コンテンツ月記(令和二年、長月後半)
読んだもの、観たものを、書きなぐりのメモで記録します(完読できてないものも、書きたいことがあったらメモします)。
9月はいいマンガたくさん読んだので、2回目の更新だい!
毎週1回更新したほうが、ほどほどのボリュームになって読んでくださる方にもいいんじゃ、と思いつつ…今回も大ボリュームです…。
==評価基準(特に記載したいときだけ)==
\(^o^)/ 乾杯。愛。最高の毒なり薬。
φ(..) 特別賞(今後思い出すだろうシーン有等)
==ココカラ==
■マンガ
チェンソーマン(LINEマンガの試し読み部分だけ←たぶん1巻の途中まで)φ(..)
話題になってたけどなんとなく読めずにいたが…これは…これは好きなマンガだな…。
Wikipediaに載ってた作者さんのエピソードから、たぶんこの人の描くものは好きだろうとは思っていたけれど…。↓
まず、絵がとっても好き!!田中達之さん↓に通じるところがある、退廃的な雰囲気のある絵。
カメラアングルも凝っててかっこいいし、キャラクターデザインもいかしてるし、丁寧に描きこんでるのに見やすいところも最高。眺めていて気持ちのいいマンガ。
ストーリーもとっても好き。100円あれば「3日食べられるな…」って思っちゃう主人公、素敵な朝食にありつけることが嬉しくて仕事を受けることを決める主人公、応援しちゃうよねー…。ギャグのセンスもいいんだよな。かわいいデザインの悪魔、しゃべったらまったく予想外の口調なとことか(心を許していいのかよくわからんとこ、まどマギのキュゥべえを髣髴とさせる)。異世界風なのにパーキングエリアがあって、うどんとかアメリカンドッグとか食べてるとこもいい。
いや、こんなマンガ売れるよね…売れちゃうよね…。
続きも読みたいけど、そういうマンガが多すぎるから私の大蔵省(←この名前が好きなので時代に合わせない)は追い付けないのだが!?!?
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アンデッドアンラック(LINEマンガの試し読み部分だけたぶん1巻の途中まで)
自分に触れた人を不運に巻き込んでしまう主人公が、なんとかして死ぬ方法を探している「アンデッド」に出会って…という物語。
こちらは、典型的なジャンプっぽい絵柄だなと思う。
ダイナミックな物語の運びとか、「自分が欠点だと思っていたところが誰かにとって希望になることもある」っていう点は好きなんだけど、いくつか不満な点が…。
・ナチュラルにセクハラシーンある
「意識高い系かよー」とかって話じゃなくて、まじでまじでまじでまじで、そういう「なんでもないことのようにセクハラする」のは読者に影響あるんだよまじで!!この時代にいまだにそれが許されているってことだけでむかついちゃって中身に集中できなかった。
・敵の組織の仕組み既視感めちゃあるなー…
完全にオリジナルな設定っていうのは難しいと思うんですが、能力者による組織で、誰かを倒さないと新規メンバーは入れないっていうところHUNTER×HUNTERの幻影旅団みが強すぎて、なんかそれがノイズになって物語に没頭できなくなっちゃったな…。
・男女のバディもので二人を恋仲にするのをやめてほしい
そういう物語があってもいいと思うんだけど、この時代に描く物語だったら、最高の友達な男女にしてほしかったなって思っちゃうナ…。みんな大好きマッドマックス怒りのデスロードも、フェミニズムの専門家の目が入っているらしいし、「王道」にしたって時代に合ったアプローチってあると思うの!!それが、人類の進歩ってやつだと私は思うの!「女を男に惚れさせる」みたいな構造も、あ、ああ…ってなって気持ち冷めちゃったわ。これも意識高い系とかじゃなくてさ、なんかつまんなくない?性愛でしか繋がれないのか男女!?んなこたないだろ!!!???
とは言え冒頭しか読めていないから、今後恋仲っぽい方向から逸れてくれることを祈っているよ…。
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メタモルフォーゼの縁側(1)φ(..)
ひょんなことから本屋でBLマンガを買ってしまい、その魅力に気づいた70代女性・雪さんと、BL好きの趣味を隠して暮らしている書店アルバイトの女子高校生・うららさんの友情物語。
友達になれるかどうかって、年齢が近いかってことより、波長が合うかどうかが大事だよねって、改めて思った。
雪さんとうららさん、双方が魅力あふれる人物で、おいしいほうじ茶を飲んだ時のように気持ちがほっとするマンガ。
まず、雪さんが素敵なんだよな~!
