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コロナで売上が0になったイベント会社の苦悩と変革、復活までの道のり

こんにちは。笑屋株式会社の真田です。

弊社は同窓会やアルムナイネットワークに関連した事業を展開している企業ですが、コロナ前はほぼ100%の収益を対面イベントから得ていた為、コロナによりその全てがなくなり、倒産の危機に陥りました。

アルムナイとは・・・
卒業生・同窓生・校友を意味し、人事分野では定年退職者以外の退職者を指す。

そこから1年半、紆余曲折ありながらも、事業と組織を変革し、対面イベントに頼らず単月黒字化を達成し、DXやSaaS領域でここから更に大きく成長できる機会を見つけることができました。

この記事では、危機的状況から、どのように事業と組織を立て直し、成長軌道へ乗せていったかを書きたいと思います。
自身・自社の振り返りとともに、似た状況に陥っている企業にとって少しでも参考になれば、嬉しい限りです。

コロナ直後の状況

コロナ前、弊社は「同窓会」に関連するイベントを生業とし、個人・学校・自治体・企業向けに数十名から数百名規模のイベントを全国各地で年間500件ほど企画・運営する事業を行っていました。

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そんな中でコロナ禍に突入するわけですが、2020年4月の1回目の緊急事態宣言が出た頃には、約200件ほどあった進行中の全ての案件が中止または延期という状況になり、これから見込んでいた売上が一切入ってこなくなることと、社員の半分以上の仕事がなくなるという、これまで全く経験したことのない2つの大きな壁が突然、目の前に現れました。

やったこと

短期視点では非常に大きな絶望感や焦りを感じたのを覚えていますが、世の中が大きく変わることが確定的になるにつれ「これは中長期で考えると大きなチャンスになるかもしれない」とも思え始め、とにかくやれることは全てやってみようと気持ちを切り替えて行動に移していきました。

1. 資金の確保
もともと現金を潤沢に持っていたわけではないので、ランウェイは4ヶ月程度しかありませんでした。
幸い政府がセーフティネットにより融資の別枠を設けてくれていたので、フル活用し、現体制を1年以上維持できるだけの資金と、機会を見つけられた時に投資できる資金として、天井まで借りました。
個人連帯保証ありで億単位の借入を行うのは、中々痺れる経験ではありましたが、それだけ事業を変革させる自信もあり、またいくつか失敗があっても数パターン返済のプランも用意していたので迷いはありませんでした。

2. 既存事業の整理
事業については進行中案件のキャンセルや延期など手続き関連は粛々と進めるだけですが、頭を悩ましたのは社員半分にあたる対面イベントに特化したメンバーのこれからの仕事と発生し続ける人件費でした。
これらのメンバーは、他事業や新規事業への転換も簡単ではない為、政府が用意した雇用調整助成金の特例措置を活用し、給与はこれまでとほぼ同額を出しつつ、暫定的な対処ではありますが、出勤の大半を休業に充ててもらうことにしました。

今回、政府の補償が不十分という論調も多く見られましたが、GoToなどキャンペーンの恩恵こそ業界的になかったものの、前述したセーフティネットと雇用調整助成金は、個人的には大きな補償だと思っており、多くの経営者が助けられたのではないかと推察しています。素直に感謝しています。

3. 組織の変革
資金に目処をつけ、既存事業を休業し、ここからやるべきことは新規事業のみとなったわけですが、まずは組織の変革から始めました。
具体的に行ったのは、⑴新しいことにチャレンジするムーブを作る、⑵新規事業に適した人員体制にする の2点です。

 ⑴ 新しいことにチャレンジするムーブ
「1年後には違う会社になっている必要がある」「いま変化しないと未来はない」など今こそチャレンジが重要であるという経営メッセージを何度か伝えましたが、それだけでは継続的な行動には繋がらない為、小さなチャレンジを数回促し、組織全体の流れや雰囲気を変える試みをしました。

具体的には、1番保守的だった既存事業のチームにて新人のリーダーを立て「オンライン同窓会プラン」「ゼロ密同窓会プラン」という2つのプロジェクトを敢えて短期間の期日でリリースしました。
両プロジェクトとも、利益貢献的には失敗に終わりましたが、狙い通り、優秀な新人の発掘と、組織全体に新しいことにチャレンジしていくムーブが生まれたことが大きな収穫となりました。

⑵ 新規事業に適した人員体制
綺麗事を言えば「メンバー全員欠けることなく、新規事業に全力で取り組み、成功させましょう!」ですが、事業の立ち上げは既存事業を運営するのとはコンピテンシーも進め方も適切な人数も全く違う為、そこはシビアに判断していきました。
残ったメンバー全員、個々にチャレンジやリーダーシップの機会を与え、期待値の調整を続け、キャリアを一緒に考えていったことで、時間の経過と共に最適なメンバーに絞り込まれていきました。
結果的には30人ほどいたメンバーが約半数になりましたが、新規事業に適したフラット且つ早い体制、組織全体のアジャイル化が実現できました。
その後、足りないコンピテンシーは、新規採用や業務委託で補っています。

4. 新規事業へのフォーカス
注力していく事業を考える上で、下記を意識しました。

- これまでのアセットや経験が活用できる
- コロナ前後で変化が大きくなる
- マーケットの成長が見込める (SOMよりTAM重視)
- 少ないリソースからのスタートでも中長期で高いシェアを狙える

これだけ制約が多いと「こんな事業あるか?」という感じですが、1つ有力な仮説を持っていたので、スムーズに移行することができました。

我々が解くべき課題として決めたのは「アルムナイネットワークを活用して、組織課題を解決する」で、初期段階では、組織は「大学」をターゲットに、課題解決は「同窓会運営の効率化・寄付金額の増加」などを目的にしました。最近では、まとめて「同窓会のDX」と呼ばれるようになってきている領域です。

