社交的でなくても大丈夫!今、B2B営業パーソンに求められる3つの資質
7~8年前に人気だった記事に「営業は外交的でなければいけないのか、内向的ではダメなのか」と言ったテーマのものがありました。
「営業に配属されてしまったけど、人と話をするのは得意じゃないんだよな…」「お客さんとうまくコミュニケーションを取る自信がない…」と言った方が多いんだな、と感じたことを覚えています。
その記事でも、営業パーソンとして成果を上げるために、必ずしも外交的である、社交的である必要はないというお話でしたが、今回は、デジタル化が進んだ現在、B2B営業パーソンに求められる資質とはどのようなものか、改めて考えてみた記事を紹介します。
営業パーソンにも、営業マネージャーにも参考にしていただけるお話ですので、ぜひご覧ください。
この春から新しく営業職に就いた人の中には、映画やドラマの営業パーソンを見て「自分には向いていないのでは?」「自分みたいな性格でもやっていけるのかな?」と不安に思っている人がいるかもしれません。しかし、購買/営業のデジタル化が進み、コンサルティング的な要素が不可欠とされている現在のB2B営業においては、「社交的で話術に優れていて自身の利益/成功に強いこだわりを持っている」という従来のステレオタイプが、これまで以上に当てはまらなくなってきています。
そこで、今回のトライツブログでは「営業パーソンの人物像をアップデートする」をテーマに、現在のB2B営業に求められる人物について改めて考えてみたいと思います。営業職としての成長や部下育成のヒントになる内容ですので、新しく営業職に就いた方や、そのような方を部下やメンバーにお持ちの方はぜひお読みください。
イメージ①「自身の利益に貪欲」
今回ご紹介する記事は「Debunking Myths Of The Sales Role」で、わかりやすく意訳すると「営業職への間違った認識を修正する」というもの。記事の中で営業パーソンに抱かれがちな3つの典型的なイメージを紹介し、それを修正/アップデートしています。まずは、1つ目のイメージから見ていきましょう。
営業職についての一番のネガティブな人物イメージが、この「自身の利益を最優先する貪欲さ」というものです。しかし貪欲・強欲の代名詞である「ヴェニスの商人」のシャイロック(金貸し)も、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のビフ・タネン(不動産王)も最後には懲らしめられているように、貪欲な人物が長く成功することは物語でも現実でもあまりないようです。誠実で顧客のことを大事にする性格の持ち主が、現実の営業パーソンなのです。
イメージ②「社交的」
続けて、2つ目のイメージについてです。
これまで大勢の営業パーソンと接してきてつくづく感じるのが、営業としての優秀さと社交性の間にはほとんど関係がない、ということです。もちろん極度の人嫌いという方は例外ですが、たとえ社交的ではなく朴訥とした雰囲気の人であっても、顧客の課題解決に真剣に取り組んだ結果として顧客から厚く信頼されて大きな成果を上げている、というのをしばしば目にします。
この困難へのチャレンジに意欲的だというのも、コンサルティング型営業や課題解決型営業が当たり前のものとなっている現在では不可欠の要素なのです。
イメージ③「デジタルに強い」
最後に、3つ目のイメージについて見てみましょう。
日本国内のB2B営業では、「営業パーソンは様々なデジタルツールを使いこなせる人」というイメージはまだあまりないので、この3つ目は海外独自のもののように思われます。今でも「根っからの営業なのでITやデジタルは苦手で・・・」という人がいますが、デジタルツール活用が進んでいるこれからの時代は「ITに強いから営業が向いている」となっているかもしれません。
注意したいのが、記事が重要視しているのはデジタルの熟練度という結果ではなく、それを生み出す原因となる「自ら学び続ける意欲」だということ。様々なツールを用いて自発的に学ぶ意欲さえあれば、急速にデジタル化が進む営業の世界でも後れを取ることなく働き続けられる、というのです。
営業パーソンに対するイメージをアップデートして成長/育成に活用する
このトライツブログでもしばしば書いていますが、B2Bの営業パーソンに求められる役割が大きく変化しています。その結果、社交的に人とのつながりを構築して相手に商品を言葉巧みに提案する、という従来のイメージの営業では不十分になっています。顧客の課題を深く正確に理解して最適な解決策を考える。顧客がWebなどで収集する大量の情報を分かりやすく整理し、顧客社内の意思決定をサポートする。そして、日々進化するデジタルツールを活用して生産性を高め続ける、ということが求められているのです。
記事の最後に「営業パーソンとして成功するために必要なのは、顧客を第一に考える思いやりの心、困難にチャレンジする意欲、そして自ら学び続ける意欲です。」とあります。映画やドラマの登場人物としてのインパクトはかなり薄れてしまいそうですが、これらの3つが現在そしてこれからの営業パーソンの新しい人物像の主な要素となるべきだというこの記事の主張は、B2B営業に起こっている変化の方向性から見ても妥当なものだと思います。
営業パーソンの人物イメージがこのように変わることには、育成上の大きなメリットがあります。それは「巧みに話せて社交的」という従来のものよりもはるかに育成が容易だということです。ロールプレイ等を積み重ねれば話術は向上するでしょうが、内向きな人を社交的にするのは至難の業です。それに比べて、新しいイメージである「顧客のことを第一に考える」「困難にチャレンジする」「自ら学び続ける」は、仕事に取り組む姿勢そのものなので日々実践を積み重ねていくことで習い性となり身についていくものです。また、従来のものよりも「自分には向いていない」と断念してしまう人も少ないように思います。
営業パーソンに対するイメージを最新の適切なものへとアップデートし、営業という仕事に対する誤解がなくなれば、採用や異動でのミスマッチも解消できますし、自身の成長や育成の方向性も明確になるのでいいことづくめです。今回ご紹介した記事を参考に、皆さんの社内で「自社の営業パーソンのあるべき人物像」を議論してみるのもおススメです。皆さんの業界で、そして皆さんの組織の一員として成功するために必要な要素がきっと見つかるはずです。
参考:「Debunking Myths Of The Sales Role」(Hayden Stafford, Seismic., Demand Gen Report, April 19, 2022)