空気を食べる〜ニンジンの泡の作り方〜
スペイン語で「アイレ」、 英語では「フォーム」、フランス語では「エキューム」と呼ばれる技法のご紹介。大豆レシチンを使ったテクニックはエルブジのシェフ、フェラン・アドリアのチームが開発したもの。
ニンジンのエアー
ニンジンジュース 200cc
大豆レシチン 3g
大豆レシチンはトレハロースやマルトデキストリンが添加されている粉末タイプを使います。レシチンは湿気やすいので、保管の際にはご注意を。ドラッグストアでサプリメントとして売られている顆粒タイプのものは溶けづらいので避けるのが賢明。
フォームは香りを味わうものですが、空気によって薄まってしまいます。つまり、風味の強い材料が向いているということ。ジュースではレモンやライム、酢などが向いています。 コーヒーや海水、アサリのジュース(アサリかハマグリの殻を剥いて、なかに入っているジュース)なども面白いかもしれません。
ニンジンのアイレをつくるならクオリティの高いニンジンジュースを使う必要があるので、ニンジンを新聞紙で包んで冷蔵庫で4~5日置いておきました。採れたてよりも風味が濃くなります。
ジュースを絞ります。
とりあえず200cc、とりました。
スティックミキサーかミルクフォーマーで泡立てていくのですが、レシチンが入っていないとこんな風にすぐに泡が消えてしまいます。
レシチンを加えてみましょう。液体に対してレシチンの量は約1~2%。
みるみる泡立っていきます。ある程度泡立てたら泡をスプーンですくって別の容器に移します。また泡立てて容器に移すという作業を繰り返して泡をつくっていきます。
こんな感じ。泡は1〜2分置くとより安定します。
しっかりとした泡です。料理への応用例としては、ガムシロップで甘みをつけたココナッツミルクを皿に敷き、このニンジンの泡を載せ、皿の端にアクセントとしてカレー粉をほんの一つまみ置くと「ニンジンのアイレ、ココナッツミルク」という料理に。
『洗剤の泡みたい』と嫌う人も多いので、 使うのには注意が必要ですが、『泡』はヌーベルキュイジーヌ運動以降、より軽く、美味しいものをたくさん食べられるよう に、という流れに位置づけられます。レシチンを使ったテクニックは他にも応用例があるので、順次掲載していく予定です。