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もっと短歌が知りたいわ

数をこなしたわけじゃない、良し悪しを語るだけの知識もない。でも、短歌が好きだ。正確に言えば、面白い短歌が好きだ。ドラマのある短歌も好きだ。本当はもっと読んでみたい。

私が知っている数少ない短歌から、さらに数少ないお気に入り(穂村弘さんが紹介していたのばっかり!)を、紹介しようと思う。

※本当は、文字の置き方も作品の一部だと思うから、こうやって引用することは乱暴かもしれない。


包丁を抱いてしずかにふるえつつ国勢調査に居留守を使う
( 穂村弘
)

私が、「え、短歌っておもしろいのか…?」と思ったきっかけの一つ。2016年1月11日、荻上チキさんのラジオSession22で「大人」をテーマに短歌を詠もう、って話があり、ゲストの穂村さんがこの歌を音読されていた。穂村さんの音読が、また良くってね。
きっと、この家の台所は、南向きじゃないだろう。包丁の持ち主は、一人で暮らしているんだろう。奥行きに驚いた作品。

↑穂村さんは、他の人の歌へのコメントもすごくいいのでおすすめ。

さかみちを全速力でかけおりてうちについたら幕府をひらく ( 望月裕二郎 )

あまりにも意外な展開である。何回読んでもちょっと笑ってしまう。この作品を目で追うとき、私は小山健さんの絵を思い浮かべる。

↑望月さんの短歌集

ひも状のものが剥けたりするでせうバナナのあれも食べてゐる祖母   
( 廣西昌也
)

何の話かと思ったらバナナかよ。めちゃめちゃ近くにいたカメラがぐぐぐっと離れていくみたいな、こういう短歌も面白い。短歌と映画って実は似ている?と思った作品。


銀杏を食べて鼻血が出ましたかああ出たねと智恵子さんは言う   
( 野寺夕子
)

どうしたら、この少ない文字数でこれだけ突っ込みどころを盛り込むことができるんだろう。鼻血が出たのに対してどこまでも冷静な聞き手。冷静であるに留まらずなんとなく誇らしげですらある智恵子さん。なぜ。とりあえず、智恵子さんが誰か私は知らない。

もしわたしが100人のわたしだったら、
わたしのなかでもがんばり屋の13人のわたしは結婚し、
がんばって子どもを育てるだろう。
51人の平凡なわたしは
結婚はして、子どもは持たないだろう。


一生をつよくひとりで生きていくのこり36人のわたし


( 斉藤斎藤
)


人生でやり直したいことがあり、仮に過去に戻れたとする。選択するのは同じく私だから、やっぱり結末は変わらないのでは、というのが私の持論である。がんばり屋のわたしは、違う道を選ぶのかしら。そんながんばり屋のわたしは、どこにいるのかしら(13人もいるらしいのに)。あるいは、36人のわたしたちで、互いを支えあったり、できないものかしら。

↑まず、タイトルが好き…。

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