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トリックスター里親の皆様へ

9月9日から、とうとう楽しみにしていた中之条ビエンナーレが開幕します。
今回は、以前から「展示したみたい!」と思っていた「やませ」での展示。
ずっと前から温めていたプランを元に「異形の食卓」を畳の部屋に作り上げることができました。
トリックスターをお迎えしてくれた皆さんを、勝手に「里親さん」と呼ばせて頂いておりますが、そんな里親さんにも是非にでも見て欲しい展示となっています。

これまでも、里親さんが撮ってくれたトリックスターの写真が浅野の楽しみの一つでありました。
全国様々な場所で撮られたトリックスターの写真を見て、次の作品のアイデアにつながることもありました。
また、その写真を見た方が次の里親さんになってくれることもあり、少しずつ輪が広がっていったと思っています。
本当に感謝しかありません。

トリックスターが広く知られるようになったのは、中之条ビエンナーレがキッカケでした。
その後も前回までで計3回の展覧会を重ねる中で、中之条町を中心に少しずつ里親さんが増えていっています。
今回も中之条ビエンナーレに、お迎えしたトリックスターと一緒に来ようと思っている方も多いと思います。

そこで、里親の皆さんに四つほどお願いがあります。
少し長い文章になってしまいますが、最後まで読んで頂けたらと思います。

一つ目は、中之条ビエンナーレは、沢山のアーティストが展示をしている空間です。
まずは、その展示を楽しみ、味わうことを第一にして欲しい、ということです。
芸術作品は、写真で見ても動画で見ても、本質は伝わらない、生で見て味わって、初めてその作品の伝えたいことが届くのだと思います。
その大切な時間を、ご自身の目で楽しむ時間をまずは大切にして下さい。

二つ目は、もしトリックスターの写真を撮りたいと思った時にも、展示作品の上に乗せたり、作品に触れたり、近くに置いたり、台座の上に置いたりなどの行為を絶対にしないで欲しいということです。
中之条ビエンナーレでは、繊細で壊れやすい作品も多く展示してあります。
作品に危険な行為は、絶対にしないで下さい。

三つ目は、周りの鑑賞者に迷惑になるような行為はしないで欲しいということです。
撮影に夢中になって、周りの鑑賞者の邪魔になったり、他の鑑賞者がいるのにトリックスターを長い時間置いているような行為はやめて下さい。
一つ目のお願いで書きましたが、他の鑑賞者にとっても、作品を生で味わう大切な時間です。
その大切な時間を損なうような行為はやめて下さい。
また、今回の会場では、暗い展示室も多くあります。
そいった場所では、周りの方や里親さんご自身も危険になる可能性があると思いますので、トリックスターの取り出し撮影はおやめ下さい。

四つ目は、多くのトリックスター、大きなトリックスターの持ち込みをしないで下さい、ということです。
沢山のトリックスターの里親になってくれている方は、どうしてもたくさんのトリックスターを持ってきたいと考えてしまうと思いますが、あなたがその日一番「推しだ!」と思える子を一人選んで頂きたいと思います。
あまり大きなトリックスターも他の鑑賞者の邪魔になりますので、一押しのトリックスターであっても避けて頂きたいと思います。
持ち歩くには、フチックスターや、チビックスターサイズが良いと思います。

以上の四点が、浅野からのお願いになります。
中之条ビエンナーレは、たくさんのアーティストの優れた作品が、町のあちこちに並ぶ芸術祭です。
トリックスターの写真を撮る必要も時間もないほどに、夢中になってしまう最高の芸術祭だと思います。
まずは、作品を味わうことに時間を費やして頂ければと考えています。

これまで「トリックスターの写真を沢山撮ってSNSにアップして欲しい」と言ってきた浅野の言葉と真逆ではないか、と裏切られたような気持ちになる里親さんもいらっしゃると思います。
また、旅するトリックスターなどというプロジェクトをやっているのに、コンセプトと真逆ではないか、とお怒りになる方もいるかもしれません。
今回の中之条ビエンナーレを前に様々なご意見を頂き、浅野の方で考えて、今回の文章となりました。

結論としましては、
「トリックスターを持って来なくても、中之条ビエンナーレは十分すぎるほど楽しめます。トリックスターを持ってくる時は、最小限の推しを選抜して、他の鑑賞者や、作品に邪魔にならないように、ルールとマナーを守って楽しんで下さい。」
ということです。

これまでも、浅野暢晴という彫刻家、トリックスターという彫刻は、里親の皆さんの支えがあって、ここまで続けて来られて来ました。
里親の皆様を最大限信用した上で、浅野暢晴という彫刻家個人として、こちらの文章を書かせて頂きました。
長々とした文章を最後まで読んで頂き、ありがとうございます。

やませの会場で約600人のトリックスターと一緒に皆様が来るのをお待ちしております。
皆様に直接お会いして、お話しできることを楽しみにしております。

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