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現在の状況

対面イベントの需要は引き続きありませんが、単月黒字化を達成し、これから成長フェーズに入ろうとしています。

事業は下記3つを展開しています。

1/  Alumni-Social Lab
大学を中心にコンサルティングや各種コンテンツサービスを提供しています。

コロナ禍で大きく伸び、収益面を支えた事業です。
2020年のリリース当初から、大学の校友・社会連携領域のマーケットリーダーを目指しており、徐々に業界認知も高まってきている状況です。
この2年で、ネットワークのある大学数が350、取引大学数は30と大きく拡大しました。

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また、校友業界の活性化を目的に、ニュースレター配信Slackコミュニティの運営を行っており、サイト流入こそまだ月に5,000ユーザーほどではありますが、ニュースレター登録数は420人、コミュニティ参加数は40人と日に日に増えています。
今後もニッチ領域だからこその濃いコミュニティを作っていきます。(下記は、ファン作りの為のマーケティングファネルです。)

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2/  Chimer
組織ごとに独自のアルムナイプラットフォームを構築できるSaaSです。

正式リリースは今年したばかりですが、現在トライアル利用が数校で始まっており、来年度から多くの組織で導入される予定です。
大学だけでなく、専門学校・高校・企業・NPO団体など様々な組織からトラクションが発生しており、PMFこそまだですが、手応えは感じています。

3/  同窓会サーカス
アフターコロナに向けて、個人向けの同窓会幹事代行サービスをリブランディングしました。

本事業は、撤退の選択肢もありましたが、コロナ禍の現在も多くの問い合わせや相談が寄せられており、また利用者の満足度が非常に高かったこともあり、継続する判断をしました。
これまで3,000コミュニティ、28万に利用された業界1位の実績があり、競合がコロナ禍で5社撤退という状況で、もちろんビジネスとしても勝算があると思っており、システムやオペレーションなど溜まってきた負債をこれを機に捨て、これからの時代に合わせブランドやサービスを0から作り直しました。

重要だった3つの教訓

今回、コロナで事業に大打撃を受けながらも、運良く事業を成長フェーズへ戻すことができました。
振り返ってみると、重要なポイントは3つあったと感じています。

1. 時間こそが最も重要な経営資源
今回、競合の多くが損失を最小限にする為に、人や設備のコストをとにかく減らしたり、ただただ休むというディフェンシブな戦略を取っていましたが、我々はそれは時間という最も重要な経営資源を捨てていることと同義と捉え、反対に攻め続け、多くの機会を獲得しました。
特に今回のような世の中が劇的に変化するタイミングでは、マーケットにチャンスが溢れる為、時間の価値は平時より高いと捉えています。

2. 新規事業はスタートアップ型に限る
これは「スタートアップ vs 大企業の新規事業」でよく議論されていますが、新規事業は前者の方が圧倒的に立ち上がりやすいと今回改めて実感しました。(一部のすごい大企業は除く)

- 背水の陣からくる緊張感
- 経営のマインドシェアやリソースが既存事業に取られない
- 既存事業(利益獲得部署)から新規事業(投資部署)へのマウンティングや割り込みがない
 

の3点が特に大きかったです。

3. レガシー産業・アナログ作業に着目せよ
これも散々言われていることではありますが、今回、何年も動かなかった大きな山が急に一斉に動くのを目の当たりにして、改めてデジタル化が急速に進んでいることを実感しました。
B2CやB2Bエンプラではとっくに当たり前になっていることが、60-70代以上がキーマンや決裁者を担っている業界、且つ横並びが慣習になっている業界は、ここからが本番という印象です。チャンスはまだまだ転がっていると思います。

これからやりたいこと

弊社のミッションは、

再会とコミュニティをつくり、ライフスタイルを豊かにする

ですが、これからも、あらゆるアルムナイネットワークをつくり、活性化することで、上記を突き詰めていきたいと考えています。

構想は下記の通りで、3つの事業が補完し合い、ミッションの達成を目指します。

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各組織の同窓会DXはようやく始まり、数年で当たり前になりますが、トッププレイヤーとして業界を牽引していきます。

対個人に対しては「コミュニティ」を起点に、人と社会、人と人の繋がりを支援し、「人が成長できる場」「人が楽しめる場」「人が安心できる場」をつくっていきたいと考えています。

これから、メタバースと言われるようなバーチャル世界の発展は、間違いなく来る未来であり、既存のオープンなSNSも残ると思いますが、我々は所属意識の持てる輪郭や顔の見えるコミュニティも共存・連携すると考えており、そこの体験向上にこれからもフォーカスしていきます。

さいごに

最後に1つ宣伝です。
ここまでお話してきたように、弊社はこれから第二創業期を迎え、成長フェーズに入る為、採用活動も加速させていくところです。
どこもやっていない唯一無二の事業、ポテンシャルのあるマーケットです。

ボード(常勤役員)もまだ自分1人と、恥ずかしながら主要ポストさえがら空き状態なので、幹部メンバーとして事業や組織を急成長させていく経験を積みたい方には最適な環境だと思います。
CxOは言わずもがな、BizDev・セールス・マーケター・エンジニア・人事などほぼ全てのポジション募集中です。

もし少しでも興味がありましたら、まずはカジュアル面談でお話しましょう。下記のMeetyから申し込みいただくか、TwitterやFacebookのDMあけてますので、そちらからご連絡ください!


一応、求人一覧も貼っておきますが、これ以外にもたくさんあります!

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
それではまた!

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