トリュフ風味のスクランブルエッグ 赤ワインソース
『究極のスクランブルエッグ』で基本を学んだので応用編です。スクランブルエッグとはキノコがよくあいます。新鮮なキノコを炒めて添えるだけでもいいのですが、トリュフ風味にしてみます。
今回はフレンチの名店『コートドール』のメニュー『トリュフ風味のかき卵』からヒントを頂き、赤ワインソースを添えました。
トリュフ風味のスクランブルエッグ 赤ワインソース
卵 3個
生クリーム 大さじ1
牛乳 大さじ1
トリュフソース 10g(小さじ1強)
赤ワインソース
赤ワイン 100cc
ルビーポートワイン 100cc
バター 5g〜10g
とはいっても本物のトリュフはなかなか手に入らないので市販のトリュフソースで代用です。これはamazonで買いました。(アクアラーニャタルトゥフィ トリュフソース 90g)
このトリュフソース、なかなか興味深い素材で、原材料は安価なサマートリュフとマッシュルーム、それにオリーブ。サマートリュフにはトリュフの香りがありませんので、ニンニクと香料で香りをつけてあります。なのでトリュフソースが手に入らなければマッシュルームの微塵切りと少量のニンニクをオリーブオイルで炒め、トリュフオイルで香りをつけても近いものができます。トリュフオイルはもちろん香料なので、香料が嫌いな方は本物のトリュフを使ってください。黒トリュフには124種類ほどの香気成分が含まれていますが、香料はそれを完全に再現できてません(余談ですがもっと広く使われているバニラ香料は天然バニラの香りを完全に再現できているので人間には嗅ぎ分けることができないはずです)。
トリュフの特徴的な香り成分はジメチルスルフィド。海に行ったときに感じる磯臭い香りの正体です。ウニや海苔にも含まれる香り成分で、この通常は不快な香りが魅惑的な香りになるのが料理の不思議です。他に黒トリュフにはアニソールとポリメトキシベンゼン誘導体が含まれ、これが土っぽい香りの成分。(参考『微生物と香り : ミクロ世界のアロマの力』井上重治 著 フレグランスジャーナル社)昔、トリュフが日本に輸入されてなかった頃、海苔で代用するという手段があったそうですが、それもあながち間違いではないということですね。
あわせるソースをつくります。フランスの郷土料理に赤ワインで卵を茹でて、赤ワインのソースで食べる料理がありますが、リッチなスクランブルエッグにも酸味の効いた赤ワインソースがよくあいます。
コートドールのキリッと酸味の効いた味とは異なってしまいますが、ワインとの酸味のバランスをとるため、ルビーポートワインを半分混ぜます。ポートワインとトリュフも相性のいい食材。ポートワインは酒精強化ワインの一種で、醸造中にアルコールを添加することでぶどうに由来する糖分が残っているため、濃厚な甘みが特徴です。
封を開けても冷蔵庫に入れておけば一年は持つので思い切って買ってもいい食材です。様々なソースや煮込み料理に用います。
ソースの作り方は簡単。赤ワイン、ポートワインを半々にあわせて、煮詰めるだけ。この状態で味を見ると甘いので心配になるかもしれませんが大丈夫。
がんがんに煮詰めていきます。赤ワインの酸味の主成分である酒石酸は加熱に強く、煮詰めても飛びません。つまり、煮詰めるごとに相対的に酸味は増していきます。
適当な頃合いを見計らってバターを投入。今回、卵にはバターを入れずにソースに入れています。鍋を揺するか、強火のまま加熱すればバターは乳化します。泡立て器で混ぜてももちろんOK。
バターが乳化しとろみがつきました。
200ccが20〜25ccになるまで、最終的にここまで煮詰めます。
卵を3つ割り、生クリーム大さじ1、牛乳大さじ1、トリュフソース10gを混ぜます。トリュフソースに塩が入っているため、塩は必要ないでしょう。
湯煎で加熱します。
鍋底に水が直接触れず、蒸気で加熱するようにするとボウルの底にまんべんなく火があたります。
今回も滑らかな仕上がりを目指します。
これで68℃。こんな状態です。
70℃でこんな状態です。ここで加熱をストップ。
予熱で多少、温度が上がります。これくらいになればOK。
温めた皿に盛ります。これにウニを載せればまた別の料理になりますね。
違う器に盛ってみました。ソースと卵を一緒に口に入れて欲しいので、周りに赤ワインソースをかけます。本物のトリュフが手に入るならそれに越したことはありませんが気分だけならかなり近いものが味わえます。ワインの酸味と卵が好相性。前菜にゆったりとした気分でつくるのがいいでしょう。
撮影用の食材代として使わせていただきます。高い材料を使うレシピではないですが、サポートしていただけると助かります!