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【航空機の単位】ヤードポンド法とは?問題点やその対応など

今回は航空業界で使われている数字の単位について話してみます。

主にメートル法とヤードポンド法の話にはなりますが、航空機関連の切り口で話すので、「ヤードポンド法なら知ってるわ」という人も、一応2倍速とかで聞いていただけると新たな発見があるかもしれません。

では、ヤードポンド法の概要から見ていきましょう。

メートル法・ヤードポンド法の現状

世界にはいくつかの単位系が存在していますが、基本的にはなるべくメートル法で統一しましょうということになっています。

ですので、特別な理由がない限りは皆さんの身近にあるものは全てメートル法の単位が使われているはずです。身長はcmだし、体重はkgというメートル法の単位です。

しかし、国際的な基準に合わせずヤードポンド法を使用し続けている国が一部あります。

・アメリカ
・ミャンマー
・リベリア

の3つだけ。

しかも、ミャンマーとリベリアはメートル法へ移行していってるらしいので、実質的にヤードポンド法を積極的に使っているのはアメリカのみということになります。

このアメリカという国のおかげで、現在もヤードポンド法を使わなければいけなくなっている業界や、ヤードポンドでの取引が例外的に認められているジャンルがいくつかあります。

そのうちの一つが航空業界です。

ヤードポンド法が使われる例

では、どんな業界でヤードポンド法が使われているかというと、アメリカ文化が関わっている分野ですね。

例えば電化製品でいえばパソコンやスマートフォン。
画面サイズはcmではなくインチですよね。

それと自動車のタイヤのサイズもインチ。

衣類のサイズもウェストが30インチとかよく分からない単位ですよね。

で、スポーツ。

ボクシングなど体重別の競技はポンド。
ボーリングの玉の重さもポンド。
ゴルフやアメフトなど、距離や長さを表す場合はフィートやヤードが使われます。

こんな感じで、国際基準としてはメートル法を使ってるけれど、アメリカの影響があるところではヤードポンドが使われているという認識でいいでしょう。

航空業界の単位

では航空業界で使われる単位を見ていきます。

こんな感じ。

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これを見るだけでも明らかにメートル法のほうがわかりやすいと感じるかと思います。

ちなみにマイルという単位にはいくつか種類があって、航空業界で使うのは海マイル(海里)です。

画像2

ノットは時間あたりに何マイル進むかの単位。mph。

時速に直すと、1ノットは時速1.852キロになります。

数字を変換しようとすると面倒ですが、実際のところ航空業界では全部マイル表示やノット表記になっているので、わざわざメートル法に変換することはないので運用上はあまり問題ありません。

ヤードポンド法の問題

とは言え、異なる2つの単位が混在していることによる問題も当然あります。

まず、シンプルに分かりづらいことと面倒くさいこと。

複数の単位があるということは、会話だったり書類への記載をするたびに「どっちの単位なのか」を確認するコストがかかります。

メートル法だと思って数字を伝えても、受け取った側がヤードポンドだと勘違いしてたりすると大変なことになります。

単位の確認や換算するコストが余計にかかっているということは、それに伴うミスも発生します。

過去に、数は多くありませんがメートル法とヤードポンド法の誤認による事故も起きています。

例えば、日本にある某ネズミのテーマパークで人気のアトラクションが脱線事故を起こしています。

http://www.olc.co.jp/ja/news/news_olc/news_olc4798833251900118369.html

メートル法とヤードポンド法でサイズが違う部品を使ってしまったことが原因のようです。

このように複数の単位系があると必要がないリスクが発生するので、可能であれば統一ルールにした法が良いんですよね。

メートル法に変えられない理由

じゃあなんで、メートル法に統一されずに未だにヤードポンド法が使われているのか?という話になりますが。

理由は大きく2つ(だと個人的に思っている)

・単位の切り替えコストが大きいこと
・アメリカ側はヤードポンドを使うメリットがあること

の2つです。

(専門じゃないので間違ってたら申し訳ない)

■切り替えコストが大きい

まずは今使っている単位を切り替えるには莫大なコストがかかってしまうということ。

例えば、「来年から日本の公用語を英語にする」と決められても移行は無理でしょう。
そもそも英語を使える人は限られるし、みんなが英語で生活できるレベルまで教育するのも厳しい。
すでに発行されているサービスや書籍など全て英語に書き換えができるか?というとかなり無理があるのはわかると思います。

言語ほど大きな変更でなくとも、同じ日本国内でさえ完全に単位の共通化はなされていません。

例えば、
・部屋の広さは何坪って言ったり、タタミ何畳分とか言ったりします
・食パンは一斤
・お酒の便は一升とか、日本酒は一合単位で頼んだりしますよね

こんな具合で、日本国内でさえ単位の共通化ができてないのに、世界レベルで同じ単位に揃えようというのはなかなか大変です。

■アメリカ側はヤードポンドを使い続けることにメリットがある

そして、もう一つ大人の事情的な話にはなりますが、アメリカ側の視点としてはヤードポンド法を残した方が特をする状況も考えられます。

例えば同じ航空業界であっても、アメリカの飛行機はヤードポンドで設計されているけどヨーロッパ方面の飛行機はメートル法で作られてたりします。

だからメートル法を使いたければ、ヨーロッパの航空機を買えばいいんじゃない?

と一瞬思うのですが、そうもいかないんですよね。

飛行機だけでなく、飛行機の整備機材や設備、整備士さんの知識やノウハウが全てヤードポンドで揃っているので、
もしメートル法の飛行機を運用しようと思ったら、飛行機以外の設備機材も全て入れ替えたり人材の再教育にまでコストがかかってしまいます。

つまり、現状ヤードポンドを使っているアメリカの飛行機を使っている国は、次もアメリカの航空機を買うという判断になります。

だからアメリカにとっては、世界標準のメートル法に合わせるのでなく、
アメリカが独占できるヤードポンド法を残そうというインセンティブが働いてしまいます。

企業が顧客の囲い込みのために独自規格を作るのと似てますよね。

パイロットはメートル法とヤードポンド法の変換を概算できる

とまぁ、こんな具合でヤードポンド法は使われ続けるのですが、メートル法と互換性が無い部分は現場レベルでなんとか対応するのが最も無難ということになっています。

人間の能力でメートル法とヤードポンド法をうまく使い分けるということですね。ですので航空業界の人はそれぞれの単位の換算については慣れています。

特にパイロットの場合はフライトしながらのリアルタイム性が求められるので、「すぐに頭の中で概算する」みたいなことができます。

概算というのは、10秒かけて正しい答えを出すよりも、95%くらいの回答を2秒で出す方が求められる感じ。
で、あとで微調整すればいいみたいな。

脳内で概算する方法の例としては

メートル→フィート
3倍して1割増し

キロ→ポンド
2倍して1割増し

マイル→キロ
2倍して1割減らす

とか。

これで正解に近い数字を頭の中で概算できます。

まとめ

身の回りにある単位をメートル法かヤードポンド法かという視点でみることで、あーこの辺はアメリカが絡んでそうだなとかわかるので面白いかもしれません。

それでは、ご視聴ありがとうございました。

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