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社会革命( social revolution)とは何か?
ドラッカーのマネジメントを拝読すると、『読みにくさ』を感じます。
言葉が難しく、周りくどく、同じ言葉が延々と発出します。
まるで禅問答のように、「マネジメントとは何か?」を繰り返します。
ダイヤモンド社の「エッセンシャル版」でもそうであるから
原著はどのようなものか想像もつきません。
果たして、ドラッカーを真に理解できているのか?
残念ながらそれを確かめる手段は持ち合わせていません。
以上の課題において、マネジメントをドラッカーの真意にちがづけるためには、「様々な視点でドラッカーを理解する」方法が有効だと私は考えています。
安富歩氏は、ドラッカーと論語を対比させることにより、その真意に迫ります。
本ブログでは、『ドラッカーと論語/安富歩(著)』より引用し、
社会革命について考えを深め、行動宣言していきます。
#マークス・アンド・スペンサー社
ドラッカーはお客様を大切にせよ、とか、顧客目線で経営をすべきなどとは一言も言っていない。
むしろ、真逆とも言えるようなことを述べている。
それは、イギリスの小売業マークス・アンド・スペンサー(以下、 MS社)を例にするとわかりやすい。
ロシア帝国からの難民だったマイケル・マークスと、イギリス人のトム・スペンサーによって一八三四年に立ち上げられた MS社は当初、「ワンペニーバザール」と呼ばれた、一ペニーで購入できる商品を揃えたバラエティストアのチェーン展開で成功をおさめていた。
これは「百円ショップ」のようなものかと想像する。
だが、しばらくしてこの「ワンペニーバザール」が模倣され、徐々に苦境に立たされていく。
そこで、創業者の後を継いだサイモン・マークスら新経営陣が打ち出したのが独自の商品開発だ。
現代で言うところの、プライベート・ブランド路線である。
ブルーカラーにも手の届く低価格で、中層・下層階級に良質な衣料を提供するようになったことで、 MS社は「ワンペニーバサール」の小売業から大きく成長した。
ドラッカーは、これを「イノベーション」の成功例として『マネジメント』のなかでも紹介している。
このようなエピソードを聞くと、 MS社は「中層下層階級の衣料品」に着目し、そのマーケットを開拓したことで、「顧客の創造」を行ったなどと思われがちだが、実際はまったく逆の動きである。
MS社の経営者は一九二四年に、自分たちの事業が小売業ではなく、社会革命( social revolution)だという驚くべき決定を下したのである。
この事例は、顧客目線ではなく社会革命としての人を巻き込むための力学が描かれています。
こんな社会革命ができるという決定と自信を、企業は培っていく必要があります。
#ワクワクするようなオソロシイ陰謀
ドラッカーは言う。マークス・アンド・スペンサー社は、自らの事業を次のように再定義した。すなわち、労働者階級や下層中間階級に、上流階級向けの財を、上流階級向けのものよりも高品質で、かつ労働者階級や下層中間階級が購入しうる価格で提供し、それによって一九世紀イングランドの階級構造を転覆せしめること。( Management, p. 96) 「階級構造の転覆」の如きワクワクするような「オソロシイ陰謀」は、「お客様目線」では決して出てこない。 今ではなかなか考えられないかもしれないが、二〇世紀初頭まで衣料によって、人はランクづけされていた。ブルーカラーにはブルーカラーの衣料、上流階級には上流階級のファッションという風に明確な線引きがなされていた。 このような状況のなかで、サイモン・マークスら MS社のマネージャーたちは、「ワンペニーバザール」などをしてきた小売業者として、「自分たちは何をすべきか」ということと向き合った。フィードバックを繰り返し、学習を重ね、ぼんやりと見えてきたのが、 MS社がすべき「社会革命」である。
上記の引用から、今社会に漂う鬱憤のようなものに注目しました。
人々が抱えている不安、なんとなく未来が靄に包まれている感覚
人々の鬱々として気持ちに、社会変革が隠れているような気になってなりません。
あるいは、社会変革とは人知れずワクワクできるような陰謀であり、
子どもみたいな、企(たくら)みであることも本書を読み学びました。
#企業の目的とは何か ?
現実にはマークス・アンド・スペンサーだけではなく、成功をおさめている企業というものはたいてい、「企業の目的」を自覚している。
「利」を目的として走り出した組織は、どんなに大きな成長をおさめようが、必ず破綻が訪れる。
そこで働く人々が何をすべきかが見えないので、遅かれ早かれ、「利益」をつくり出すことだけに邁進し始める。
そうなるとやり始めることは、搾取か、あるいは粉飾である。
たしかに、何らかの権力と直接結びついた企業であれば、この搾取と粉飾とを繰り返すことで、長期にわたって延命することも可能である。
さもなくば、こういう企業が生き延びることは不可能に近い。
裏を返せば、この「目的」と「結果」さえはき違えなければ、組織のマネジメントは可能だ。
たくさんのビジネス書でも、「目的」の重要性について描かれています。
むしろ、目的について書かれていないビジネス書を探す方が難しいほどです。
これだけ重要性が叫ばれていても、なぜ搾取や粉飾が絶えないのか?
資本主義は完璧でないことを前提におき、
企業の目的についてもう一度考えるきっかけとなりました。
#行動宣言
1、我々の事業のミッションである「日常を見守る」を念頭に置き、社会変革について考えを深める。
事業を俯瞰し、推敲する時間が大切だと感じました。
昔から読んでいるドラッカーも、他の方の意見や考えを受け入れる余白が重要だと感じました。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
これからも学びを共有していきます。
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