自転車を磨き、就活の糧となる何かを求めた|経理のかじわら
大人になればなるほど、等身大の自分が嫌というほど理解できてしまう。口達者なだけで他に何の取り柄もない自分、背伸びする自分、継続力のなさをいかんなく発揮する自分。大学生のかじわらは、何もない自分と将来に不安というか怖さ、焦りを感じ、自転車を磨いた。
ここから先は名作『スクール・ウォーズ』のオープニングテーマと共に読み進めてみてください。(※Spotifyユーザーでない場合、お手数ですが「麻倉未樹 ヒーロー」と検索してみてください。また文章に集中できない場合はすぐに一時停止ボタンを押してください)
このノートは、漠然とした不安と焦燥感に挑んだ梶原航平の記録である。大学生のかじわらが自転車を磨いたことで自信をつけ、結果的にトレンダーズに入社した軌跡を通じて、その原動力となった「自信と思考」をかいつまんで説明したものである。
1.不安を消す何かを求め、自転車を磨いた
大学生活にも慣れ、彼女ができ、行動範囲が広がり、順風満帆にも思えるこの日常にどこか心の底では素直に喜べず、何か成果を出さねばと焦燥感にかられた私は寒空の下で自転車を磨いた。
三人一組でチームを組み、軍資金10万円を1か月後にいくら増やせるか競うというある企業主催のビジネスコンテストに参加しないかと友人が声をかけてきた。成果を求める私は是が非でもと参加を快諾する。ここで優勝すれば成果になる、何かを得られると意気込んだ。
私はふんどし売りとDJと同じチームに私はなるが、異種同士の組み合わせということもありチームは空中分解してしまう。2週間経過し、DJは音信不通、ふんどしは行方知れずとなる。残ったのは金庫番の私と二人が持ってった活動資金2万を抜いた8万だけ。残りの期間は約2週間。
とにもかくにも私は成果を残すには不十分な人員と期間にさらされた。そこで私は自分でもできる得意なことでありつつも、短期間で確実に売上を上げられる策はないかと思案する。そこで思いついたのが「自転車のクリーニングサービス」だった。
早速、備品を購入し、住宅街へ自転車を走らせた。よく買い物に行きそうな主婦層が在宅の時間を狙って呼び鈴を鳴らし「30分1000円で自転車をピカピカにさせて頂けないでしょうか。走りやすくなり、長持ちもします」を売り文句に1軒1軒回った。意外にも人は優しく。発注してくださる方が何名かいらっしゃった。時には高校時代の先輩にも発注してもらった。
2017年の寒い冬空の下、発注してくださった方の自転車を一所懸命に磨き、チェーンに油をさし、タイヤに泡をかけ泥を落とし、異音するところあれば直し、売上のために頑張った。
結果、全チームの中で唯一売上を立てたのが私だった。念願の優勝も果たす。全国的なコンテストでもないし、参加人数もわずか10人のコンテストだったが、優勝には変わりないと自信が湧いた。
就活サイトやSNSでよく目にする同世代達の偉大な成果に引け目を感じ、自分も大きな成果をと焦ってたにも関わらず、この小規模な成果に納得した。審査員だったその企業の社長は「この時代にネットを使わないのは惜しいが、泥臭くてよかった」と評価してくれた。
自転車を磨いてつかみ取ったものは「自信」で、他人からすればこれは小さなものかもしれない。が、私にとっては大きく確かなものだった。加えて、私は「泥臭い人間」だと改めて知ることができた。
また漠然とした不安や焦燥感のすべてが自信によって消えた訳ではなかったが、「漠然」という要素は少なからず成果によって生まれる「自信」によって打ち消されるものだと知った。就活においてどんなに挫けそうなときでも、苦しいときでも根底にこの自信があるおかげで腐ることなく戦えた。
2.心に家臣を従える
漠然とした不安は消えたとはいえ、就活なんて人生初めてなので不安や焦燥感は残る。周囲の友人たちの進捗を知ってあわあわして、親から諭されるたびになんだか申し訳なくなり、就活サイトを見るたびに自分の行いが正しいのか間違っているのか判断がつかない。就活はなんだかんだ一人で戦う厳しいものなんだなと思い知った。
不安と葛藤する日々が過ぎるある日、NHK大河ドラマ『葵徳川三代』を見ていると、家康や秀忠に的確な助言を仕る優秀な家臣がいる。素直に羨ましい。本田正純や土井利治が私にもほしいと感じた。が、私は殿でも若殿でもないので無理だった。仕方なく自分自身の心に家臣達を勝手に想像して(妄想して)、彼らに不安を打ち明けて助言を求めてみた。といっても、家臣団も結局は自分である。
