二重のラインがすっと見えた。

俺は声をしのばせて、ささやくみたいに声をかける。


「おやすみなさい。いい夢を」

「おやすみなさい」


野暮な後書き略して野暮書き

・・・これを読んで少しドキッとしたあなた・・・そんなあなたにだけ聞こえる声で話してます・・・

それはあなたの妄想力の成せる技、大切にしてください😳

細か過ぎてくて気付かない裏設定

眠りの質を考えたパジャマ

有時のパジャマは通気性と肌触り重視のシルクサテンの前開きタイプ。
リキは立体型で寝返りや動きやすさを重視した綿混のスウェット。

シルクのアイマスク

ある日、両親の寝室にポトっと黒いシルクの布が落ちていた。
え?パンツ?と思って焦った経験を書きました。
母がシルクのヘアバンドみたいなアイマスクを愛用していて、ただ落としていただけ。
ほんまに一見パンツに見える。
適度な湿度が保たれて目元のシワ予防にも最適だが熱く、睡眠時は五条悟みたいになる。

#なんのはなしですか


睡眠とアロマ

睡眠時のアロマは、一晩中たかず眠る前に芳香機を切りましょう
人工のフレグランスでなく、天然の精油がお勧め。
香りは鼻には薄くすぐに立ち消えますが、脳は香りを感知し続けます。

香りは脳に直接刺激を送るので有効的ですが、一晩中香りの中でいるとそれが原因で脳疲労に繋がるとも言われます。

リラックスにはラベンダーが有効と言われますが、柑橘の香りが好きならオレンジスウィートもおすすめ。
シダーウッドやヒノキの苦味のある渋い香は男性に人気です。
女性的な理由でイライラする時はゼラニウムが効果的。
自分の心身の状態に合わせましょう。

有時さまより一言。
「効能だけに惑わされず、実際に店舗に赴き、香りを嗅いで自分にとって心地良い香りを選んでください。
と言いますのも、効能に自分が合わせて不快な香りを選ぶとリラックスなど叶わないからです。
妥協するのは一般的な効能でなく、自分の好みです。

その上で、効能を確認して選んでください。
僕はサンダルウッドに少しスパイスを足したブレンドが好きです。

精油は読んで字の如く「油」、揮発性の高い可燃物です。
取り扱いに注意が少しだけあるので、購入前には必ずスタッフにたずねましょう。

それでは皆さま、よい夜を」

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