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おもしろい文章

 おもしろい文章が書きたい。読んでいてワクワクする,読者に時間を忘れさせるような文章。

 「小説が書きたい」と思ったことはほとんどない(人生の中で2,3回はあるが,その時思いついた天才的な構想はきれいさっぱり忘れてしまった。残念。)から,書くとしたらエッセイや論説文か。

 書類の整理をしていると,学生時代尊敬していた現代文の教師が,朝の10分読書(母校のカリキュラム)用に毎朝配っていたプリントの束を見つけた。
 授業のある日は毎朝配られるわけだから、一年間の総数は優に200を超える。しかもほとんどの文章は,1冊の書籍から学生が10分間で読める分量を抜粋したものだった。

 学生に読ませたい文章がこれだけあること自体も驚愕だが,さらに驚くべきことに,200以上の文章すべてがおもしろいのだ。当時の私は毎朝このプリントが配られることを心待ちにしていたし,十年以上たった今読み返してみてもかなり面白い。
 
 読んでいて,あることに気が付いた。これらの文章の著者たちは皆何かの専門家であり,書きたくて仕方がないことを書いているということ。内容は小説・エッセイから難解な学術書まで多岐に及んだが,それらのすべてが純粋な文筆家ではなく専門を別に持つ作家の書いた文章であった。

 (なぜ当時の現代文教師がこれだけマニアックな内容の書籍に精通していたのかはいまだに不明だ。気になるところだが今回は置いておく。)

 つまり少なくとも私と当時の現代文教師は「専門家の書いた文章」を面白いと感じていた,ということになるだろう。

 私は文章を書くことを唯一の生業とする予定はない。その能力が無いことも自覚している。しかしどうだろう,今後順調にいけば何年か後に手に入れられるかもしれない「専門家」の肩書きが内実を伴っていれば,学生時代の自分を毎朝ワクワクさせてくれたような文章を書けるようになるのではないか。

 専門性を手に入れたとき,文章を書くことに対する情熱を失っていませんように。

(この文章は,専門家になるための過程からの一時的な逃避のうちに書いたものです。上記のような夢物語を,果たして私は達成できるのでしょうか。自信は全くありません。)

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