【パイロットの飲酒問題】実際は法律に違反もしてなければ事故も起こしていない件
操縦士の呼気検査で基準を越えるアルコールが検出され、航空機の出発が遅れました
こんなニュースがたまに流れます。
パイロットの飲酒問題ですね。
こんなニュースを聞くと
「おいおい、パイロットなのに飲酒とか辞めてくれよ」
という反応になるのが普通だと思います。
だがしかし
実は航空法には飲酒運転を禁止する条文はありません。
お酒を飲んで飛行機を操縦してはいけないとはどこにも書いてません。本当です。
は?まじで?どうなってんの?
と思った方は、これから詳しく説明しますので、ぜひ続きをご覧ください。
航空法70条(酒精飲料等)
(酒精飲料等)
第七十条 航空機乗組員は、酒精飲料又は麻酔剤その他の薬品の影響により航空機の正常な運航ができないおそれがある間は、その航空業務を行つてはならない。
「影響により航空機の正常な運航ができないおそれがある間は」
つまり、飲酒していても正常な運行ができるのであれば問題ないとも解釈可能。
■ではなぜ呼気検査をしているのか?
「基準値のアルコールが検出された」と報道されるが、航空法にはアルコールの基準はありません。
航空法でなく社内既定等で別途決まっているだけ。
それぞれの会社や組織による。
だいたい「12時間前」に飲酒を制限している場合が多い。
他、パイロットは運行先で宿泊し、翌日に帰路の運行をする場合があるので、滞在先(出張先)で飲酒してはいけないというルールもある。
■ごく最近、飲酒の基準が新たに設けられた
一連の航空会社における飲酒事案を受け、昨年12月25日に公表した航空従事者の飲酒基準に関する検討会における「中間とりまとめ」を踏まえ、航空法に基づく操縦士の飲酒基準を以下のとおり設けます。
改正・施行 : 平成31年1月31日
ほんとに最近です。
ただこれ(基準の明確化)は建前が含まれると思っています。
そもそもなぜ航空法で飲酒に関する条文がなかったか
■最も重要な目的は事故らずに安全に運行できること
安全のために、法律・ルールが存在します。
法律を守ることは大事ですが、法律やルールを守ったからと言って安全が保証されるわけではありません。
ですので、建前だけの法律は必要ないし意味がないと思っています。
■飲酒の影響は人それぞれなので一律に決められるものではない
なので飲酒に関する法律がある時点で、それは建前が含まれる
飲酒がどうこうとか関係ない
じゃあシラフだったら事故ってもいいの?というと違うよね
お酒は飲んでないけど深夜までゲームしてて寝不足でフライトするのはいいの?
プライベートでトラブルがあってストレスMAXの状態でフライトしていいの?
パイロットのパフォーマンスなんか本人しかわからない
■パイロットはちゃんと自己管理・判断する
だって死にたくないし
人を殺したくないから
航空事故==ほぼ死
飲酒に限らず、ヤバそうだったら勇気だして自己申告するはず
車の飲酒運転と同列で批判するのはかわいそうな気がする
■報道される基準が違う
車の場合は
交通事故を起こして、飲酒運転が判明した場合
無事故でたまたま飲酒が発覚したくらいでは報道されない
航空機の場合
そもそも飲酒運転をしていない
法律にも反していない
あくまでも法律以外の社内規定などの基準に引っかかって
飲酒の影響を考慮して、運行前にリスク回避のために、パイロットの交代などで運行が遅延
ベロベロでなく、大丈夫だと思ってたけどお酒が抜けるのが予想より遅くてちょっと残ってしまった程度
体調とかあるでしょうし
これで報道される
安全を確保するために運行を遅延させるという正しい判断の結果なわけで
もちろん乗客にとっては迷惑ですが
法律とか倫理を無視して言うと、べつにほろ酔い程度なら問題なく安全にフライトできる
だってみんなも2日酔いとかでも普通に仕事してるでしょ?
多少パフォーマンスは落ちるけど
余談
飲酒運転で事故を起こしたくらいの報道のされ方はちょっとかわいそうだなと感じます
ちなみに2日酔いで飛行機飛ばすのは辞めた方がいいです
マジで気持ち悪いです
【参考資料】
■ 自家用航空機の操縦士に対する酒気帯びの有無の確認について/国土交通省 https://www.mlit.go.jp/koku/koku_tk10…
■操縦士の飲酒基準について(中間とりまとめ概要)/国土交通省 https://www.mlit.go.jp/common/0012711…