苗の活用法
アイウェオは
巨人の足元に
氷の吐息を吐きかけ
動きを封じようと試みたが
凍りはするものの
流石に質量が足りないのか
完全なる行動不能までは
行かなかった
こんな調子じゃ
わたしが百人いても
足りないくらいだよ
アイウェオ、
いつからそんなに
皮肉っぽい口調に
なったんだい?
少年は巨人の動きよりも
アイウェオの口調が
気になって仕様がなかった
まるで批判家か
何かのようである
遠くの方から
ライスワイフが合流すると
まったくもってダメだね
プラズマなんて
効きもしないったら
さっきはあんなに
威勢よく飛び回っていたのに…
状況は絶えず
移り変わるもので
それに伴って
感情も言動も
左右されるものである
少年は
何事にも揺るがない
強いこころを
持ちたいものだと
こころの奥底から思った
助走をつけ直すために
ライスワイフは
グライダーを低空飛行させると
路地を走る少女を見つけた
ミナミかい?
少女もこちらに気づいたらしく
走りながら
即座に上空を見上げた
ライスワイフさん!!
ライスワイフは
グライダーを
電磁浮遊でホバリングさせ
ミナミの側を飛んだ
あんた一体何してんだい?
両親と一緒に
いたはずじゃ…?
巨人を止められるかも
しれないんです!
なんだって⁈
少女のその目には
確かな自信が
みなぎっていた
わたしの育てた
この苗にお願いしてみます!
◆ 戦利品 ─【巨人の足止め法】
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