『How Will You Measure Your Life』② 仕事で充足感を得るために
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『How Will You Measure Your Life?』Clayton M. Christensen
マーケティング会の大御所であるChristensen教授の人生論『How Will You Measure Your Life』について。今回は、転職活動する自分の背中を押してくれたjob satisfactionの考え方について。
仕事の充足度に関わる二つの要因
良い仕事とは、満足できる職場環境とは?社会人も学生も一度は悩んだことがあるとも思う。この問に対する解答のヒントとして、本書ではHerzbergの理論が引用されている。
出典:モチラボ様より
https://www.motivation-up.com/motivation/herzberg.html
この理論を簡単に説明すると・・・。仕事の充足度を測るための要因として、衛生的要因(hygiene factors)と動機的要因(motivation factors)の2つがあってどちらも大切なんだよということ。
衛生的要因に含まれるものは、マネジメント体制・人間関係・労働条件・給与といった快適なオフィスライフを送るために不可欠な要素。衛生的要因の評価の低さは仕事の不満につながる。幸せな人生を過ごすうえで重視しなければならない要素だろう。
対して、動機的要因に含まれるものは、達成・承認・成長といった仕事に面白みを与える要素。衛生的要因とは逆に、仕事の満足度を高める要素となっている。労働環境最高のホワイト企業に就職したにも関わらず毎日が楽しくないという人は、こうした要素が自身の業務や周辺に欠けているのかもしれない。
あなたの職場の「衛生的要因」は十分ですか?
逆に、仕事にはやりがいを感じる、にもかかわらず毎日が幸せに感じられない。そう考えているのなら、ひょっとしたらそれは「衛生的要因」に問題があるのかもしれない。
私が実際にそのケースだった。大学卒業後は第一志望の会社に入社することができ、希望通りの部署に配属された。すべて順風満帆な生活がスタートしたかのように見えたが、入社後数年がたって自分があまり幸せを感じることができていないことに気づいた。今思えばではあるが、「衛生的要因」の評価が低かったからだ。
前職では、毎日20時以降まで残業するのが当たり前。家に帰ってからプライベートの時間をとることはほとんどできなかった。幸いにも、終電に乗れない、22時を超えての深夜残業はほとんどなく、人間関係にも恵まれたため3年以上仕事を続けることができた。ただ、本当に自分にとって満足できる衛生条件ではなかった。なんで僕は定時に仕事を終える生活ができないんだろう。そう思いながら仕事をする日が多かった。だからこそどれだけ仕事を頑張っても辛く、満たされなかった。
僕はこの経験から、次の仕事を決めるときには「衛生的要因」「動機的要因」の両要素についてしっかりと分析を行わなければならないと学んだ。給与だけ、職務内容だけで仕事を選ぶと失敗する。また、仕事の充足感が得られない時には、どちらの要因に問題があるのかを見極める必要がある。転職するとしても、要因分解ができていなければも同じことを繰り返すことになるだろう。しかしやっかいなことに、給与以外の衛生的要因は企業の募集要項から判断できることはほとんどない。だからこそ「衛生的要因」の分析はおろそかになりがちだし見落としがちになってしまうのだと思う。口コミサイト、オフィス見学、面接内での反応から推測いくなど、方法がないわけではない。面倒に思うかもしれないが、幸せな社会人生活をおくるためにできる限りの調査は行ったほうがいいだろう。
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