アイウェオの背の上で
雑草の髪の少年とアイウェオは
街を破壊し続ける
マグマドグマ打倒のために
空を駆けた
しかしながら
少年はアイウェオの背中で
突っ伏して泣いていた
泣いてどうにか
なるものでも
ないでしょうに
けれども
それであなたの
気が晴れるならば
好きにすれば良い
アイウェオは
以前のカタコトな
思念波ではなく
流暢に会話することが
可能となっていた
これも生まれ変わった
恩恵なのだろうか
これ以上誰かを
失いたくない
ぼくらに関わって
生命を落とすのを
見たくはない
少年は
碧い背中で
声を荒げて泣いた
それは
勘違い甚だしいのでは?
彼らは何も
我々のために
生命を落としたのではないだろう
きっとその先にあるものに
生命を懸けたのだろう
違うかい?
アイウェオは
ありのままの言葉だが
やさしい声色で少年を諭した
その先にあるもの…?
少年はふと
その言葉の意味を考えた
今までの旅を振り返ると
皆自分たちに
何かを与えてくれていた
言葉にはしなかったが
彼らに何かを
見出していた
少年には
それが分かりかかってきたが
まだ少し腑に落ちずにいた
悩んでいても
仕様がないさ
先ずは目の前のことに
取り組むだけだよ
アイウェオは
渦巻く空気のなかで
静かに伝えた
◆ 戦利品 ─【悲しみの果て】
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?