クリーンベンチを作ってみよう!
こんにちは。
今回から、マガジンの記事を書き始めたいと思います。
自宅でバイオ実験を行う際、最初に必要なのは「機材」です。
大学のラボでは機材が揃っているのですが、家にはそんなものはないので、機材を揃えて行く必要があります。
今回は、数ある実験機材の一つ「クリーンベンチ」の自作方法についてご紹介していきたいと思います!
クリーンベンチとは?
クリーンベンチとは、中を無菌状態にして、細菌が入ると困るような作業ができる空間を作る装置です。
クリーンベンチが1番役に立つのは、生きた培養細胞を扱う時です。
培養細胞は、細菌に非常に弱く、細胞の培地が空気に触れただけで、菌が繁殖して細胞が死んでしまいます。
そのため、培養細胞の操作は無菌の空間内で作業する必要があり、この際クリーンベンチが非常に重宝します。
クリーンベンチの構造
そんなクリーンベンチですが、実際にどのような構造になっているのでしょうか。
クリーンベンチは、使用時にフィルターなどで無菌にした空気を送り、吹き出させることで無菌状態を保っています。
また、多くのクリーンベンチには、未使用時に溜まった菌を殺菌するためにUVライトが搭載されています。
今回作るクリーンベンチについて
構造が分かれば、クリーンベンチも自作できそうですね。
今回作るクリーンベンチは、「バイオハッカージャパン」というサイトの管理人・ふぇちゅいんさんが製作されたクリーンベンチを元に(というかほぼそのまま)作っています。
↓このクリーンベンチを使ってみたところ、コンタミ(培養細胞に菌が入って増殖すること)が起こらず細胞を扱うことができました!
実際に作ってみよう!
それでは、実際にクリーンベンチを作って見ましょう。
1,本体を作る
まず、中を無菌にする箱(本体)を作りましょう。
本体は中を見やすいアクリル製で、殺菌時に照射するUVにが漏れて人体への影響を与えるのを抑えるためUVカットとなっています。
「はざいや」というアクリル専門店で、タテ1000×ヨコ2000mm×幅3mmのアクリル板を購入することができます。↓
これを下図のようにカットし、組み立てればOKです。
アクリル板カットはアクリルカッターで切りました。↓
切る時にキーキー音が鳴ってうるさいので、力を弱くして切るのがおすすめです。
アクリル板だけでは壊れやすいので、四隅に10×10mmの三角柱を置く方がいいでしょう。↓
↓後述しますが、無菌の空気が入ってくるように上面に15cm×15cmの四角い穴を開けておきましょう。
②全面の開閉装置を作る
次に、無菌の空気を吹き出させる全面の開閉部分を作りましょう。
アクリル板を上の図のようにカットし、蝶番を使って接続すれば、前面を必要な大きさだけ開けることが可能になります。
接着剤は、アクリサンデーというアクリル接着剤を使うといいです。
発がん性があると言われていますが、普通に匂いを嗅いだ程度では問題はないようです。
③ファン・フィルター部分を作る
次に、無菌の空気を送り込む装置をつくりましょう。
上の図のように、ファンと、送られた空気をつなぐダクトと塩化ビニルパイプ、そしてその先に菌・ウイルスを99%取り除くHEPAフィルター、そしてそれをセットする容器が必要です。
また、穴を開けるのにホットナイフ(ハンダごて)が必要となります。
HEPAフィルターを入れる容器は、900×600mm、厚さ3mmのアクリル板を上図のようにカットし、組み立てて作れます。
アクリル板を入れる方(B)の底には四角い穴を、フタをする方(A)の底は丸い穴をホットナイフ(ハンダゴテ)で開けて組み立てればOKです。
ファンとHEPAフィルターは下のものをAmazonで、アルミダクト・パイプはホームセンターで買うことができます。
3,紫外線殺菌装置を作る
最後に、使用時に中を滅菌できるように紫外線ライトを設置しましょう。
中に入れられるのならなんでもいいのですが、ぼくの場合はこちらを使いました↓
USB充電式で波長は385nm、消費電力は10Wです。
クリーンベンチ内部の両サイドに設置して使います。
クリーンベンチの使い方
ここまで、クリーンベンチの作り方について書いて見ました。
ここからは、実際にクリーンベンチの使い方についてご紹介します。
①紫外線滅菌
まず、使用する0.5〜1時間前に紫外線ライトを点灯させておき、滅菌をしましょう。
②ファンの稼働
次に、開閉面を少し開け、ファンを5〜10分程度回します。
③エタノールで拭く
最後に、エタノールを使って内部を消毒します。
消毒には70%エタノールを使います。
消毒が終わったら、クリーンベンチのファンを稼働させて作業を初めましょう!
実験者・使用器具の注意
実験を行う人間(実験者)や、クリーンベンチの中に入れる器具にも注意が必要になります。
実験者は、爪を切り、実験前に手や腕を洗っておきます。
クリーンベンチに手をいれる際にも、毎回腕ごと70%エタノールで消毒します。
クリーンベンチの中に入れる器具も、入れる前に70%エタノールで消毒しましょう。
おわりに
いかがだったでしょうか。
DIYバイオの実験の始めとして、クリーンベンチを製作してみました。
次回からは、実験に関わる記事も書いていきますので、お楽しみに!