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穢れた聖地巡礼について【書評】
こんにちはtozicaです。
今日は日曜日!
この記事は、エロゲーとか作ってるクリエイターの制作日記です。
noteなので直接的なエロ表現はありませんが、えっちな話が苦手な人は気をつけてね。
穢れた聖地巡礼について を読んだ
前に作者さんの前作である「近畿地方のある場所について」を読んで、すごく面白かったんですよね。
この作品でホラー小説というものに初めて触れてみて、新しいジャンルの面白さを知ることができたし、おかげでその後しばらくは色んなホラー小説を読んだりしていました。
それで、作者さんの新作である「穢れた聖地巡礼について」が今月の初めに発売したので、これは読んでみたいなーと思いまして。
発売日に買って隙間時間でちびちび読んでたんですけど、この前やっと読み終わったので、今日はその感想を書きます。
具体的なネタバレはしないんですけど、物語の結末にちょっと言及してる部分もあるので、これから読もうと思ってる方は気を付けてね。
フリー編集者の小林が出版社に持ち込んだのは、心霊スポット突撃系YouTuberチャンイケこと、池田の『オカルトヤンキーch』のファンブック企画だった。
しかし、書籍化企画を通すには『オカルトヤンキーch』のチャンネル登録者数は心許ない。企画内容で勝負するべく、過去に動画で取り上げた心霊スポットの追加取材を行うことに。
池田と小林はネットなどで集めた情報をもとに、読者が喜びそうな考察をでっちあげていく――。
前作「近畿地方のある場所について」ではモキュメンタリーホラーの形式が採られていて、様々な形式(ネット掲示板や新聞記事など)で描かれたオムニバスホラーのように見せつつ、実はそれらには共通してとある怪異が関わっていて…という形の作品でした。
一個一個の短編もじっとりした怖さのある良い感じのホラーでありつつ、それらに通底する根源を解き明かしていくミステリー的な要素もあって、すごく面白かったですね。
一方で本作「穢れた聖地巡礼について」では、モキュメンタリーというよりもかなり小説っぽい読み心地になっていて、基本的にはメイン登場人物3人の会話劇によって物語が進行しています。
その合間に様々な登場人物たちの独白や、モキュメンタリー風のホラー短編が挟まっていたりもするので、モキュメンタリーホラーとしての楽しみ方も多少はできるんですけど、やっぱり基本的にはメイン登場人物3人の行く末を追っていくような感じ。
全部読んでみた上での感想としては、うーん、面白い作品ではあったんですけど、前作ほどの名作ではなかったかなぁというのが正直なところだった気がする。
少なくとも、わたしが期待してたような作品とは、ちょっと毛色が違ったかも。
個人的にホラー小説に期待する要素の一つに「後味の悪さ」があると思うんですよね。
後味は悪ければ悪いほど良い。
読み進めるたびに「これは何かやばいものに関わってるんじゃないか」っていう不安をどんどん煽ってきてほしいし、その最後のオチとして登場人物はみんな呪われて死んでてほしいし、なんなら読者に呪いをかけてくるタイプの作品とかもめっちゃ好き。
わたしがモキュメンタリー系のホラー小説を好んで読んでるのも、そういう部分が大きい気がしてる。
その点で本作は、オチが割と拍子抜けだったんですよね。
一応それっぽい感じの仄めかしが無いことも無いんですけど、それはどちらかというと考察要素という感じになっていて。
普通に物語を読んでるだけだと「色々あったけど万事解決!めでたしめでたし!」みたいな読み味になってるので、読み終わったあと「あれ…これで終わり…?」みたいな気持ちになる。なった。
とはいえ、途中で挿入されるホラーエピソードはどれも良い感じにじっとりした怖さがあって、そこは流石に作者さんの手腕を見せつけられた感じがありましたね。
その点では本作も普通にちゃんと良作ホラーではあったと思う。
そんなわけで、ちょっと期待外れの部分もあったものの、割と良作のホラー小説でしたね。
前作が面白すぎたんだ…。
あと、個人的には「ホラー小説を発売日を心待ちにしながら予約して買う」っていうのを人生で初めて経験できたのも良かったですね。
なんかこう、人生の実績解除を一つしたような感じもありつつ、本を入手して表紙をめくって読み始めるまでのワクワク感がとても幸せだったので、それだけでも個人的にはこの本に対する好感度はめちゃくちゃ高いかも。
これ読んでる皆さまも、もし良かったら読んでみてね。
前作もおすすめだよ。
おしまい。