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【ないない】ちょっと男子!ちゃんと掃除して!!

■ これは何

小中学生の時にいた男子って今思うとめっちゃおもしろかったよねと思ってまとめたもの。

高校から女子校に入っちゃったけど共学に行けてたらもっとおもしろい男子に出会えてたのかしら?

① 五十嵐くん

多分小学二年生ぐらいの話。同じクラスにいた五十嵐くん。最初はイガラシが読めなくて、ゴジュウアラシ!?強そぉ〜〜〜〜!!って思ってた。

全てを一瞬で吹き飛ばしそうなくらい強い名前の反面、見た目は金色のガッシュのキャンチョメだった。まじでこれ。

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そんなキャンチョメ五十嵐くんと席替えで班が同じになって、廊下の掃除を一緒にやってた。私は多分ほうきで、キャンチョメは雑巾がけ。

まじで詳細は覚えてないけど状況から推測するに、乾いた雑巾でキャンチョメは廊下を乾拭き(からぶき)してたんだと思う。既にほうきで掃いたところを乾拭きして何の意味があるんだ。水拭きしろよって思って多分そのままキャンチョメに言った。そしたらキャンチョメがキレちゃって私のことをその乾いた雑巾で叩いてきたのである。女の子に手を出すなんて、キャンチョメの親の顔が見てみたい。

しかし、やられたらやり返す!倍返しだ!!の半沢直樹放送のはるか前からハンムラビ法典をモットーとしていた私も負けじと応戦。私は廊下に干してあった別の乾いた雑巾をわざわざ濡らしてキャンチョメの顔を往復で3回くらいビンタした。乾いた雑巾ではたかれるなんてそよ風に吹かれたぐらいの感覚だったから、威力を上げるためにわざわざ濡らした。水を含ませ重量を上げることで同じ武器でも効力を最大化。小二の私GJ!!!!!!

そしたらなんとキャンチョメが泣き出した。お前から仕掛けてきたくせに。もしこれがポケモンバトルなら負けたお前が私に賞金を支払う義務があるのだぞ?

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キャンチョメの泣き声に担任の先生が飛んできた。「私さんに叩かれた〜〜〜〜」と言って泣き続けていた。今にもフォルゴレェ〜〜〜〜〜!!とお馴染みのあの声で叫んで己のパートナーを呼び出しそうな勢いだった。結果として私は親を呼ばれた。親の顔を見せることになったのは私のほうだった。

② 続:キャンチョメ五十嵐

雑巾バトルの後の席替えで最悪なことにキャンチョメと隣同士になってしまった。あのバトル以降口を聞いていなかった私とキャンチョメは隣同士になっても尚お互いの存在を空気のように扱っていた。

ある日の図工の授業で、薄い木の板に彫刻刀で絵を彫って画用紙に刷る、版画制作にみんな集中して取り組んでいた。

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ちなみに『小学生 版画』と聞くと必ずロバートのこのコントを思い出すのは私だけだろうか

先生が「彫刻刀は滑りやすいから怪我しないように気を付けてね〜」と注意を促していた。確かに力加減を間違えると予測していない方へスルッと動く彫刻刀の扱いに私も苦戦していた。

キャンチョメの版画の進捗具合が気になり、ふと隣を見た。次の瞬間、右手に彫刻刀を持ち、左手で板が動かないよう抑えて作業していたキャンチョメの左手人差し指に、右手の彫刻刀が勢いよくぶっ刺さった。すごい一瞬を見たと思った。キャンチョメの人差し指からがダラダラ流れだした。

雑巾で顔面を軽くビンタされたぐらいで泣いた男だ、絶対また泣き始めるだろうと様子を見ていたが今回は違った。血が出ている人差し指を口の中へ持っていき、血を舐め取ってから作業を続行しだした。とめどなく溢れる血。その度に舐めて、また彫るを繰り返していた。木の板はもう血だらけだった。汚ねえな。止血の知識それしかないのか。一番原始的なやつだろそれ。てかどんだけ版画やりたいんだ。フォルゴレでも彫ってるのか。サプライズでフォルゴレにプレゼントするために我慢して頑張ってるのか。見るに耐えなくて私は結局先生を呼んだ。「先生、五十嵐くんが言われた側から彫刻刀で手を切ったみたいです

