こだわりやら距離感やら
軽く流せたら楽なのに
気にしなければ平和なのに
でも、見えてしまう
感じてしまう
ああ、まただ
また、こういうのに巻き込まれてる
仕事中の何気ない会話
ただの雑談のはずなのに
どこか駆け引きめいた空気が流れる
男同士の妙な探り合い
女性を挟んで、どちらが優位か
誰が気を引いているか
そんなの、どうでもいいはずなのに
気にしないふりをして
適当に流して
「ああ、そうなんですね」なんて言いながら
頭のどこかで、冷めた自分が見ている
「ダセエな」
でも、それを見てる俺も
同じくらいダセエんじゃないか
いや、むしろ
俺もそれをやってるんじゃないか?
男としての立ち位置
気を引くか引かないか
そんなことを意識してる時点で
もう、そのゲームに乗ってしまってる
「うわ、気持ち悪」
自分で自分にドン引きする
気づいてしまうからこそ
余計に嫌になる
気づかなきゃ楽なのに
見えなきゃ気にならないのに
でも、昔からそうだった
独身の頃も
友達の輪の中でも
つながりそうで
切ってしまう
誰かが距離を詰めてくると
なぜか自分から離れてしまう
好かれたいはずなのに
選ばれたいはずなのに
競争みたいな空気を感じると
一気に冷める
比べられるくらいなら
いっそ離れた方がマシだと思ってた
そうやって
彼女を作るのも大変だった
「なんでこんなにめんどくさいんだ、俺」
適当な関係が嫌い
本気じゃないやりとりに価値を感じない
軽く、浅く、なんとなく
そんな繋がりなら、いらない
それは今も変わらない
妻以上の人はいないと分かってる
家庭が何より大切なのも分かってる
なのに、なぜ
こういう場面に遭遇すると
心がザワつくんだろう
嫉妬深いのか?
独占欲の塊なのか?
そんな自分が嫌でたまらない
やだなあ、こんな自分
だけど、どうせ変われないのも分かってる
こういう自分と
どう折り合いをつけるか
どう付き合っていくか
それを考える方が
たぶん、まだ建設的なんだろうな