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『労働者のための漫画の描き方教室』トークイベントに行った

忙しい! 

なんでだ!なんでそれなりの時間に帰っても私の時間はないのだ!帰宅後の時間が、光の速さ。

仮面合コンの漫画の続きも、ド級のクズの父親の漫画の続きも、描きたいのに!なぜ!

と思っていたとき本屋でみつけた
『労働者のための漫画の描き方教室』という本。 

著者の川崎昌平さんのトークイベントの整理券をもらったので、行ってきました。

イベントの内容を、断片的で恐縮ですが、紹介します!

※肝心の本もおもしろくて紹介したくて、でも私が変則的な読み方をしているのでなかなか着手できなくて、(途中までは前から順番に読んで、そこからは自分が特に知りたい章をつまみぐいしてきた)、もし通読できたらまたまとめたいと思っています。

でも挫折しそうだよな…(誤用辞典とほぼ同じ厚さの本なんだよ…)!
だから忘れないうちに、これだけでも。
(たぶん、断片的すぎて、読んだ方じゃないと、うんうん、って思ってもらえなさそうです…)

まずは本の概要をざっくり知ってもらうために、本文「はじめに」から少し引用します。

タイトルが示すように、本書は「労働者のため」に著された「漫画の描き方」の教科書であり、間違っても「漫画家になりたい人」や「漫画を上手に描けるようになりたい人」のために用意されたものではない。
労働者は、あなたがそうであるように、私もそうであるように、自分の仕事をする限り、当たり前だが、忙しい日々を過ごすことになる。
しかし、忙しいという理由で、あなたは表現を放棄してはいけない。なぜならば、表現をしなければ、あなたは忙しい日々に漫然と殺されてしまうかもしれないからだ〔中略〕。


もう一個参考に。

hontoのサイトに載ってた、著者の川崎さんのプロフィール。

略歴:〈川崎昌平〉1981年生まれ。埼玉県出身。東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻修了。作家・編集者、東京工業大学非常勤講師。著書に「はじめての批評」「流されるな、流れろ!」など。

Wikipediaによれば、流行語大賞「ネットカフェ難民」の受賞者でもある方らしい(これを書くまで、知らなかった!)。

やっと、ここから、イベントの内容で印象に残ったところです。

【川崎さんのお話】 

★やらなくていいことをリストアップした方が、早く表現にたどり着くのでは?

この国では、技術がないと表現できない、って考えられがち。
でも、それに反論したい。
漫画を描く上で、いらないものはいろいろあるはず
(本編でも背景いらなくね?とか述べてる)。

例えば。「首不要試論」:
漫画のキャラを描く上で、首いる?
首を描かないと「振り返る人」は表現しにくくなるけど。
「振り返る人」を描かないなら、そもそも首必須じゃなくね?

キャラを描き分ける能力も、
キャラを描き分ける必要がないならいらない。

贅肉を削ぎ落として、ミッフィーに近づきたい。

★「わかりやすく」することにはデメリットもある。
例えば、作業感が強くなる。
読む人のために、することだから。
また、わかりやすいと、自分の無知に気づきにくくなる。

★「失敗の量産」
どんどん手を動かして、どんどん失敗しよう。
台詞AとB、どっちにするか悩んだら、
両方作ってみよう。
どんどん失敗すると、もっと失敗したくなる。
失敗は、考えるヒントになる。

★続けていけると、生きていける
辛かったとき、「この人の作品が完結するまでは生きよう」と考えていたことがある。
でも、その著者の人が亡くなってしまった。

人の作品を見届けることを目標にすると、
その人が亡くなってしまうことがある。
じゃあ、自分でつくるしかない、って結論に至った。

★労働のストレスは、人から決められたルールによって生じてる部分があるかも。
自分が決めたルールなら、大丈夫かも。
仕事でもストレスたまるんだから、
漫画の規格とか
そういうルールでストレスためなくていい。
その枠組みは楽しいか?自分に問いかけるといいかも。

【質疑応答】
Q.ジョブとワークの違いについて。
本の中で「ジョブとワークの違い」について述べられています。この本では、ジョブが「金銭的対価を得るための労働」の意味、ワークが「生きる目的」の意味とされています。
ハンナ・アーレントは、ワークを金銭的価値を得るための労働、としていたと思いますが、なんで本の中では彼女とあえてずらした言葉の使い方にされたのでしょう?

