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どうせ病むなら社会人になってからがマシ+公的に認められた「障害者」とそうでない者の話


メンタル回です。
人は誰しも病気なんてしないに越したことはありませんが、なってしまったものは仕方ありません。
ただうつ病を筆頭としたメンタルヘルスに関しては劣悪な労働環境が原因で発症してしまう人が多いのではないでしょうか。
要するに「社会人になってから発症したパターン」です。
心の病気は皆等しくつらいものですが、発症したタイミングがその後の人生に与える影響は結構深刻だと考えております。
今回はそんなお話です。

発症時期の何が重要なのか

筆者は高校生のはじめに「パニック障害」を発症しました。
パニック障害になったことで電車移動など日常生活に著しい制限を受けることになりました。

筆者の場合は移動が出来ないことによりまともな就活が出来ず、面接を受けた企業は片手で数えられる程度でした。余程の縁があるか即戦力が見込めるスキルを持っているわけでもなかったので案の定内定は貰えず卒業を迎えてしまい、何もしないわけにもいかないので徒歩圏内でアルバイトをしていました。
詳細は伏せますが当時の自分はバイトでも参ってしまい、症状が悪化して退職しました。そしてしばらく引きこもりになりました。
もう一度なんとかしないといけないと重い腰を上げたころには4年制大学を卒業して2年が経過、25歳です。まともなキャリア形成も出来ずにアラサーに突入してしまいました。

ここで読んでいる方にも想像してみてほしいのですが、
当時の筆者と同じ年齢・同じ学歴・同じ障害のAさんがいたと仮定します。
支援機関の手を借りてふたりとも再就職を目指しています。
唯一の違いは「Aさんには社会人経験がある」ことです。
企業は筆者とAさん、どちらを採用したいと考えるでしょうか?
答えは言うまでもなくAさんでしょう。
よほど人間性に難があるなどの事情がなければ経験者の方が良いのです。
私が採用担当者でもそうするでしょう。
だから学生のうちに発症してしまうと高確率で「詰む」のです。

障害者雇用は頭になかったのか

当然ありました、でも障害者雇用で働くことが出来ないんです。
だって「アレ」を持っていなかったから…

日本の障害者雇用制度について

現在日本では障害をオープンにした働き方は主に以下の4つに分類されます。

  1. 一般企業の障害者雇用枠

  2. 特例子会社

  3. 就労継続支援A型

  4. 就労継続支援B型

1は一般的な企業での障害者採用です。
2は企業をはじめとした各種法人が「障害者を採用するために作った会社」です。

3と4は、1と2が「一般就労」と呼ばれるのに対し「福祉的就労」と呼ばれます。
AとBの最大違いは「利用者が事業所と雇用契約を結ぶか否か」です。

このような働き方があるのですが、そのいずれも障害者手帳が無いと利用できません。

○○障害と診断されただけでは障害者とされない現実

学生で発症すると詰むと述べましたが、障害者手帳を取得出来ていれば、障害者雇用での新卒採用を目指すことが出来ます。
コロナ禍でリモートワークが普及したこともあり、移動に難がある方でも以前に比べて選択肢が格段に増えました。
では「障害」とつく病気の診断が下りれば必ず障害者手帳の取得が出来るかというと、残念ながらそうもいきません。
パニック障害をはじめとした「不安障害」は「神経症」という分類になるのですが「神経症は治る可能性が高いから手帳を交付するに値しない」という考え方が多いようです。このあたりの見解は医師によっても異なり「分類ではなく日常生活に制限を受けている度合いで判断する」医師もおります。
対してうつ病や双極性障害などの「気分障害」は不安障害に比べると手帳の交付がされる可能性は高いようです(医師や自治体によって判断基準が異なるので絶対ではありません)

発症から14年経って公的に認められた障害者になった

発症してからこれまで幾度か転院を経験しました。
医師との相性だったり、転職先・再就職先の退勤時間や休日と診療時間が合わなかったなど理由は様々ですが、現在の主治医は手帳交付の基準を分類ではなく生活の制限度合いなどで判断するタイプだったため、障害者手帳を取得しています。
16歳で発症して、名前だけの障害者としてずっと生きてきて、手帳を取得出来た頃には30歳を迎えていました。
たくさんの事を諦めたり、障害を隠して働き続けて無理が祟ったり、本当に濃密な人生ですがわたしは今、10代・20代のうちにやりたくても出来なかったことをたくさん経験しています。

最後に

企業には障害者の法定雇用率というものが存在しており、以前は精神障害者は対象外でした。
法改正が行われたことにより2018年からようやく精神障害者も対象に加わりました。
この改正で企業側やそこで働く健常者の方には厄介なことになったと感じる方も多いでしょう。その気持ちは理解できます。だって未知との遭遇でしょうし、気狂いを雇わなければいけないのか?なんて考えてしまう人もいるでしょう。
私たちのような存在にストレスを感じたり、不快感を感じる方もいるでしょう。本当にごめんなさい。
でも知っていてほしいことは「誰しも障害の当事者になる可能性」はあるのです。

今でも精神障害者が働くことは狭き門ですが、筆者が学生や20代前半のころより当事者側の雇用機会は増えています。
もっと上の世代で同じような境遇の方は、より長い期間世間から存在しない者のように扱われて年齢を重ねていったことで、筆者よりもずっと苦労されています。
私の発信力はまだまだ弱いものですが、もしこの記事が誰かの目にとまって、何かを考えるきっかけになりましたら幸いです。

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