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小説「対抗運動」第3章2 グローバリゼーションとモノカルチャー

舞ちゃん「おいさん、京都、行ってきたよ。」

おいさん「ほうか、どうやった?」

舞ちゃん「グローバリゼーションとかモノカルチャーとか、結構むつかしかった・・・・」

おいさん「シバさんはどうじゃ?」

舞ちゃん「講演の後ね、場所変えて、シバさんが床にあぐらかいて座って、皆もシバさんを取り囲むように床に座ってね・・・。どっしりとした、女の仏像みたいやった・・・・。」

おいさん「おいさんも座ったとこ見たことあるよ。かっぷくがええおばさんじゃね。」

舞ちゃん「どんどん農作物の種類が減りよるんじゃと。シバさんは米と麦と大豆とトウモロコシと砂糖しか大規模に流通しとるもんはないと言よったよ。たったの5種類!世界中のお百姓も、他のもの作るんをやめて、それらを作ろとするけん、どんどん種類が減っていくんやと。あと、米の種類にしても、インドでは20万種類もあったんが、今では2000種類に減ってしもたんじゃと。」

おいさん「お金の魔力じゃね。グローバリゼーションいうんは世界中の人がお金を追いかけだした、いうことじゃろね。お金がないと何にもできんようになってしもた。」

舞ちゃん「どしてやろ?」

おいさん「お金では何でも買えるけど、作ったもんが売れてお金になるとは限らんけんね。100円のパンと100円は、算数ならイコールじゃけど、経済では違うんじゃ。100円の方がずっと有利じゃ。買わいでもええけんね。しかし、パンは売れんかったらゴミになってしまう。どうしても売れんと困るんじゃ。ほじゃけん、値引きもせんならんようになる。皆、お金の方を追いかけるんは理由があるんじゃ。あと、世界中のお金が結びついたけんね。どこの国のお金でも、それが今何円かわかるよね。けど、どのお金でもイコールじゃないんじゃ。ドルじゃったら世界中どこでも値切られせんじゃろけど、円は交換する時、ちょっと値切られるんよ。あとね、その国の中では通用するけど、ドルに換えられんようなお金もあるんよ。今のグローバリゼーションは、世界中の基準のお金がドルになったいうことじゃろね。世界中の人がお金を追いかけとるんじゃが、実はドルを追いかけとるわけじゃ。」

舞ちゃん「モノカルチャーになるんは、一番お金になりやすい農作物が、その時どきで決まっとるからか。しかもそのお金いうんが、実はドルなんか。そいで解ったわ。シバさんはこう言うたんよ、アメリカを中心にした世界経済の一体化を目指すんがグローバリゼーションで、これは〈人間と地球への暴力〉なんやと。このグローバリゼーションの結果、インドでは毎年5000人も農民が自殺に追いこまれとるんや、と。まるで戦争みたいやね。」

おいさん「舞ちゃん、おいさんは、戦争が起こるんも、同じ原因からじゃと思うとるよ。経済のからくり、実はさっき言うたようにお金のからくりなんやけど、そのからくりは人間を狂わしてしまうんや。ちょっと見には、経済の取引はフェアーに見える。そこが魔力なんや。戦争までして有利な立場を手に入れると、その時はえらい非難されるけど、そうして手にいれた有利な立場で経済の取引しても、戦争は済んだ後じゃからインチキに見えん。これは恐ろしいことじゃ。済んでしもたら分からんようになるいうんは。強引にやる人は知っとるんじゃと思うよ。」

続く
執筆:飛彈ゴロウ、2003年3月29日

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