【実話】新卒で入った会社を一週間で辞めたお話
■ これは何
新卒で入ったブラック企業を一週間で辞めてやった経験をつらつら書く。ちなみに辞めたことに関して何も後悔はしてない。清々してる。
■ 就職活動
義務教育を終えた人ならば誰でも通る道であろう就職活動。就活した、してないに関わらず就職活動自体を今まで脳内に浮かべなかった人はいないはずだ。今現在高卒ニートだろうと、一度は就職について考えたことはあると思う。私ももちろん、新卒採用の枠で就活して内定をもらった一人だった。
学生時代、就活の時期が迫ってきて、大学で就活ガイダンスがあったりなんかして、いよいよ就活解禁だとみんなが髪を黒く染め直したりしている姿を間近で見ていても、私はいまいちピンと来なかった。ゼミの友達が今日は会社説明会なので休みますと講義を欠席している様子を見ても、私も今度その理由で休んで家でごろごろしよくらいにしか考えてなかった。私はどうも自分のそういう面に関してセルフネグレクトっぽいところがあると自覚している。さすがにチュート徳井の四年間で履修できたのは二単位だけで結局中退というレベルには及ばないけれど、進学や就職のこと、バイトやその他全ての事柄においても頑張ったという経験が、今現在に至るまでまるでない。夏休みの宿題を8月31日まで放置しないとやる気が出ないタイプで、就活も同様だった。あまりに何も動いていなさすぎて大学のキャリアセンターから不在着信が何件も入っていたこともあった。そしてそれすら無視していた。
そろそろ就活しなきゃいけないのかなと思ってやっと重い腰を上げたのも、多分卒業する三ヶ月前とかだったと思う。別にやりたいこともなりたい職業もなかったので、祖父が経営している会社と同じ業界に絞ってとりあえず何社か企業説明会に行った。説明会に向かう電車の中でその企業についてググったら元社員からの悪評がたくさん出てきて、説明会後に本選考に進みたい方はそのまま会場に残ってくださいという採用担当の案内の中、私一人だけがその会場をさっさと立ち去ったこともあった。みんな何も知らないんだね〜と心の中でバカにしていた。恐らく私以外の人にはこの時期まで内定をもらえていない焦りがあったんだろうなと今なら思える。
今の時代ってとっても便利で、受けようか悩んでいる会社について少しネットで調べるだけで良くない情報を目に入れてしまうことが多くありすぎた。少しでも嫌な情報があったらはいここもダメ〜とすぐに選択肢から除外していた。そんな感じで企業を選んでいたら最終的に残った企業はたったの二社だけになった。一社は一次面接で「もし縁があってうちに来てもらうことになった場合、会社の近くに引っ越してこれますか?」と聞いてきて、その時ははいと答えた。が、よくよく考えたらその会社があるのは地元から電車で40分くらいのちょい田舎で、何で私がわざわざ地方に引っ越さなきゃいけないんだよ。むしろお前が来い。と腹が立ち、二次面接を当日無断でバックれた。結局残ったもう一社しか選択肢がなくなって説明会に参加したら、そこの社長に謎に気に入られ、全ての選考フローをすっ飛ばして後日社長と直々に面接することになった。そこの社長は調子こいて、BSで深夜にやってる誰が見てるのかも分からない放送尺も10分くらいの起業した人へのインタビュー番組に出ていたようで、それをYouTubeで見つけた私は社長の発言を一言一句文字に起こした。そしてその社長の話を自分の話かのように脚色して、スラスラ言えるよう練習をした。面接当日、それを披露したらその場で内定をもらった。ちょろかった。あまりにもちょろすぎた。こうして開始から一ヶ月も経たないうちに私の就職活動は幕を閉じた。
■ 入社
父に内定の報告をしたら、反対された。同じ業界で働く父はその会社のクソさをよく理解していたからだ。なのに私は聞く耳を持たなかった。自分のリサーチではそんなボロ出てこなかったし、何しろもう就活がめんどくさかった。そしてそのまま私は入社当日を迎えた。
初出社したら、まず朝礼があると言われた。片手に収まるサイズの蛇腹折りの冊子と朝礼の手順と書かれた紙を渡された。
こんな感じの冊子だった
朝礼の手順は全部で17項目もあった。やばすぎてネタになると思ってたから捨てずに取っておいた。中でもキモいものを抜粋する。
1. 司会「朝礼を始めます!」他社員「はい!」
(これを項目の一つとしないといけないって小学生の朝の会かよ。はい!じゃねえんだよ)
3. 司会「スイッチオン!」他社員「スイッチオン!」
(??????????????????)
