魂(たま)散歩14歩目。平凡であることを傍観し続けた軍人の物語。
来ていただきありがとうございます
こんにちは。とよみです。
今回は「S様」の過去世となっております。
それでは、ゆるゆると魂のお散歩にお付き合いくださいね。
●S様に現在一番影響を与えている過去世について
400~500年くらい前の中国です。
辮髪(べんぱつ)と呼ばれる、昔の中国の成人男性の髪型が視えるので、男性のようですね。
お仕事を尋ねると、軍人さんだったようです。
ただ、新しい王様が国を作ったばかりのようで、大きな戦争などもこれからは無いだろう、と言われているため、とても平和な世の中になっていっている、と話されています。
S様の過去世の男性を、便宜上「軍人」さんとお呼びすることにいたしましょう。
軍人さんは、お茶の産地で有名な温かい地域で生まれ(黒龍江省とか福建省とかでしょうか…)そこで小さい頃から畑仕事を手伝いながら、体を鍛えて、13歳の頃に、出世を夢見て軍隊に志願した、と話されています。
山の急斜面にある畑を駆け回りながら過ごしていたので、体力には自信があり、軍隊に入るための試験も好成績で合格できるであろうと息巻いて参加したそうですが、結果としては入隊試験自体に合格はしたものの、可もなく不可もなく…というか、特に目立つような成績ではなかった、と残念そうに話されています。
しかし、先に入っていた先輩たちからは、地方の軍隊スタートで、始めはそこまで目立たない成績であっても、そこから体を鍛えたり、勉学に励んでいくことで出世していった人もいる、という話を聞き、気持ちを持ち直したそうです。
軍人さんははじめの内は「出世する人は勉学に励んだ人が多い」と聞いていたので、文字の読み書きや書道などに力を入れようと思っていたそうですが、元々体を動かすことの方が好きなため、勉学で頑張ることは早々に諦めてしまったそうです。
ただ、軍隊の中では身体面に置いて突出したものを持っていたわけではなかったので、時を追うごとに自分が周囲に埋もれていっている…そんな気持ちになっていったそうです。
どうにか現状を打開して、周囲から一目置かれるような存在になりたいと思いながらも、なかなかその糸口が見つけられず、気付けば18歳になり、訓練生ではなくちょっとした一人前の兵士だと見られるようになっていた、と話されています。
一人前の兵士になれはしたものの、そこから大きく飛躍したり頭角を現すようなこともなかったため、何となく無難に日々の業務や訓練をこなし、1日無事に終える頃に、友人たちと食事やお酒を飲みながら「なぜ自分たちは一目置かれることが出来ないのか」というような話しや、日々の愚痴を言い合う…ということをされていたそうです。
しかし、軍人さんが18歳の冬に中国にあった、大きな一つの国が滅びます。
その国境の警備と治安の維持にあたるための特別部隊の一員に、軍人さんも抜擢されます。
その時のことは、とても嬉しくて人生であんなに興奮したことはなかった、と話されています。
そこから、3~4ヶ月かけて国境まで移動し、その間に特別部隊の人数は6割ほどまで減っていたそうです。
(兵士が亡くなったり、怪我や病気で動けなくなったというよりは、行軍のキツさや当ての無さが耐えきれなくなって逃げた方が多かったそうです)
その時に、初めて出会う民族や集落の人々との交流や、文化・言語の違いに驚き、楽しく心温まる思い出もあれば、思い出すだけで胸が痛むような出来事などもあった、と話されています。
国境に着いた頃には、軍人さんと親しかった友人たちは居なくなっており、代わりに歩いている時に何となく話したりした「普段ならば接点がなかったようなメンバー」と良く言葉を交わすようになっていったそうです。
そのメンバーと話をしていると、今までの自分の視点が小さく狭かったことや、小さなことを積み重ねる大切さと難しさなど、自身ではわからなかったことにたくさん気付かされていった…と話されています。
(そして、そのメンバーと話をしていたから、国境まで逃げ出さずに歩いていくことが出来た、ともおっしゃっています)
国境の周辺には、それぞれ違う異民族の集落がいくつかあり、そこも含めて争いやトラブルが起きないように警備したり、時々それぞれの集落から生活必需品や食料などを物々交換だったり、交渉でもらうこともあったそうです。
軍人さんは、自分自身の何が優れているのかわからなかったため、国境警備で仲良くなったメンバーの見様見真似で、異民族の方を含めて周囲の方々と交流することを出来るだけ積極的に行っていったそうです。
(殆どが話を聞いているだけでしたが、上手に相槌を打つだけで話を弾ませることが出来るとわかってからは、大分楽になったと話しています)
そして、そこで聞いた面白かったお話や古い言い伝え、童話のような寝物語など様々な話を聞いて、その記録を個人的に付けていたそうです。
何に役に立つのかわからないけれど、その話の一つ一つを思い出すだけで、ちょっとだけ聞いた時の気持ちを思い出せるので、その時だけは普段感じているような「無力感」のようなものから開放されるような気持ちになれたそうです。
一緒に警備をしているメンバーの中には、それをちょっと小馬鹿にするような方もおりましたが、大体のメンバーが「ちゃんとまとめたら、弟や妹、子どもに聞かせてあげたい」と好意的に評価してくれた、と話されています。
そのため、軍人さんとしては、国境警備を終えて地元に戻ったら、それらをまとめたり、大道芸のように、口頭で伝え歩くようなことをしてみても良いのかな?などの将来の夢というか妄想をすることも増えていった、とおっしゃっています。
…少し時を進めてみましょう。
そんな風に少しずつ、国境警備のお仕事が楽しくなってきて、15~16年目頃だったと話されています。
その年は冷夏で作物があまり取れず、食糧事情的に割と厳しい年だったそうです。
足りない分の食料を補うため、軍隊と近くの集落のメンバーでグループを作り、何度か近くの草原や山へ狩りに出かけていたそうです。
そして、その日も同じように10名ほどのグループに分かれて、皆で食料確保のための狩りを行っていたのですが…先に仕留めた獲物の香りにつられてなのか…割と大きめのクマと遭遇したそうです。
始めは皆驚いたそうですが、クマを仕留めることが出来れば、毛皮をはじめとして、とても助かる、と集落の方が教えてくれたので、3日ほどかけて少しずつ弱らせながら仕留めたそうです。
その帰り道は、大物を初めて仕留めたことや、皆で一丸となって取り組んだ狩りの楽しさを本気で感じられたことなどがあり、とても気持ちが高揚した状態で帰路についていた、と話されています。
しかし、その帰り道で少し大きめの地震があり、偶々避難した場所が悪く…落ちてきた岩に頭部を中心に潰されてしまったため、森の中で亡くなられています。
…というのが、S様に現在一番影響を与えている過去世となっておりました。
夢を見つけたと思えたばかりの頃に、突発的な事故で亡くなられている方ですね。
視ている最中はとても穏やかな映像が流れている…という感じの過去世でした。
ただ、視ている最中だったり、人生の振り返りで他愛のない話などをしていた時は、とても親近感の持てる「ごく普通の男性」でした。
「みんな特別でありたいもんな」と自嘲気味に笑いながらも、亡くなる前後で色々なことを考えた…と話されていたのと、そこから出した彼なりの結論のようなものがとても印象的でした。
軍人というお仕事中でも、繊細な視点や心を持っていたから中々周囲をおざなりに出来なかった…という部分もあったのかもしれないですね。
今回も最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。
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