夫と死別して、時々切ない気持ちになったりはするんだけど、柔らかに楽しく生きている人。コンパクトな習字教室を開いているところもいいし、BLについてわからないことを率直にうららさんに聞けるところも素敵。
そしてうららさんも、思いやりにあふれた人…。本屋で雪さんに待ち時間が生じちゃったとき、ス…って椅子を出してくれるとことか、雪さんが好きそうなBLをじっくり考えて、自分の持ち物から貸し出してくれるところとか。
うららさんは学校ではなんとなく社交的になれずにいるんだけど(少なくとも1巻の間は)、「どこか1か所で社交的ならいいんじゃない?」みたいなことを書店アルバイトの友達に言われる。こういう、さりげないセリフにもいっぱい「救われる~」ってポイントがある。
3話まではコミックNewtypeのサイトでも読めるので、こっちも貼っておきますわね↓
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ひばりの朝(1)←9/29までLINEマンガで試し読みできる
肉付きのいい女子中学生・ひばりの、まったく救われない毎日の話。
くらーい気持ちになります。とことんつらいです…。
ひばりは、家でお父さんに微妙な性的嫌がらせをされている。
お母さんはお母さんで、ひばりの「女」としての身体的成長をからかう。
学校でも、男に色目を使っていると思われており、なんとなくひとりぼっちでいる。
逃げ場所がないので、親戚のお兄ちゃんのところで放課後の時間を過ごそうとするのだが、そんなお兄ちゃんもうっすら性的な目でひばりを見ている。
そのお兄ちゃんの彼女は、自身にはない(と彼女自身が感じている)性的な魅力をひばりが持っていることに、嫉妬心を燃やす…。
暗い気持ちになる要素しかないのだけれど、家に居場所がないことが一番つらかった。
特にお父さん…。小学生や中学生が家の中で性的虐待を受けている話、いつ読んでもほんとにつらい…。こういう子たちはどこに逃げたらいいの…?
(まずは相談する窓口をまとめたりされている、3keysさんをとっても応援している!もっとお金が稼げるようになったら絶対に寄付したい団体さん。この動画↓もすっごく配慮されててとってもよかった…性的虐待は女の子だけじゃなくて男の子も受ける可能性があるし、性別を限定しない見た目のキャラクターにしているそうです)
「居場所のない家庭」がイメージできない人って世の中にたくさんいるなって思うから(特に政治家とか教育のシステムを考える人にそういう人が多いのは、致命的だと思う…)まずはこういう物語が、もっと多くの人に届くといいな…。
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WHITE NOTE PAD(1)←9/29までLINEマンガで試し読みできる
30代男性と女子高校生が入れ替わるマンガ。
入れ替わりモノにしては珍しいと感じるところが、3点ある。
①(少なくとも導入部分は)比較的ポップな作品が多い気がするけど、この作品は最初からなんとなく暗い気配がしている
②多くの入れ替わりモノは、(少なくとも導入部分は、あと入れ替わった人のどちらかは)「体」の人の元のキャラとか生活を維持しようと努力するけど、このマンガの2人は新しい人格として生きることを選ぶ(前の体に入っていた自分とも違う、新しい人格)
③あんまり一生懸命元の状態に戻ろうとしない。今の状態でどうやって生きていくか、そっちにエネルギーを注いでいる
この辺が、さすがヤマシタトモコさんだなあ、と思った。入れ替わってからの二人の行動が違ったりして(30代男性in女子高生は、女子高生の部屋にあった手紙やメールなどいっぱい読んで彼女の日常について一旦勉強しようとするが、女子高生in30代男性は、彼の部屋にあるもの一切読まない、まっさらな状態で彼の体で生きる)、別々の人間としての描き分けがとても面白い。
出てくるキャラクターそれぞれのこれまでの人生を感じて、没頭して読んでしまう。
人生変えようと思ったら環境を変えることはとっても大事だと思うけど、向き合う姿勢もやっぱり大事だよねって、再確認する1冊。
あなたは自分が今女子高生になったら、何をしますか?新しい自分としてもう1回スタートを切りますか?
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さんかく窓の外側は夜(1)←9/24までLINEマンガで試し読みできる
ホラー×BL のお祓いミステリーマンガ(?)。
はっきりBLって言っていいかな…ブロマンス、かもしれない…。
お祓いに主人公の三角くんを誘う、冷川さんという人が不思議なキャラだ。なんていうか、サイコパス系のキャラだ。こう、会話とかは普通にできるんだけど、熱くても「あっつ」とか言わなそうな、恥ずかしいときでも顔色一つ変えなそうな、そういう人いません?そういう人なんですよ。私は霊よりもこの人が怖い。こういう人、現実世界にもいて、なんというか言葉が通じている感じが一切しなくていつも怖い。ということで、いまいちハマれなかった。
巻が進んでいけば、冷川さんの人間性ももう少しわかるようになるだろうか…?