4. 二礼二拍手一礼の礼拝
(ここは神社?????????????)
6. 発声練習
(ここは演劇部????????????)
7. 挨拶と経営理念の唱和
(だから何??????????????)
17. 今日の目標を時計回りに
( どうでもいいーーーーーー!!!!!)
これを社員で丸くなって大声でやらされた。こんなことに毎日朝から10分以上時間を割いていてドン引きした。(この経験から朝礼というくだらない文化がない会社、というのが転職先を探す上で私の中の重要な条件になった)
そして次に掃除をさせられた。業者に頼めと思った。私はトイレ掃除を任命されたので、便器に座って『新卒 もう辞めたい』でネット検索して掃除をしてるふりをしていた。
掃除(してるふり)を終えたら、先輩社員に同行して仕事見学と挨拶周りをすることになった。先輩社員の車に同乗して客先を訪問した。挨拶したところで多分辞めるんだけど…とは言い出せなかった。運転中の先輩がタバコに火を付けると窓を開け、吸ったタバコの灰を外に捨てた。普通に道交法違反だった。その行動に絶句していたらその先輩が「今後は私さん一人でお客さんのところに行ってもらうことになるから車用意してね」と言った。車を?買えと?シャーペンじゃなくて黒のボールペン用意してねみたいなノリで車買えと?そんなこと初めて聞いた。もはや詐欺だろこの会社。もう本格的に辞めたいと考えていた。OJTもクソもあったもんじゃない。
その後も、トイレに社長からのお言葉と書かれた居酒屋トイレに貼ってある浅い名言集と変わらないレベルの気持ちの悪い紙が貼ってあることに気付いて、辞めたいゲージがさらに上がった。その紙を破り取ってケツでも拭いてやろうかと思った。ピースボートのポスターを横に貼ってやろうかと思った。そして筆ペンと指定の手帳を自腹で購入させられた。経費やろがい。筆ペンは客へ入社の挨拶のハガキを100枚手書きするのに使わされた。習字教室に通い始めたっけ?と思った。安西先生に仕事がしたいと懇願しようかと思った。手帳は書き方すら全部決められていた。辞めたいゲージがさらに上がった。そして指定図書を読んで感想文を提出しろと言われた。10冊自腹で購入しろと言われた。辞めたいゲージがさらに上がった。お局がその場からいなくなった人の悪口を言い始めた。辞めたいゲージがさらに上がった。給与の振込先として銀行を指定された。労働基準法違反だった。辞めたいゲージがさらに上がった。昨日と同じ服のまま眠眠打破を飲んでいる先輩に残業代は固定分しか出ないと言われた。辞めたいゲージがさらに上がった。ワンマンすぎて誰も社長に意見が言えない、全て社長が正しい、社長がカラスは白と言ったらカラスは白であると信じ込む環境を目の当たりにした。社長を崇拝するカルト集団にしか見えなかった。こんなことが入社から一週間かけて私の身に起きた。ゲージから辞めたいが溢れ出た。
■ 退職
そして私は入社して八日目の朝、電話で退職の意志を伝えた。電話口の上司は分かりましたとだけ言った。めっちゃすんなり辞めれて快便が出たような気分になった。あんな環境じゃあしょっちゅう退職者が出ているんだろうなあと納得した。
結局、父親の言うことは正しかった。親の言うことは絶対なのである。怠惰な自分を過信したが故の結果だった。その後すぐに私は別の会社へ転職するのだが、そこも半年ちょっとで辞めることになる。友達には新卒の会社も含めて決断力が早くてすごいと言われたが、絶対そうじゃないと思う。うまく言えないけど。嫌だと思ったらすぐ辞めて生きてきた私はこの先きっと何も長続きしないと思う。長続きしてる人が偉いとは少しも思わないし、私はこんな自分が別に嫌いじゃないけど。
ただもしこの文章を見て、自分の退職の参考にしようと思っている人がいるなら一言こう伝えたい。こんな駄文に行き着いてここまで読んでる時点で見る目ないから今すぐ辞めな!!!!!!!!