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中高年向け婦人服は「印象の良さ」が重要?年齢を特定した調査はデータ深堀りがポイント
みなさんは商店街などでよく見かける婦人洋品店でお買い物したことありますか?
今回は50~70代の女性に「中高年向け婦人服」について印象調査(※)を行いました!その結果、「着てみたい」と思う中高年向け婦人服にはいくつか特徴があることが分かりました。
サンプル集めとターゲットの年齢設定に関するポイントもあわせて後半でご紹介します。
注)印象調査は「商品の印象」と「ユーザーの思い」の関係について調べるものであり、価格や効能については考慮していません。
🔍本文中の※マークの用語は【記事に出てくる用語集📚】で説明しています
1. 50~70代女性が選ぶ 『着てみたい』中高年向け婦人服ランキング!
様々な中高年向け婦人服のサンプル20個に対して「着てみたい・着てみたいと思わない」を5段階評価(※)で50~70代女性に回答してもらい調査したところ、以下(図1)のようなランキングになりました。
これらの中高年向け婦人服が「着てみたい」のは一体なぜなのでしょうか?
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2. 『〇〇〇〇』な中高年向け婦人服を着てみたい?
「着てみたい」について相関(※)の高い項目(図2)を調べてみると、以下であることが分かりました。
「似合いそう」
「印象が良さそう」
「自信を持てそう」
「楽しい気分になりそう」
「年相応な」
「若々しい」
「おしゃれな」
「着心地がよさそう」
これらの項目の値が大きくなれば「着てみたい」度も上がるため、「着てみたい」にとって要チェックな印象の要素と考えられます。
反対に、「着てみたいと思わない」と相関が高い項目は「特徴のある」でした。
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3. 中高年向け婦人服をどう見てるの?50~70代女性の 『視点』
因子分析(※)で中高年向け婦人服の印象の構造について調べると、50~70代女性は次の項目に強い反応を示していることが分かりました(図3)。
1軸:「印象が良さそう」
2軸:「動きやすそう」
3軸:「特徴のある」
これらは今回調査に協力してくれた50~70代女性が中高年向け婦人服の印象を判断する時に、主に何に着目しているか、といった「視点」のようなものになります。
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4. 中高年向け婦人服の印象を決める『3つの軸』
強い反応を示している「印象が良さそう」「動きやすそう」「特徴のある」に、それぞれの項目と関連性の高い項目(図4)も合わせて解釈して、3要素=3軸の名前を付けました。
1軸:「印象が良さそう・自信を持てそう・おしゃれな・似合いそう・年相応な」 ⇒ ⇒ 「印象軸」
2軸:「動きやすそう・日常的な・着心地が良さそう」 ⇒ ⇒ 「機能軸」
3軸:「特徴のある」 ⇒ ⇒ 「ファッション性軸」
これら3要素=3軸は、中高年向け婦人服の印象を定義づけるものです。各要素の重みづけがそれぞれの中高年向け婦人服の印象を決めています。
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5. MAPで比較する!中高年向け婦人服の『傾向』
中高年向け婦人服の印象を決める3軸で作成した因子得点マップ(※)(図5~7)に クラスター分析(※)(図8)の結果を反映し、中高年向け婦人服のサンプル写真をポジショニングすると以下の様になりました。
印象の近い中高年向け婦人服同士はグループ化され、マップ上に同じカラーで表示されています。
この因子得点マップを見ると、中高年向け婦人服の様々な印象の特徴を見てとることが出来ます。
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クラスター分析を使ってグループのカタマリに特徴や傾向が見えてくる最適な数を確認。今回の調査では6グループに分けることがと適正と判断しました(図8)。
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・元データを使用(正規化されていないデータ)・デンドログラムは平方距離に基づいて計算
6. 中高年向け婦人服の印象の類は『6つ』
今回の分析では、中高年向け婦人服の印象の類には6つのグループがあることが分かりました。
以下は、それぞれのグループ内で見られる特徴や共通点を考慮してグループ名をつけたものです。
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7. 50~70代女性の「着てみてたい」中高年向け婦人服の『特徴』とは?
