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貧乏人のスパゲッティ、贅沢バージョン

イタリア料理の代名詞となっているパスタ。

こちらの本に掲載されているレシピだけでも1,347種。なかにはレストランではほとんど見かけないものもあります。今日、つくる貧乏人のスパゲッティ──スパゲッティ・ポヴェレッロもその1つ。

独身男性が気軽につくるような料理で、いわばイタリア版の目玉焼き丼といった趣。作り方は簡単で、まずは目玉焼きをつくり、それを木べらなどで細かく潰したところで、茹でたパスタとゆで汁を和えるだけ。

イタリア料理は人によって作り方やレシピが微妙に違うので、別の人は茹で上げたパスタを塩、胡椒、チーズで和え、上に目玉焼きを載せたりしますが、いずれにせよ少ない材料でつくれるので貧乏人のパスタという名前がついています。

今日は貧乏人のパスタを贅沢(?)に作ってみます。贅沢ポイントが3つあるので順番に見て行きましょう。

貧乏人のスパゲッティ
 スパゲッティ(1.7mm) 180g
 卵           4個
 にんにく        1片
 バター         20g
 粉チーズ(ペコリーノ・ロマーノ) 30g 

シチリアに行くとチーズの代わりにパン粉をかけたりしますが、今回はローマ風にします。当然、チーズにはローマを代表するチーズ、ペコリーノロマーノを使います。

贅沢ですから当然、チーズはおろしたてを使います。これが贅沢ポイント1です。ペコリーノロマーノの入手が難しければパルメジャーノチーズでもいいですし、粉チーズでも意外となんとかなります。ただ、チーズだけはおろしたてが一番ですけどね。

卵だけだと寂しいですし栄養バランスも悪いので、アスパラガスを加えています。本式とは外れますが、これが贅沢ポイントの2。卵と好相性のズッキーニでもOK。

アスパラは根本を折り、穂先はそのまま、軸は斜めの薄切りにしました。

早速、卵を焼きはじめます。少量のオリーブオイルを敷いたフライパンに卵を割り入れて、中火でじっくりと加熱していきます。本式でやるならここではオリーブオイルではなく、ヒマワリ油を使うべきなのですが、味にたいして差はないのでオリーブオイルでやってます。

同時にパスタを茹ではじめましょう。いつものように1lの水に10gの塩を溶かした塩水を用意しました。今日は贅沢バージョンなのでここに固形のブイヨンキューブを1個投入します。これが3つ目の贅沢ポイントです。

ブイヨンで茹でるのはフランスの化学者、エルヴェティスがおすすめするパスタの茹で方。パスタは茹でる際に水分を吸い込むので、これで味に差が出ます。

ここで使った1.7mmのスパゲッティの茹で時間は10分間。通常とは違い、袋の表示、ジャストで茹で上げて、やや柔らかめに仕上げたほうがこの類のパスタはおいしいです。

目玉焼きができたので2つは上に載せるようにお皿に取りだしておきます。

残りの2つは裏返して、しっかりと火を通していきます。この焦げ目がおいしさのもと。

ソースをつくっていきます。冷たいフライパンにバターと潰したニンニクを入れて火にかけます。ローマスタイルの料理なのでオリーブオイルではなく、バターを使います。

じわじわと溶けてバターが泡立ってきたらアスパラガスとさきほどの目玉焼きを投入します。

木べらで目玉焼きを潰していきましょう。この卵のタンパク質が乳化剤になります。

パスタのゆで汁を100ccとって、、、

鍋に加えます。

分量のチーズを加えて、ソースは完成。

茹で上がったパスタを絡めていきます。

少しソースが残るくらいが理想。

お皿に盛って、最初に皿に避けておいた目玉焼きを載せ、分量外の粉チーズ、黒胡椒をふりかけます。塩味は後から加えなくてもゆで汁の塩分でジャストに仕上がる……はずですが、物足りなければ目玉焼きに塩を振ってください。

食べる時に卵を潰して、パスタと混ぜながら頂きます。味としては黄身が絡んでいる部分はすごくあっさりとしたカルボナーラといった雰囲気ですが、全体的には軽い仕上がりです。ブイヨンでパスタを茹でる手法は案外、知られていませんが、試してみる価値はアリ、です。

撮影用の食材代として使わせていただきます。高い材料を使うレシピではないですが、サポートしていただけると助かります!