歪んだ窓に映るもの
扉は最も簡単に
開いてしまった
家のなかは
真っ暗で
人の気配はなかった
注意深く
奥へ進んでいくと
仄かな明かりが
漏れているのが
見てとれた
そおっと近づいてみると
歪んだ窓枠に映る
景色に齧り付いている
人影があった
少年は
こんな不思議な窓枠は
初めて見たが
映る風景を見ていくうちに
抑えられない
好奇心に駆られた
気がつくと少年も
その不思議な窓枠に
齧り付いていた
ふと我に帰り
隣に目をやると
何処から入ったの
目線は合わせず
思念体以外の
言葉が聞こえてきた
少年はびっくりして
周りをきょろきょろ見渡した
その間も思念波は
ひっきりなしに
続いていた
この窓には
何が映っているの
少年は家の住人に
尋ねてみたが
一向に返事はなかった
そしてまたもや
冬籠りのクジラ号のなかで見た
明らかに物騒なものを
取り出して
脅迫して来た
◆ 戦利品 ─【湧き上がる恐怖】