チョッ!言うなし!」とキャンチョメは私に言った。言うなし!、じゃねえよ。隣でだらだら流血しながら一心不乱に版画彫られてみろよ。こえーよ。私の一声で教室がザワザワしだして先生がキャンチョメの元へ走って来た。そのままキャンチョメ保健室に連れて行かれた。いなくなった隙に血だらけになっていたキャンチョメの版画をまじまじと見た。廊下を雑巾がけしている自分を彫っていた。版画のテーマは『学校生活の思い出』だった。入学式でも運動会でもなく、あの雑巾バトルを繰り広げた廊下の掃除を作品にしていた。嫌がらせかと思った。リメンバーパールハーバー的なやつかと思った。一生保健室から帰って来んなと思った。

③ 溝口くん

これも小学生の時。多分小四ぐらい。どうでもいいけど。私の小学校は音楽の授業だけは音楽室へ行って音楽の先生から授業を受ける形になっていた。男子生徒と隣同士で着席し、二人の前に一つの譜面台があって、どちらかの教科書を置くのが決まりだった。私の隣は溝口くんという、ドラゴンボールの魔人ブウみたいな男の子だった。

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魔人ブウはいつも教科書を持ってこないので、私の教科書を二人で使い、使わせてやる代わりにそれを捲るのが魔人ブウの担当、というのが二人の間で当たり前になっていた。その日の授業はリコーダー演奏だった。先生の指揮でクラスが一斉にリコーダーを吹き始めた。私も譜面を見ながら、音符一つ一つを一生懸命追っていた。

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視界の切れ端で魔人ブウがおかしな動きをし始めた。疑問に思い私は横を向いた。魔人ブウはリコーダーの下の穴を必死に手で拭っていた。は?何してんだコイツと初めは状況が理解できなかったが、じっと見ていたらリコーダーの下からめちゃめちゃ唾液が出てきていることが分かった。汚ねええええええええええ!!!!!と私は発狂しそうになった。魔人ブウはそれを自分のズボンで抑えたり、手で拭いたりしながら何とか演奏していた。私は今すぐに席を立って逃げたかった。しかし先生はそんな状況に全く気づかずに指揮を続けていた。

演奏箇所が教科書の次のページに差しかかろうとしていた。教科書を捲る担当の魔人ブウは当然それを捲ろうと手を伸ばしてきた。その瞬間、私は目にも留まらぬ速さで魔人ブウより先に教科書を捲った。私の教科書が唾液まみれの魔人ブウの手に触れられることを理解した一瞬、考えるより先に手が動いた。魔人ブウは自分の担当業務を私が代わりにやったことに驚きつつも「ありがとう」と言ってきた。その間もリコーダーの下から唾液が絶えず放出されていた。

音楽の授業後、そのことをクラスの友達に愚痴ったら話があっという間に広がって、魔人ブウのあだ名はつばぐちになった。かわいそ。

④ ういちくん

中学の入学式での出来事だった。私の中学は小学校から持ち上がりの子がほとんどで、入学の時点でクラスのほとんどが知り合いだった。当然知らない子も何人かいて、少数派のその状況に緊張しているようだった。佐藤ういちくんも初めましての一人で、宇宙で一番と書いて宇一という名前だと自己紹介で名前の由来を説明していた。

クラスでの自己紹介を終えてから、入学式のためにクラスごとに体育館へ向かった。司会の新入生入場の声にたくさんの拍手を受けながら、私たちは自分の決められた座席へ向かって整列して歩いた。新入生が着席するエリアの最後尾に既に先に入って座っている数人がいて、その子たちは特別支援学級の新入生だとすぐに察した。

式は進み、新入生紹介の時間になった。新一年生全員の名前が一人一人呼ばれるので、はいと返事をして立ち上がるよう、事前に担任から説明されていた。私たちのクラスの順番になり、五十音順にどんどんと呼ばれるクラスメイト。いよいよういちくんの番になった。

「佐藤ういち!」「はい!

彼は大きな声で返事をして立ち上がった。そして次の人が呼ばれるまでのほんの少しの間に事件は起きた。

うんちぃ〜〜〜〜???

