超短編小説『ナンセンス劇場』051
【既知との遭遇】
男が車を走らせていると森の中から眩い光が差し込んできた。
男は車を路肩に止め好奇心にまかせて光の方へと歩いて行く。
すると目の前に今までに見たこともない光り輝く謎の物体が現れた。
男がそれを暫く観察していると突如、扉らしきものが開き中から人型の生物が3体降りてきた。
人型の生物は男の前まで来るとこう言った。
「ワレワレハ・・・地球人ダ」
「何だよ! 紛らわしいことしてんじゃねーよ!」
【Z戦士】
「お婆ちゃんの背中ってどうしてこんなに曲がってるの?」
「これは第2形態なんだよ」
「第2形態?」
「そうだよ。お婆ちゃんには第5形態まであるんだよ」
【未知なる予感】
ボディビル選手権。
男は黒光りする大胸筋に力を込める。
ライバルたちの仕上がりもいい。
100%の力を出し切らなければ勝ち上がることは難しい。
男は背中を見せ、広背筋に渾身の力を込める。
最も自信を持っている筋肉だ。
ググググ〜と筋肉が盛り上がる。
その時だった。
男は突然、力を入れるのをやめてしまった。
これ以上力を入れたら、第2形態に変形してしまう。
そんな予感が脳裏をよぎったからだ。
男は予選落ちした。
しかし自分の未知なる力を感じることができ、落ち込むことはなかった。