記事の冒頭で紹介した「着てみたい」中高年向け婦人服ランキングの上位にあるサンプルを確認してみると、MAP上において「印象軸(+)」のエリアに属するサンプルがおもに上位に来ていることが分かりました。(図9)
このことから「着てみたい」中高年向け婦人服において「印象が良さそう」という要素はとても重要であることがわかります。
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「印象が良さそう」な中高年向け婦人服をメインに観察した結果、ランキングの上位にくる婦人服がもつ特徴を抽出することが出来ました。
【特徴1】ベーシックな色味と形状
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【特徴2】主張しすぎない、ほどよい装飾
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【特徴3】ゆったりしたサイズ感でもきちんと見え
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‟データの深堀り”で分かった新たな発見
今回の調査は50~70代を対象とした少し広めの年齢設定だったので年齢別にデータを深堀りしてみたところ、サンプルの服に対して「年相応」と感じているおもな世代は"70代"であることが分かりました。(図10)
「中高年向け」婦人服において、年代別に好まれる傾向の違いがあることが分かったことは思わぬ発見になりました。それぞれの年代ごとに深堀りしていくとまた面白い発見があるかもしれません。
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まとめ. 50~70代女性が選ぶ服は「着る人も見る人もうれしい服」
「着てみたい」中高年向け婦人服に一番影響をあたえている1軸は、「印象が良さそう」に続き「自信が良さそう・おしゃれな・似合いそう・年相応な」が関連づいてくる項目になります。
この内容を鑑みた時、中高年の大人世代の服の選び方は、自分が着用して心地よく楽しく、自信が持てるものでありながら、他者からの視線にも配慮した「着る人も見る人もうれしい服」を選ぶことに重きをおいているということが伺えました。
さらに今回の調査では50~70代の女性が「着てみたい」と思う中高年向け婦人服の具体的な特徴と、年代別に好まれる傾向の違いがあることを抽出することも出来ました。
婦人服を選ぶ機会があったらぜひ参考にしてみてくださいね。
それではまた次のトレンドマガジンでお会いしましょう~!
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サンプル集めとターゲット設定のワンポイトアドバイス
自社製品・自店商品のラインナップの現状分析の為の調査の場合、今回のような方法で調査を行うことができますが、調査目的が『50~70代が共通でもっている一般的な婦人服に関する認識の調査』である場合は、サンプルの幅(デザインやジャンルの幅)をもう少し広めてみましょう。
また調査目的を『コアな顧客探し』とする場合は、年代別に分けて行い比較する方法が良いでしょう。
調査を行う場合の参考にしてみてくださいね!
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調査概要
調査情報
調査方法:Web調査
解析の種類:因子分析+クラスター分析
調査地域:全国
調査対象者
条件性別:女性
年齢:50~70歳
調査配信:2020年11月
回収数:100件
調査パネル協力:株式会社アスマーク(パネル保持数:8万人。2022年8月現在)
調査実施機関及びキュレーション:ホロンズ株式会社
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調査のやり方
さまざまな中高年向け婦人服を14着(図11)
説明変数(※)の「形容詞の対語セット」(中高年向け婦人服の印象の構造を調べるため)
着心地が良さそう ⇔ 着心地が良さそうではない
おしゃれな ⇔ おしゃれではない
日常的な ⇔ 特別な
似合いそう ⇔ 似合わなそう
若々しい ⇔ 若々しくない
特徴のある ⇔ 特徴のない
セレブ感がある ⇔ セレブ感のない
印象が良さそう ⇔ 印象が良さそうではない
楽しい気分になりそう ⇔ 楽しい気分になりそうではない
年相応な ⇔ 年相応ではない
自信を持てそう ⇔ 自信を持てなさそう
動きやすそう ⇔ 動きやすそうではない
目的変数(※)に「着てみたい⇔着てみたくない」(「着てみたい」と「中高年向け婦人服の印象構造の関係性」を調べるため)
これらを用意し、調査票(※)(図12)を作成した。
モニターには、サンプル画像を1枚ずつ見てもらいながら、セットの言葉1つずつに5段階尺度(※)で回答してもらった。
注)この調査では、価格や効果効能等の要素は考慮しておりません
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回答者の内訳
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