ゆで卵の作り方のコツは卵を茹でない
料理の基本シリーズです。
ゆで卵についてはこんな記事も書きましたが、今回はイギリスが誇る三つ星シェフ、ヘストン・ブルメンタールさんの作り方の紹介。ヘストンさんは 「完璧なゆで卵(Boiled Egg)をつくるコツは、卵を茹でない(Not Boiled)こと」と言います。
最も知られているゆで卵の作り方は『水と卵を鍋に入れて、沸騰してきたら火を弱めて所定の時間茹でる』というもの。しかし、このレシピには2つ弱点があって、鍋の大きさや水の量という変数を揃えられないこと。また、沸騰した湯ですから100度で加熱することになるのも問題です。卵白の凝固温度は100度よりもずっと低いので、茹ですぎると卵白の外側がゴ ムのように硬くなってしまいます。
そもそも卵のタンパク質の凝固温度は卵黄は65℃くらいから固まりはじめ75℃前後で凝固、卵白はそれより低い温度からゆるやかに固まりはじめ、最終的には80℃以上で凝固します。(白身のうちトランスフェリンというタンパク質は65度前後で凝固します。温泉卵の白身がゆるく固まる理由)つまり、沸騰した湯(100度)で茹で続ける必要はそもそもない、ということ。
復習になりますが、卵の保存方法から。
卵はスーパーでは常温で売られていることもあります。冷蔵庫に入れてしまうと、家に持って帰るあいだに卵の表面に水滴が付着し、細菌が増殖してしまうからで、昔は常温販売が普通でしたが、最近では冷蔵で売られていますね。これはいいことだと思います。買ってきた卵の保存も冷蔵庫が正解。マギーキッチンサイエンスによると卵は室温で1日おくと、冷蔵で4日おいたのと同じくらい品質が低下するそう。また、冷蔵庫のドアポケットについている卵入れには入れないでください。卵は振動に弱く、卵白が薄くなってしまうからです。
卵は冷蔵庫から出したてのものを使います。(卵の状態をいつも同じにすること で仕上がりを安定させるためです)
卵は先端を下にして保存しておきます。(パック詰めされている卵はちゃんと そう並べられています)これは卵の内側にある気泡が卵白に入るのを少しでも防ぐた めです。
ゆで卵は新鮮な卵と古い卵、どちらでつくるのがおいしいのでしょうか。実は古い卵でつくったほうがおいしくできます。その理由は白身に含まれる二酸化炭素。新この二酸化炭素は保存しているあいだに次第に抜けていくのですが、新鮮な卵でゆで卵をつくると加熱によって膨張し、舌触りを損ねる原因になります。そこで茹で卵をつくる前に先端を上にして・・・・・・。
底を硬いところに軽くたたきつけます。殻が割れて中身が飛び出してしまうんじゃな いか、と心配になるかもしれませんが大丈夫です。
こんな感じに底が割れました。この工程でゆで卵の白身の味が違ってきま す。また、殻も剥きやすくなりますよ。もちろん、以前ご紹介したようにピンで穴を開けても大丈夫です。
卵を蓋ができる小さな鍋に入れて、水を注ぎます。
卵がかぶるくらいの水が入りました。ここで卵をとりだします。
鍋で湯を沸かします。先に卵をいれたのは必要最低限の水の量をはかるためです。
沸騰したところに卵を入れて、蓋をして火を止めます。これが卵は茹でない、ということ。
蓋をしたまま6〜8分、待ちます。(固ゆでなら10分以上)
時間がきたら冷水にとります。
6分だと卵白がふんわりと固まった状態。
スプーンをいれると黄身はとろとろです。ヘストンさんはこの半熟卵をつかって黄身 がとろけるスコッチエッグなどのレシピを発表しています。
ただのゆで卵と、おいしいゆで卵の違いはシンプルなだけに大きいですね。朝食などにどうぞ。
撮影用の食材代として使わせていただきます。高い材料を使うレシピではないですが、サポートしていただけると助かります!