特別支援学級の子がシーンとした体育館でその場にいる全員が聞こえるボリュームでそう言った。ダメだった。耐えきれなかった。私は吹き出してしまった。いや思ったけど。自己紹介でうんちみたいな名前だなと思ったけど。思ったことをすぐに口に出せる素直さは今は必要ない!と強く思った。

その後も粛々と進行していく式の最中、問題の発言をした特別支援学級の彼はそのワードが気に入ったらしく、うんちっ!うんちっ!うんちっ!と楽しそうに体を弾ませて終始はしゃいでいた。絶対に笑ってはいけない入学式を体験している気分だった。

⑤ 番外編:小田切くん

これは私の話じゃなくて、友達の中学生時代の話。だから番外編にした。その子も中学入学時にクラスのみんなに自己紹介する場があったらしい。一人の男子が自己紹介を始めた。

オダギリショーです。よろしくお願いします。」

途端教室がざわつき始めた。クラス全員の脳裏にあの俳優が浮かんだからである。

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Wikipediaによると俳優オダギリジョーのデビューは1999年。クラスメイトの小田切くんが産まれた頃に既にデビューしていたら絶対につけられなかったであろう名前を一生背負って生きていく羽目になったのである。かわいそうな小田切くん。せめて同姓同名ならまだ救いがあったのに、よりによってジョーショー。かわいそうな小田切くん。

⑥ 野中くん

中学校の家庭科の授業で調理実習をやることになった。材料は班員各自持ち寄りすることになって当日を迎えた。うちの中学校の家庭科室はとてつもなく汚くて、箸が入ってる引き出しに直にゴキブリキャップが置いてあるというまじで生徒虐待レベルの環境だった。直接口に入れる箸のすぐ目の前に害虫駆除材を置く神経は一生理解できない。一秒でも早く終えてこの教室を出たかった私はテキパキと動いていた。他の班員も同様に動いてくれて、調理は進んでいった。

野中くんが担当になってた食材を使う料理の工程に入った。しかしその場にその食材はなく、彼の姿もなかった。あいつどこ行った!?と探したところ、他の班の仲の良い男子のところでふざけていた。

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野中くんはスプラトゥーンに出てくる、このオクトスナイパーに似ていた

オクトスナイパーを呼び戻し、早く持ってきたもんを出せと告げた。盗った物出してと事務所で詰められている万引き犯の如く。しかしオクトスナイパーは悪びれる様子もなく「忘れた」とだけ言って、またふざけに戻って行った。

はあ〜〜〜〜〜〜〜〜〜?????????仮にもこれは授業なのに、何一つ手伝わず、自分の班どころか他班にまで迷惑をかけ、挙句食材すら持ってきていないだと!?!?!?私の堪忍袋の緒が切れた。

結局オクトスナイパーが持って来なかった材料は他の班から少しづつ分けてもらった。全ての調理を終え、残すは食事に添えるお茶を入れるだけになった。私はおもむろに家庭科室入口に干されていた真っ黒な雑巾を手に取り濡らした。そしてその雑巾で箸と一緒に入れられていたゴキブリキャップを満遍なく拭いた。その後その雑巾をに放り投げ、二年間履き続けた上履きで踏みしめながら汚い家庭科室の床をゴシゴシと拭いた。そしてゴム手袋を手にはめて、その雑巾の絞り汁オクトスナイパーのコップ半分ぐらいまで入れ、その上から急須でお茶を注いでオクトスナイパーの席に置いた。

何も知らないオクトスナイパーが「できたー?」とか言いながら戻ってきた。班員全員でいただきますをして、食べ始める。私はオクトスナイパーがお茶を飲むのを今か今かと心待ちにして待っていた。全く調理に参加しなかった料理をうまいと言いながら、コップを手に取り、オクトスナイパーは普通にお茶を啜った。「そのお茶おいしい??」私はわざと聞いた。うん普通にうまい、とオクトスナイパーは答えた。その場にいたら私の行動を止められたはずなのに、その場にいなかったが故に何も知らず雑巾の絞り汁入りのお茶をうまいと言って飲んでいるオクトスナイパーに笑えてきてあっという間に気分がよくなった。

その後、体調不良を起こしていなかったかどうかは興味がないので知らない。

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