仕事と家庭の両立不安|【1】「不安」の原因
YourConciergeには、日々様々なご相談が寄せられます。その一つひとつに、個別の解決策を提案します。一方で、類似する原因を持っている相談内容も多く、共通した取り組みで解決することの必要性も感じています。
その中で今回は、「女性の両立不安」に着目します。
TPOのサービスを導入する企業の人事担当者様からは、「女性の管理職がなかなか増えない」「何が不安要素かがわからない」という声が多く寄せられます。
企業側には、働く女性をどのようにサポートすれば良いのかわからないという問題があり、働く女性側には、キャリアを築きたいと思っていても、プライベートの悩みは職場ではオープンしづらいという悩みがあります。
そこで、3回に分け、仕事と家庭を両立する女性が感じている「不安」について考察します。
これまで不安などの「心」を扱う文脈では、マイナスをプラスにすることが重視されてきました。しかし、プラスの状態を維持する、または下げないための取り組みを行うことも同時に行うことが重要です。
今回の記事では「不安」の原因を紹介し、次回以降克服方法について紹介します。
<仕事と家庭の両立不安 シリーズ>
【1】「不安」の原因 ←本記事
【2】女性個人の克服方法①
【3】女性個人の克服方法②
原因① 女性が漠然と感じてしまう●●感
仕事と家庭を両立する女性は、同僚や家族に対し罪悪感を感じる傾向にあるという研究結果が存在します。
例えば、「母親は家庭を優先させるべき」と思い込んでいる女性は、それができていない場合に「良い母親・妻ではない」という考えから家族に対して罪悪感を感じます。同僚やチームに対しても、子育てや介護による時短勤務や急な欠勤などが発生するため、「迷惑をかけているのではないか」と、罪悪感を感じやすくなります [Journal of Vocational Behavior volume 115, December 2019 参照2023/1/20]。
また、他の女性が仕事と家庭をうまく両立している姿や、専業主婦が自分はしてあげられない子育てをする姿を多様な媒体を通して目にすることで、自分と他者を比較してしまい自己肯定感が低下します。
「周りはうまくやっているのに、自分だけができていない」
この罪悪感を感じる一方、手を抜いたり、人に頼ることも苦手な女性が多く見られます。これが深刻化すると、エンゲージメントの低下や退職に繋がります。
原因② 〇〇〇症候群
幅広い年齢層の女性から、「自信がない」という意見をよく聞きます。
これはインポスター症候群とも呼ばれ、成功を実力ではなく運のおかげだと感じたり、失敗することが不安、実力不足が露呈してしまうのではないかと自分を疑ってしまう状態を指します。これは社会的な成功者や能力の高い女性たちほど陥りやすいとされています。
組織においては「自分は評価されないだろう」、「管理職になる能力がない」など、自身の能力への不安・不信感から、自己を過小評価することが例として挙げられます。このような不安感や自己不信を感じながら仕事を続けることは、昇進への意欲喪失だけではなく、心身の健康にも影響します。
一方で、『FINANCIAL TIMES』のコラムでは、「インポスター症候群は合理的な現象である」 と指摘しています [FINANCIAL TIME「Imposter syndrome is actually the human condition」参照2022/1/30]。何らかの状態にある場合、「症候群」といったラベル付けをしたくなりますが、男性中心に構築されてきた現代社会において、女性たちが自信を持てないことは自然な現象です。女性自身も、この現象を「症候群」と名付けるだけでなく、自分自身を不安にさせている社会や制度、さらに自分の心の内などの根本原因に目を向け、解決策を見出す必要があります。
原因③ ●●の不在
「女性活躍推進」の取り組みもあり、女性の管理職率の上昇を目指す企業が増加しています。しかし、家庭での負担の重さは変わらないまま、仕事では大きな役割を求められることに、心身が疲弊している女性も少なくありません。
ロールモデルとして活躍している女性管理職社員は「男らしさ」を発揮し、家族や自分の時間を「犠牲」にしてきたため、出産や介護などでキャリアの断絶を経験する女性は昇進に消極的になる傾向にあります。
最後に
一般的に、①〜③が原因で、女性はキャリア構築や昇進をためらう傾向にあります。
では、女性が活躍するためにはこのような「罪悪感」や「不安」にどのように対処すれば良いのでしょうか?次回以降、克服方法や、TPOが提供しているサービスによる解決策や企業の取り組みを紹介します。
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