北極点を通過し、広告のない街・ヘルシンキ
今回のヨーロッパ線はパリへの直通が取れず、フィンエアでヘルシンキ経由。
羽田→ヘルシンキ→パリは過去に幾度か乗ったことがある空路。
その頃は羽田からヘルシンキまで9時間程度。そこでトランジットしてパリまで3時間程度と、ある意味で休憩できるので疲れないという記憶。
ところが、そりゃそうだけど、現在ロシア上空は飛べません。そのため、北極経由でなんと14時間。
確かに以前は夜中の1時くらいに羽田発だったのが、夜9時出発になっていて「ん?」とは思ってたけど。
Eチケットで14時間と数字は見ていたけれど。
非常に長いフライトだけど、大きな魅力「北極点通過」ができるのは時間に替えられない貴重な体験。
飛行機で通過するだけだけど、なかなか体験できることではない。
僕は今後「北極点を通過したことがある男」になれるんだ!
ウキウキしながらその時を待ちました。が、いつも通りお酒を飲んでしまい、気絶。記憶にございません。
しかしながら、北極点を通過しましたよ!というディプロマを貰えて、嬉しい気分で朝5時到着。
額に入れて部屋に飾ろう。
1時間で最速トランジットもできたけど、せっかくなのでヘルシンキに8時間くらい滞在します。
確か24時間以内ならトランジットと認められるみたいなルールがあり、この時間を利用して観光をするのはとてもおすすめ。
6時30分の開店と同時にラウンジで朝食を食べ、町にアクセスできる空港駅に向います。
驚いたのが、玄関口である空港駅に向かう、3分ほどの長いエスカレーターに広告が一切ないこと。
コンクリート打ちっ放しの巨大な壁は、まるで工芸品のような美しさ。
少し調べたら、国の広告に対する規制が非常に厳しいらしい。
日本だったら間違いなく売られる場所だと思うし、多分非常に高価なスペースでしょう。だからこそ、そこを売らないことで国としての在り方を示しているようにも思う。
些細なお金のことよりも、国としての美しさを演出している姿勢を勝手に想像し感銘を受ける。
どこを切り取っても美しい、この空港を見るだけでもフィンエアに乗る価値があると感じる。
そういえば、2013年頃に行ったロシアの地下鉄も一切広告がなかった。
その時も驚いたけど、それは少し事情が違うかな。
駅プラットフォームにも華美な装飾はなく、ひたすらに美しい。
12€の1日乗車券を自動販売機で購入する。
片道切符は5€程度。往復しかしない予定だったから10€なんだけど、帰りに慣れない駅チケットを買う面倒を考えれば1日乗車券の一択。
何年前に来たかは忘れたけど、変わらない街並み。
変化を少なくすることに大きなコストをかけているんだろうと想像する。
ドバイのように毎年景色が変わる都市もあれば、なるべく変わらない都市もある。
最近は変化すること自体がいいことだと、少し強迫観念のように発信されているけど、何事も程々が良いよね。
フィンランドは収入、雇用所得、ワークライフバランス、幸福度など全てOECD加盟国平均を上回っている国。
空港駅のエスカレーター一つとっても色々と伺える。
奇しくも絶望的な円安と物価高で物の価値、サービスの価値をいつも以上に感じた今回の旅。
スタートにふさわしい経験になった。
その後、再度空路でパリ・シャルルドゴール空港へ。
ロワシーバスでオペラ座、徒歩でホテルへ。