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第四の壁をぶち抜いてくる報道グルイのサイコ阿部寛によるホラー映画「ショウタイムセブン」

ショウタイムセブンは「公平」かつ「公正」な立場で「真実」に迫ります。

…これ何かしらの呪いの言葉ですか?

本作と似たような題材だと「グッドモーニングショー」という映画がありますが、あちらはテレビ局版踊る大捜査線とも言える、ワイドショーの裏側ひいてはテレビ局という組織をそこで働く会社員たちの目線でコミカルに描いたお仕事モノだったのに対して、ショウタイムセブンは徹底して報道番組の表舞台、視聴者が見ている視点にフォーカスが当たっています。

ほぼ全編が本番中で生放送中という圧倒的ライブ感。ショウタイムセブンという番組をリアタイ視聴してるような疑似体験。

作中でカメラが回っていないシーンは時折、まるで密着取材中かのようなドキュメンタリーチックなカメラワークになるので、そこがまだテレビ番組の一部のような、放送と地続きであるかのように錯覚させられ、見ているこちらの緊張の糸を途切れさせない。

極めつけは阿部寛演じる折本眞之輔がカメラを通して視聴者に語りかけるシーン。スクリーン越しにエンタメを消化していた我々が突然、壁の向こうのテレビの前に引きずり込まれる。もはや逆リング。

その瞬間、私達は映画「ショウタイムセブン」を観に来た観客ではなく、報道番組「ショウタイムセブン」を自宅で見ている低俗な視聴者へと成り代わりました。

怖すぎるだろ。なんでこんなことすんの?劇場型ホラー?

でも、折本に「面白かったでしょう?」と問いかけられたときに「面白かった」という感想を抱いた自分自身によって、折本による最高の皮肉と風刺が完成されたのは体験型映画の後味として痛快でした。


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