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超短編小説『ナンセンス劇場』042

【優しき男】

「フレーフレー み・ん・な! 頑張れ頑張れ み・ん・な!」

「あいつ、自分が底なし沼に嵌ってもうじき死ぬっていうのに俺達のこと応援してくれてるぞ」

「昔からあいつは友達思いの優しいやつだったよ」


【無邪気な悪魔】

最近、小学生の間でカンチョーのいたずらが流行っていた。

「先生、カンチョー! きゃははははは」

「コラッ、お前たち本物の浣腸を人にさすなと何回言えば分かるんだ!
うぐ、腹が…」


【ケセラセラ】

今日仕事で失敗してしまった。
明日、上司と一緒にお客様のところへ謝りにいかなければならない。
いつも失敗ばかりしている。
こんな私が生きている意味なんてあるのだろうか?
そんなことを考えていると、たまたまつけていたテレビに一人の力士が
豪快に上手投げを決めるシーンが映し出されたのです。
それはとても美しく力強く…
不意に私の胸の中で一つの思いが芽生えました。

この力士の下手捻りも見てみたい。

それはともかく、明日のことを考えると非常に憂鬱です。


【それは掟破り】

「誰も本当の自分の顔を自分の目で見ることはできないんだぜ。
 鏡だって写真だって本当の自分の顔じゃないからな」

「そんなことねーよ」 


 “ベリベリベリベリ”


「ほら、これがお前の顔だ」

「な、なんてことを…」




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