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最後の秘境 東京藝大ー天才たちのカオスな日常ー(1)
Kindle Unlimitedにて読む。
藝大の中でも、音楽系と美術系では結構雰囲気や思考の方向が違うんだなーというのが面白かった。
藝大って多浪生がいっぱいのイメージだけど、音楽系の人は早く活動を始めることを重視する傾向にあり、現役合格できないと思ったら他大学に行く人も多いらしい(みんながみんなそうではないと思うんだけど)。
試験の内容も面白かった!
(最後の秘境 東京藝大ー天才たちのカオスな日常ー1巻より引用)
でもこれって対策しようがないと思うからさ…もうひたすらひたすら、あらゆる方面にアンテナ張って、インプットしておくしかないだろうね…。
基本的にポップで読みやすいマンガなんだけど、奏者じゃなくて楽理科を選んだ人の話とか、芸術の残酷さや厳しさを感じるエピソードも入ってて、ちょっと苦いところもあった。
(最後の秘境 東京藝大ー天才たちのカオスな日常ー1巻より引用)
でもさーこういうさー寝食を忘れて創作している人の話読んじゃうとさー自分の凡才にもうほんっと悔しくなっちゃうよなー…、この悔しみを大切に生きよう…!(昨日のTBSラジオで、ジェーン・スーさんが「悔しい気持ちはお金で買えない」って話されていたことに、とっても励まされた。悔しいってことは、もっといいものを創りたいってことだから!)
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やれたかも委員会(4)
Kindle Unlimitedで読む。
1~3巻までも、飛ばし飛ばしで読んだんだけど、やれたかも委員会に出てくる女の子ってなんかみんな怖くないか?恋じゃなくて駆け引きを楽しんでいる人たちだと思う。ナンパ師に近いかも、ゲームとして、自分のこと好きそうな人たちの反応を楽しんでいる。相手は誰でもいい感が濃厚に漂う…(恋愛というのは、そもそもそういう性質のものだとしても…こう如実だと…)。こういう体験ばっかりしている男の人がもしいるとしたら、女嫌いになっても仕方ないだろうなと思った。だって人の心が感じられないもん…。ラブをゲームとして楽しみたい人たちは、そういう人たち同士で楽しんでほしいと思う…。(ちなみに委員会にいる月満子さんも私は怖い。そんなに勝負みたいな恋愛はしんどいし、心休まらないよ…)
で、4巻。他の巻はオムニバスぽくなってるんだけど、この巻はほとんど一人の人の長い手紙を紹介する形になってる。
構成としてはオムニバス形式の方が好きなんだけど、この巻で主人公がふと、「自分は、先輩のことが好きだったんじゃなくて、自分が思い描く先輩の幻想…『先輩ダッシュ』のことが好きなんじゃないか?」みたいな考えにたどり着くのが、とっても本質!と思ったのでメモする次第。
私も、初めて付き合った人に振られたのを4年くらい引きずってたんだけど、温めてたのはたぶん、「その人ダッシュ」への思いだったんだよね。その人本人とは、向かう先が決定的に交わらなくなっちゃってて、だから絶対復縁なんか無理だったけど、私の妄想の中のその人への期待だけどんどん広がっていっちゃって。
…ということで、失恋の傷に長く苦しんでいる人には結構おすすめの1冊。幻想から抜け出て、その人本人に向き合うって、何歳になってもずっと難しいな…。
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■本
なんで僕に聞くんだろう。\(^o^)/
人生相談を読んだり聞いたりするのが割と趣味なんだけど、知識人みたいな人が相談者をぶった切って、その人の持論をただ1つの正解として乱暴に置いていくような、そういう回答は好きじゃない(でも、そういう回答結構多いんだよな、父性を求めてる人がそれだけ多いってことなんだと思うが)。
幡野さんの回答は、「THE知識人」の回答みたいに、高い台の上から言葉を放り投げるようなものじゃないから、好き。相談者さんが書いてるストーリーの行間をじっくり読んで、相談に出てくる別の人の思いや視点まで見つめて繰り出されるから、好き。
例えばこの辺とか面白い。
不倫相談をするかたがよく使う言葉があります。それは「大切」という言葉です。
彼には大切な家族が……、私には大切な子どもが……。
日常会話でわざわざ大切なんていいません。ぼくは息子のことを紹介するときに、大切な息子です、とは紹介しません。こういう話を聞くたびに、「大切」という言葉には、邪魔という意味が込められているんだなぁっていつも感じます。
(『なんで僕に聞くんだろう。』より引用)
私は中でも、幡野さんの死生観が好きで、それが読めることがこの本の1番の価値だと思ってる。
死にたい人、身近に死にたいって言ってる人がいて悩んでる人、身近な人が重い病気になったり年老いたりして寿命について考えている人、特におすすめです。ぜひ読んでみてください。
↓つぶやきにも書いたけど、9月17日までセールで400円(元は1500円くらい)なので、いつか読むかもって方はとりあえず買っておくといい気がします。
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■映画
サウルの息子 φ(..)