文面だけ見るとおかしな人間に見られるかもしれません。おかしな人間の烙印は認めざるをえないが、この家臣に助言を求めるスタイルは意外にも就活で役に立った。
心に家臣を立てるとどんないいことがあるかまとめてみた。
自分で自分のミスを直すのは面倒で、勇気がいる。でも家臣がいると、独りよがりのみっともない姿は見せられないと感じて、直す。
(他人からどう見られたいか考えるようになる)
また何かを説明しようとするときには一歩踏みとどまってこの説明で家臣は納得するか判断する。この判断をするかしないかでコミュニケーションの質は多分に変わる。
家臣がいる手前、万全な態勢で挑みたいし、だらしない姿は見せられないので、おのずと自分に厳しくなる。
家臣を心に想像し対話することで、主観と客観を明確にし、人からどう見られたいか考える癖がつき、常に準備と改善を重ねようと意欲的になる。
一人で戦うのがきつい人にはおススメな思考方法だ。
3.自己肯定感の縮小との共存
自信をつかみとっても、良き家臣に恵まれても、選考で落とされるたびに自分が否定されるかのように感じ、思うようなコミュニケーションをとれずに自分はダメだと叱責してしまう。そしてまた就活でミスを犯し、また叱責してしまう。私はこんな負のスパイラルを「自己肯定感の縮小」と呼んでいる。いわゆる、就活になるとなぜかネガティブな感情や思考になりやすい現象のことだ。
もともとネガティブだった私にとってこの感情や思考をどう打ち消すかが大きな課題だった。ただどんなに打ち消してもネガティブ思考は嫌なことがあるたびに再発する。就活も中盤に差し掛かったころ、打ち消すことを断念して、どうやったら共存できるか考えてみた。
いろいろ試した結果、一番の共存方法はメモやチャットツールで文字にすることにあった。
試していく中でわかったが、ネガティブな感情や思考は非常にあいまいであり、いざ言語化しようとするとしにくいものだった。またそれゆえにネガティブな感情や思考は実際の感情より過大に見えてしまう。
言語化してみると、些細なことでネガティブになったことやある言葉を言われるとネガティブになるなど傾向がわかった。傾向がわかれば対策が立てられる。また、文字で見てみると、なんだそんなことでネガティブになったのかと自分自身の見直しが進んだ。
ネガティブな感情や思考を打ち消すことは叶わないが、共存しながら就活は進められる。どうかネガティブな感情や思考になりやすい人は文字に起こしてみてください。
思えば、同輩がインスタのストーリーで就活を記録してたのと近しい部分があるかもしれません。気になる方は読んでみてはいかがでしょうか?
4.さいごに
自信を身につけ、不安への対処方法を会得し、ネガティブな感情や思考と共存しながら、志望する会社の選考が順調に進んだ。しかし、結果的には、私に自信を与えてくれたビジコンを主催した会社「トレンダーズ」にあの時の恩返しをせねばという何とも人間臭い理由で入社を決める。
あんだけ不安や焦燥感にかられてたのに、最後の最後に入社しようと決断する会社は自分の夢や業界分析の結果とは関係のない会社だった。なぜあんだけ悩んだのかあの時間は何だったかと思うと同時に、あの悩みや不安や焦燥感があったからこそ、この決断に至れたのだと感じてる。
どうかこの厳しく孤独な就職活動をする皆さんには、自分自身の礎となる「自信」を発見してもらえたらと思う。自信は必ず支えになる。そして不安と焦燥感に負けそうになったら家臣を抱えて戦ってください。ネガティブ思考にはメモをもってこれを制してください。
本当にきついとき、積極的な後退もまた一つの戦略だと思います。何はともあれ納得のゆくよう戦い抜いてください。密かに応援してます。
追伸
私が入社したトレンダーズという不思議な企業の経営陣がなぜ役員になれたのか、テキストマイニングを通じて考えてみました。変わったビジコンを開催する不思議な企業の経営者はどんな人か気になったら読んでみてください。
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