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【ドイツで子育て】「いやいやえん」がデフォルトの国

[初出:2009年9月]

子供の頃に読んだ絵本を見ると懐かしくなって買い求めることがよくある。中川季枝子作の「いやいやえん」もそんな一冊である。しかし、今読み返してみると、受ける印象が全く違うのに驚く。

表題作「いやいやえん」では、主人公のしげるが朝から駄々をこねるので、何でも好きにできる幼稚園に連れて行かれる。そこでは喧嘩をしてもとがめられないし、一斉にお片付けすることもない。いわば放任主義の極みである。

多少の語弊があることを覚悟して言えば、「いやいやえん」はドイツの幼稚園そのものである。縦割り保育で、子供たちは基本的に自分の好きなことをして過ごす。発表から50年近くという時代的な感覚のズレもあるかもしれない。それでも、ドイツでは当たり前のことが、非常に特異な世界として描かれていることに考えさせられてしまった。

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