エンジニアと上手におしゃべりしたいプロマネが色々あってUIUXデザイナーになる決意をする編―UXデザイナーの独り言③
こんにちは。
かき氷LOVEだけど夏の間は店が混みすぎていけないから、涼しくなってきた今からがかき氷トップシーズンだぜの内藤です。
さて、前回は「はじめてのペルソナと、勘と気合のグロースハック実践編」をお送りしました。
今回はさらに話を進めて「どうしてもエンジニアと上手におしゃべりしたいプロマネの私が色々あってUIUXデザイナーになる決意をする編」をお送りします。
<過去作>
初回→https://note.com/trinitydesign/n/n9b29880ee7c7
前回→https://note.com/trinitydesign/n/n95fe82548745
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本音を言うとWEBデザインがやりたかった。
でもなぜか本能的に「デザインやる前にきちんとプロジェクトマネジメントを学んでおいた方がいい」と思い込んでいたのですね。
なので、ガッチガチのSI企業にプロジェクトマネージャーとして転職しました。
結果的に、この思い込みは大正解だったと思っています。
ですが、これは人生で一番きつく、辛い時代の幕開けでもありました。
コーディングはHTMLとCSS、簡単なJSくらいしかわからない元営業系ディレクターが、システム開発経験豊富なプログラマーやSEをマネジメントするなんて、並大抵のことではありません。
正直、はじめはまともに会話もしてもらえませんでした。びっくりするくらい全く信用してくれないのです。(考えてみりゃあたりまえです)
見かねた上司が「君、開発の基礎ができてないから、まずはしっかり勉強してきなさい」と、システム開発やプロジェクトマネジメントに関するあらゆる勉強会やセミナーを受けさせてくれました。
そして、案件中のわからないことは、とにかく全部エンジニアに質問していきました。
あまりに細かく質問するため「なんでそんな細かいこと聞くの!?」とブチ切れられ、なに切れてんだよと思って「一時の細かい質問の煩わしさと、わからないまま適当にプロジェクト進められるのとどっちがマシですか?」とブチ切れ返したこともありました。
(なんか知りませんが、このあとこの人と仲良くなりました。)
そんな自分の頑張りや、周りの協力や上司の見守り(ていうか我慢と諦め?)の甲斐あり「プロジェクトマネジメントとはどういうものか」「ソフトウェア開発とはどういうものなのか」を自分なりに理解、実践していけるようになりました。
なによりの成果は「エンジニア職から信頼を勝ち取るにはどうしたらいいか」を会得できたことです。
◆◆◆
そこそこ仕事ができるようになり、早速調子に乗った私はとある主張をしだします。
「デザインラボに入りたい」
当時、その会社には「デザインラボ」というデザインを研究する機関があったのです。
ゆくゆくはデザインの方に進みたいしぃー、仲のいい同僚や先輩が所属してるしぃー、私もやりたーい!
と、ものすごく軽い気持ちでわがままを言ってみたんですね。
信じられないことに、その軽ーいわがままを会社は受け入れてくれました。何を考えているのでしょうね。
会社側の真意は測りかねますが、ともかくデザインができるー!と思った私はウキウキとラボに参加しました。
しかしそこでは、フォトショップやイラレを使って「画面のデザイン」をしている人は一人もいませんでした。
そうです、みなさんはもうお気づきでしょう。
デザインはデザインでも「UXデザインラボ」だったのです。
UX?デザイン思考?なにそれ美味しいの?レベルだった私。
まさかそんなのは入ってくるとは思わなかったのでしょう。
ラボ長は「えー、画面デザインはやらないの?」みたいな顔してる私に最初ちょっと引き気味でしたが、懇切丁寧にUXデザインとは何か、その歴史と基礎=彼なりの理論を教えてくれたのです。
その内容に私は腰が抜けるほどの衝撃を受けました。
さて、一体どういう衝撃だったのか?
