施策ありきの営業力強化はもうオシマイ!「セールス・イネーブルメント」で考えよう
まず最初にご紹介するブログは2016年2月に、「セールスイネーブルメント」というコンセプトについてご紹介したブログ。
日本で「セールスイネーブルメント」についての書籍が出る3年前からこのコンセプトに注目し、紹介していました。ぜひご覧ください。
前回のトライツブログでは、「営業企画」や「営業支援」といった営業支援スタッフが目先の「管理・報告」業務に追われるあまりに、なかなか営業力強化への取り組みに手を付けられない実態にフォーカスを当てました。
これに関連して、今回のトライツブログでは、最近アメリカで注目されるようになってきた「セールスイネーブルメント(Sales Enablement)」というコンセプトについてご紹介します。
「セールスイネーブルメント」とは
「セールスイネーブルメント」とは一般に、「営業活動改善のための一連の取り組み」であると言われています。まだまだ新しいコンセプトのため、具体的にどんなものがセールスイネーブルメントに含まれるのかは人によって異なっていますが、ここではアメリカの営業コンサルティング会社Vantage Point PerformanceがSales Education Foundationが実施した調査で明らかになった以下6つの重要な項目をセールスイネーブルメントの要素とすることにします。
営業研修の実施
営業ツールの開発・提供
コーチングの実施
営業担当者/営業活動の調査診断
営業組織の最適化
営業担当者の採用と雇用維持
これまでの取り組みとなにが違うのか?
「営業活動改善のための取り組み」と言えば、2000年ごろに日本でも「営業強化室」や「営業革新室」といた部署を設けることが流行りました。会社によってこれらの部署を設立した目的はさまざまだったと思われますが、その多くは外部の先進的な研修やSFA/CRMなどのITシステムといった施策を導入することによって、自社の営業力を高めようというものでした。
セールスイネーブルメントはこのような組織論的、施策先行型の取り組みとは異なり、先ほどご紹介した「営業活動の改善に必要な要素」をトータルに考えよう、というコンセプトのようです。つまり、研修やシステム、コーチングといった個別の施策についてバラバラに取り組むのではなく、それらをトータルで見ることで効率化・最適化を図ろうというものです。そのため、営業強化室のような部署を必ず設けなければいけない、ということはありません。その代わりに、さまざまな施策を包括的に見ることが必要になってきます。
ここで、「営業強化室」のような従来型の取り組みとセールスイネーブルメントとの違いについて、もう少し探ってみましょう。
違いその1:既成の枠組みにとらわれない
セールスイネーブルメントの要素の中で、特徴的なのが「営業組織の最適化」「営業担当者の採用と雇用維持」です。従来型の取り組みでは、組織をどうするかといった話や採用についての話は経営企画部や人事部の管轄であり、営業強化室の面々は既存の組織・人員という枠組みの中で施策に取り組むことが求められていました。
しかし、セールスイネーブルメントでは、組織や人員についても既成の枠組みにとらわれずに営業活動の改善策を考えることが求められています。
この違いが生まれた理由として一番大きいのは、Webの進化など自社営業および顧客を取り巻く環境が変わってきているために、営業部門に求められるスキルが大きく変わりつつある、ということだと考えます。
B2B営業であっても今やWebマーケティングは不可欠なものになりつつあります。マーケティングのことが分かる人、Webの最新トレンドを押さえている人、Webマーケティングには欠かせないコンテンツを作成・評価できる人、このような人材はこれまでの営業組織の中にはあまりいませんでした。どのような人材が必要になり、それを社内外からどのように調達するか、を考えて実行できるようにならないと目指す営業活動を実現できなくなっているのです。
違いその2:施策ありきではなく数値化ありき
セールスイネーブルメントに関する記事や書籍に頻繁に出てくるのが「measurement(測定)」です。施策ごとの目標および現状を数値化・指標化することで、それぞれの施策の達成率を同じように見られるようにしようというものです。
これは「施策ありき」で進められていた従来型の取り組みとは大きく異なり、営業の効率化やパフォーマンス改善を第一に考えよう、そのためにすべての施策について数値化しよう、というとてもアメリカ的な考え方のように思われます。
セールスイネーブルメントで営業施策を考えよう
アメリカで話題になっている「セールスイネーブルメント」。しかし、まだコンセプトとして未成熟な部分がありますので、実際に日本企業としてこれを全面的に取り入れられるようになるためにはしばらく時間がかかるでしょう。
ただ、今のタイミングでも参考にできることはあるのではないでしょうか。
これまで営業力強化と言うとSFAシステムの導入などの施策先行型で進んでいたきらいがあります。それぞれの施策をバラバラで考えるのではなく、
営業研修の実施
営業ツールの開発・提供
コーチングの実施
営業担当者/営業活動の調査診断
営業組織の最適化
営業担当者の採用と雇用維持
といったフレームで包括的に考えること。そして、施策導入を目的とするのではなく、その結果として目指したい姿を数値化して見ること。こういったことから「セールスイネーブルメント」を体験し、営業施策を考えてみてはいかがでしょうか。
トライツコンサルティングではセールスイネーブルメント組織の立上、セールスイネーブルメントの考え方を用いた営業改革の取組をご支援しています。具体的な事例を知りたいという方、取組の進め方を相談したいという方は、下記よりお気軽にお問合せください。