こないだ別の記事で少し触れた、ナチスによるユダヤ人虐殺を手助けしていたユダヤ人『ゾンダーコマンド』を扱ってる映画(つぶまるさん、お勧めくださってありがとうございます!)。
彼らのアウシュビッツでの暮らしを疑似体験できるような映画なんだけど…本を読んでイメージしていた彼らの生活の悲惨さが、もう逃れようのない距離感で迫ってくる。終始「働け!働け!」と飛ぶ。棒で叩かれるのは当たり前。同胞をガス室に誘導してしばらくすると、重い扉の向こうから矢のような叫び声。叫び声がやんで入った扉の先には、物のように横たわる肌色の塊…。意味を考えると恐ろしいシーンが、たくさん。彼らがスコップで一生懸命運搬している、その山盛りの灰が、元はなんだったのか、とか。
心が疲れている人は観ないほうがいいかもしれない…。
劇中、主人公のサウルは「なんでそこにそんなにこだわるんだよ!」ってポイントにずーっと執着するんだけど、やっぱり人間にとって「生き延びる」ことよりも大切なことってあるんだと思う…。
遺体の腕を、布で丁寧に拭くサウルの姿が印象的だった。
↓鑑賞後、町山さんの解説を聴くと理解が深まってよいです。
Amazonとかでもレンタルできるんですけどなぜか高いので、Google Play版を貼っておきます↓
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チョコレートドーナツ \(^o^)/
Netflixで観た。
観ようとおもったきっかけは、DIZさんの以下のツイート。
(↑「ゲイカップルとダウン症の映画なんて紹介できない」って言っちゃう日本のテレビ番組、ほんとに恥ずかしいなと思います…。でもその設定を感動物語として扱っちゃうようなテレビ番組もいや…。そのどちらでもない方法で紹介できるような倫理観のあるテレビ番組、今どれだけあるのかな?)
胸が押しつぶされるような苦しいラストだった。ルディはいつも真摯に言葉を紡ぐ人だから、その人の言葉がどうしようもないルールや偏見の目のせいで嘘にされてしまうのがつらかった。
これを観たら、「お前らホモかよ!」なんて冗談、絶対に言えなくなる…。お互いを大事に思ってる人たちを、「普通じゃない」っていう理由で踏みにじる権利なんて誰にもないよね…。
本当は恋人のルディのことを、ポールは毎回「いとこです」って紹介する。今よりももっと同性愛者への風当たりが強かった時代で、それはポールなりの処世術なんだけど、そのときのルディの、納得いかないって顔…。「冗談」のつもりの何気ない一言で、誰かをあんな顔にしてないだろうか…?
マルコが通う学校の先生とか、ルディの同僚とか、本当に大事なことをわかってくれる人だっていたのに。ルディが万感の思いを込めて歌うシーン、胸を衝く。
でも私には、マルコのお母さんを非難することがいいこととは、思えないんだよな…(これはマンガ『彼氏彼女の事情』を読んでいても感じること)。
彼女は、マルコへの愛情を持っていたと思う。いや、たとえ愛情がなかったとしても、彼女みたいな人が前を向くために適切なサポートを受けられない社会の方が、間違ってるって思う…。
東山紀之さんがルディ役をされて日本で舞台化するそうで(もう始まってるのかな?)、また話題になってる模様。
ほんとにいい映画だった。
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もう終わりにしよう。
Netflixで観た。
私はわらさんの↓の考察記事を読んでやっと「なるほど…」と思えた。
読解力の高いわが恋人は、初見でも結構意味する(と思われる)ところがわかっていたので、私の解釈力(?)の低さなのかもしれないが…全然、わかりやすい映画ではない。とらえどころのない会話シーンが長すぎるし、後半に入るまでは正直結構眠いと思う。
しかし、わらさんの解釈を読んでからもう1回観ると、「ジェイクのこと結構好きかもしれないな…、似てるタイプの人間なのかもしれないな…」と思えた。鑑賞2回目の方が面白い。私はヘンリーダーガーのことを思い出した。勝手にかわいそうな人にしてはいけないけれど、悲しい気持ちでいっぱいになってしまった…。
掃除をしている男性が足を引きずっているのを若い女の子たちが嗤うシーン、ほんっと苦しい。物語だってわかっていても苦しい。
しかし、ジェイクとその両親、ジェイクの彼女の4人の食事シーンが、実に不気味で惹きつけられる。フード理論(私はこの本で概要読んだ。これを頭に入れてると、映画観るのが一層楽しくなる)的に非常に面白いシーン。テーブルにあんなにごちそうが載ってるのに、誰も一口も食べない。食器を手に取るのに、食べない。怖すぎ。