アーティストの人材育成と移住支援政策について
芸術文化の分野で。
地方都市でよくでてくる議題のひとつに「人材育成」がある。
私が関わっている様々な芸術団体でも人材育成は大事とされているし、行政や助成団体でも大事な位置に置いている。
私自身もそこそこ大事だとは思っている。
ただ、大都市ならともかく、地方都市では仮に人を育てたとしても活躍の場が少ない。
10代後半、20代前半の若者にとって地方から全国への発信は簡単ではないし、研鑽の場も少ない。
なので、せっかく育て上げた人材は流失する。
そして、また一から人材を育成する。
地方ではそういう現状があるにも関わらず、人材育成のゴールとして地方都市から独自の文化を発信することを夢見る。
日本という単位でみるのであればそれは成立しているのかもしれないが、地方からの視点だと中央に利権を吸い取られる地方経済のように見えてしまうこともある。
では、地方は何をするべきなのか。
例えば、中央ですでに活躍しているアーティストに移住してもらう。
これは結構良いのではないかと思う。
具体的には、アーティストの移住支援政策である。
大都市である程度の成果を挙げた作家にとって、次のステップに地方を選ぶことがある。
金森譲さん、平田オリザさん、鈴木忠志さんなどもそこに当てはまると思う。
生活環境を変えることで、創作環境も変わる。
この領域の人になると、どこに住んでいても国内外への発信力はそれほど変わらないし、都市でも地方でも自分がやるべきことは変わらないので、生活環境を向上させることが重要になってくるのだと感じる。
「人材育成」と書いて「新人育成」と捉える向きが多いが、前に進む気持ちがあればいくつになっても人は育つもので、大御所だって育成の対象になるのである。
札幌くらいの規模の町にとって、専門家の移住支援政策は市民にとっても、行政や経済界にとっても、芸術団体にとっても、この街を出て行こうかと考えている若きダンサーやアーティストにとってもメリットがあると感じる。
では具体的にどのような支援が望ましいのか。
今後、実際に移住したアーティストなどに話を聞いていければと考えている。