歩く飛空船
ザンパムの肉マントで
コイルの部分に
脚の生えた
稲妻船団の飛空船は
麓の街へ向かって
アバラ山脈の斜面を
どんどん降っていった
その様子は
まるで蜘蛛のようだったが
水を得た魚のように
生き生きと動いていた
道中
ライスワイフはザンパムへ
少年に何か感じたかを
問うたところ
見た目は特段
変わりなかったが
はじめて出会った時には
感じなかった
狂気を感じたという
その上
マグマドグマに受けた傷は
軽症ではあったものの
確実に致命傷で
激痛に悶絶していたはずの少年は
ある時ぴたりと
静かになったという
もともと
内なる何かを
秘めているようなもの
だったかも知れない
詳しくは
少年に会ってみないことには
分からないことだらけだった
ユキトビウオの住処を越えて
一向は
いよいよ山脈の地を
抜けようとしていた
◆ 戦利品 ─【不確かな情報】
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