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機嫌よく生きる~菜根譚からの学び~

先日、実家に帰省した。
テレビを見て、家族と何となく話していたら、母から「マイナス発言が多くなった」と言われてしまった。

あまり自分で自分の話していることを意識したことが無かったため、そのような反応が返ってきて驚いた。
そして、そのような態度で今まで過ごしていたかもしれない自分を少し反省した。なぜなら、私自身、身近に否定的なことばかり言う人がいたら確かに良い気分にはならないからだ。

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帰省先での学芸員実習が終わり、気晴らしに本でも、と思って菜根譚を購入した。

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菜根譚とは中国明代末期(16世紀)に、儒・仏・道の三教に通じた洪自誠が著した処世訓である。

前述のエピソードもあって、自分の変化や学びを得たいと思って読んでみたのだが、そこに書かれている中庸の精神、執着しない心の持ち方、逆境・順境への向き合い方などは、今なお、人生を幸せに送るために必要な要素であると感じた。

いくつか、心に残った文章を紹介したいと思う。

幸福はこちらから求めて求められるものではない。ただ楽しい気持ちを養い育てて、幸福を招き寄せる用意をする外はない。災禍はこちらで避けて避けられるものではない。ただ殺気立つ心を取り去って、災禍に遠ざかる工夫をする外はない。

岩波文庫 菜根譚 今井宇三郎 訳注

天地自然の気候が暖かいと万物が生育し、寒いと万物が枯死してしまう。それ故に人間も、心の冷ややかな人は天から受ける幸せも薄い。ただ心の暖かく親切な人だけが、受ける幸せも厚く、恩恵もまた久しい。

同上

性質がせっかちで心の粗雑な者は、たとえ一つの物事でも成し遂げることが難しい。これに反し、心がなごやかで気持が平静な人には、多くの幸いが自然に集まってくる。

同上

最初の私自身のように、人は何か嫌いなものや不平不満を語ることにも喜びを感じてしまうものだ。
だが、人が自然に惹かれ集まってくるのは、その対極的な存在である、好きなものや日常の喜びを楽しんでいる人ではないだろうか。
幸せというのも、そのような人のもとにやってくるのだろう。

以前の私は自ら幸せを知らず知らずのうちに遠ざけてしまっていたのかもしれない。
日常の中の小さな不満を見つけては攻撃するのではなく、小さな楽しみや好きなものを積極的に見つけて、機嫌よく生きていきたい。

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