見出し画像

『銀樹』森埜こみち

2025年の2冊目は、妻が図書館でジャケットだけで借りてきた『銀樹』が家にあり、パラッとめくると読みやすかったので本書をさらっと読了したので感想を残します。


前置き

児童文学ということで読みやすく、しばらく本から離れていた私にはちょうど良い文量でした。作者が伝えたいであろうメッセージも読み取りやすく、大人には物足りなさがあるかもしれませんが、個人的には良い本だったなと思います。

では、感想に移ります。


内容

前半は下記の通りの内容です。

家族をなくし、過酷な暮らしをおくるシンはある日、朽葉の里に住むマボウに引き取られ、山で生活することに。マボウに憧れ、薬師になった頃、都から一人の薬師がやって来て、銀樹から作られた秘薬が欲しいと言ってくるが…。

https://www.alicekan.com/books/9306/

そして、「知識を分け合う」という性善説の考え方に基づき、都から来た薬師である捨吉に銀樹の秘薬を渡しますが、都の領主がこれを知り、銀樹を寄越せと言ってきます。渡さなければ朽葉の里が危険に曝されることになるので銀樹を渡すことにしますが、銀樹はそれ以降銀色の輝きが薄れ、秘薬の効果も薄れていきます。これに対してシンは銀樹を助けるべく奔走しますが、領主にて銀樹を細切れにされてしまいます。しかし、数名の良識ある人物によって2つの断片が残り、片方は椿の木に接木することで再生を試し、もう片方はシンが里に持ち帰り、元の場所に戻します。そして数年後、元の場所に戻された断片が銀色の輝きを取り戻す描写で締め括られます。


感想

めちゃくちゃ端折っていますが、大体上記のような内容でした。
私がこの本の中で一番好きだった箇所は、マボウに憧れて薬師になろうと決心をし、薬師見習いになるまでのいわゆる修行パートでした。
HUNTER×HUNTERで言うところの天空闘技場やグリードアイランドとかですかね。強くなっていく過程が一番好きです。笑

作者の伝えたいであろうメッセージとしては、「知識を分け合う」という性善説部分だろうと思います。それによって不幸なことが起きますが、最後にもシンはこの姿勢を呈しており、間違いないかなと。
性善説的な発想でないと息苦しい制限が蔓延ってしまうことを、社会人になってから身を以て経験しているので、難しいけれど大切な考え方だなと改めて感じましたし、「分け合う」という考え方も、分け合うことで損をしたり不幸なことが起こったりするリスクに囚われてなかなか出来ないですが、分け合わないと組織が発展しないということも実体験しているので、こちらも大切な考え方だなと感じました。


読了後の感想会

『茶色の朝』の時と同様に、妻と感想を言い合いました。
その中で妻から「銀樹は今後どうなると思うか?」という質問がありました。私は「椿の木に接木した方は場所的な要因で銀樹になれず、元の場所に戻した銀樹は元の大きさには戻らないが、元の効果を取り戻すと思う。」と答えました。これに対し妻は「自分も同意見だけど要因部分は違っていて、銀樹になれるかどうかは、その周囲にいる人達が分け合う意識を持っているかどうかがキーになっていると思う」とのことでした。

なるほど、面白い。
スピリチュアルではあるものの、本書のメインテーマに沿った考え方で的を射ている。
というか、そもそも「その後どうなったか?」と考えすらしなかったので、こうやって感想を言い合うのは大切だなと思いました。
今後も同じ本を読んだら、この時間を設けていきたいですね。


あとがき

ということで、今回も拙い文章ながら、感想を残しました。
年間20冊目標に対して2冊と順調な滑り出しで、次の本は映画しか観ていないハリー・ポッターシリーズにしようと思うので、一気に目標達成に向けて進みそうです。笑
では、また。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集