A.(けそ注:私の理解では、まっすぐ上の質問には答えてないのかなーと思われました(答えていらしてたけど、私が理解できてないだけか?ハンナ・アーレントのこと名前しか知らないし)) 

本の中にも描いたけど、漫画を描くことと、漫画家になることがセットじゃないといけないと考えてる人が多い。

でも、ヨーロッパのコンテンポラリーアートとか見てると、結びつけるの無理じゃん?って思う。

創作と、それによって金銭を得ることを切り離したい。創作と金銭を得ることを結びつけている人があまりに多い。

描くことを学んでいる学生たちやその周辺の人は、特にこの結び付きに縛られてる、と思う。美術予備校で講師をしていたとき、「これで食べていけるの?!」と(特に親御さんに)聞かれたこと、ままあり。

学生には、
「これで食べていくことはほんと、難しいよ。将来は暗い。雑誌はこれから今よりさらになくなっていく」
「でも、君たちは素晴らしいことを学んでいる」と
話したりしている。

Q.今後やりたいことは? 

A.デジタルならではの表現とか、ここ日本でしかできないこととか。

基本的には日本語の本は 日本でしか売れないからここでしかできないことをやりたい。
  
ながーいスクロールでコマを見せる漫画があって、pixivは巻物の復活だと思った。 
ページの概念があるから、見開きの表現が生まれたわけで、デジタルならではのフォーマットとか、 「ならでは」のアイデアが出したい。
出せていないことが悔しい。

【けそ所感】
・左ききのエレン、
 まさにスクロールする漫画ならではの
 表現があったよなー。
 かっぴーさんすごいなー。

・「わかりやすさ」のデメリットのところ。
 私はたしかに私のために漫画を描いてる。
 でも、私以外に人間がいなかったら、
 私は漫画を描くのかなあ?
 表現はなんでするのかなあ?
 
 線を引く気持ちよさ
 (ペンの引っ掛かりが心地いい、とか)
 もあるけど。

 自分が面白いと思ったこと、 
 人にもそう思ってほしいんだと思うし、 
 なんなら誉めてほしい。
 それも延いては、自分のために描いてる、
 ってことなのかなあ?

・表現と金銭を得ることを切り離すのは
 難しいな。 
 お金がもらえる、ってことは、 
 生活のためでもあり、
 真摯な評価を受けることでもあるからなあ。  
 いいって言ってもらうより、 
 お金を払ってもらった方が、 
 ハードルが高い分、
 本当に評価してもらえたんだ、って 
 思うんだよなあ。
 お金をもらう表現者になることで、 
 特別な(高度な)表現者認定をされたい
 って気持ちが、たぶんあるな。

・私が
 絵がうまくなりたいって思うのも、
 たぶん特別な表現者認定されたいからだな。
 例えば絵が今後も全然上達しなくて
 (中学生からうまくなってないから、 
 十分あり得る未来)、
 表現だけ誉めてもらえるような 
 不思議な機会があったら、
 私は満足するかな?
 
・(過去の書籍を材料に、
 新たな解釈を加えることの薦めがあり)
 千夜一夜物語を漫画にしてる私!
 やるぅ~!

下書きがめんどくさい、話をしたら、
ほんとですよね!と川崎さんは
おっしゃってくださいました。
体に気を付けながら、がんばりましょう!とも。

今日お話を聞いただけで、
私はきっと川崎さんの性格が
好きだろうと思いました。
賢くて面白くて優しい方が好きです。

長くなりましたが、
現場からは、以上です。

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けそ
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