「え?それ、あたりまえじゃないの?みんな、そうやって仕事してたんじゃないの?」
そう、過去2作をお読みいただきますとお分かりかと思いますが、私は動物的勘ですでに「なんかそれっぽいこと」をずっとやってたんですね。
だから、UXデザインやデザイン思考が新しい考え方で、日本の企業の多くはそうやってサービスやシステムを作っていないと知って、殴られたような衝撃を受けました。
そうか、だから今まで、多人数でサービス提案とか開発とかやってて「なんだかやりづれえな・・・」と思ってたんだな。
前職は一人でやってましたが、大きい企業にきたら何人、何十人と一緒に開発をします。
その間、ずー---っとまわりの人たちと微妙に話が合わなかったんです。
「なんでうまくいかないんだ」
「そうじゃない、その進め方じゃうまくいかない、うまくいかないことだけは本能的にわかる」
「でも、どううまくいかないのか、どうすればいいのかを、みんなに説明できない・・・!!」
一人で動物的勘だけで仕事をしていたので、体系的な説明や合理的な説得、きちんとした言語化なんてできない。
間違っている方向に進んでいる集団が、案の定沈んでいくのを見ているしかできませんでした。
そういう形になってないモヤモヤが、具現化して現れてくれた、そんな気持ちになりました。
そうか、こうやって「ちゃんと説明」すればいいんだ。
よーし、これはもう、UXデザインの方に進むしかない!
この考え方は今後システム開発の常識になっていくはずだ!
たぶんな!
こうして私はついに、UIUXデザイナーになる決意をしたのです。
◆◆◆
※エンジニアとうまく会話できないと悩んでいるプロマネさんやデザイナーさんへ。
もし皆さんの中に、なんかエンジニアとうまく会話できないーと悩んでいる方がいましたら、烏滸がましいですがほんのちょっとだけアドバイス的なものを・・・。
とにかく
「私、仕様を把握したいんです!」
「あなたの仕事に興味があります!理解したいです!」
という、エンジニアリングに対して前向きな姿勢で話しかけましょう。
そして、どうせ話すなら本当に理解しちゃうと吉です。
エンジニアとも仲良くなれるし、エンジニアリングがわかると圧倒的に開発が楽になって、一石二鳥です。
なにより、伝家の宝刀「それは仕様上、実装できないです」に対抗することができるようになります。
よく、UI設計してもこの伝家の宝刀を持ち出され、泣く泣く別案にすることありませんか?
これはなにも意地悪で言われているわけではありません。
「そのままだと本当に実装できない」から言われているのです。
ならば、どうすれば実装出来るのかを一緒に考えればいいと思います。
こちらがしっかり仕様およびエンジニアリングを理解していれば、
「なんでできないんですか?」
から入り、説明をちゃんと理解できれば、
「ふむふむ、では、こうすればできそうじゃないですか?」
とか代替案の提案もできますし、建設的なディスカッションができます。
何回かこういうやりとりしていると
「む、こいつは仕様を理由にしても引き下がらないタイプだな」
と思われ、次回から全力で立ち向かってくれるようになります。
そしていつしか、仲間だと思ってくれるようになります。
デザイナーチームのリーダーやっているとき、よくメンバーの子が「エンジニアにもっとデザインのこと理解してほしい」と言っていましたが、その時に私は彼女たちによくこう言ってました。
「そうだね。では、あなたはエンジニアのことをどのくらい理解しているの?」
デザイナーが「エンジニアにもっとデザインのこと理解してほしい」と思っているように、
エンジニアも「デザイナーにもっとエンジニアリングのこと理解してほしい」と思っているはずです。
お互い歩み寄ることって、どんな分野でも大事ですよね。
内藤亜由子
UIUXデザイナー/サービスデザイナー/人間中心設計専門家
アプリ事業のディレクターを経験後、SIerに転職しシステム開発・ソフトウェア開発のマネジメントと開発実装に従事。その後、UXデザイン・デザイン思考など「広義のデザイン」と出会い、UIUXデザイナーに転向。再転職したBtoB事業会社ではシステム開発のマネジメントとともに、デザインチームのチームビルディングを担当、開発組織へ「デザイン遺伝⼦」をインストールする。担当したHR系サービスにおいて、グッドデザイン賞を受賞。
現在はUIUXコンサルティングや、DXDキャンプでデザイン思考の講師を務めるなど、「UX翻訳家」として実務と⾃⼰研鑽をし続けるHCD専⾨家。