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魂(たま)散歩9.5歩目。お姫様の人生の振り返り。

●お姫さんの人生の振り返りについて


「私は旦那様を嫌っていたわけではありません。確かに、男性としての魅力は徐々に感じなくなりましたし、熱愛している、相思相愛である、というような情熱的な間柄ではなくなりました。ですが、旦那様のことを常に想ってはいました」

「旦那様の立場、その位置にいるからこその役目、というのを守ろうと思えば思うほど、私は旦那様の女性でいることが出来なくなっていきました。なので、側室を提案し、私が旦那様の代わりに城主としての役割を持ち、男性とならねばならかったのです」

「一番最初の側室を旦那様が『要らない』と言ってくだされば、それ以上は私も無理強いをするつもりはありませんでした。私だけで良いと。ですが、旦那様は『わかった』と二つ返事で側室を受け入れ、1人目が亡くなった後、そう日を置かずして『次の側室はいつ来るのか?』と私へたずねてきました。その時、私は旦那様の側で女でいる必要がなくなったことがハッキリとわかってしまったのです」

「元々自分自身の『女性的な部分』に自信を持っていたわけではありません。でも、姉妹で一番の器量良しだと言われて、そして才女と言われて来た分、旦那様のその態度はとても傷つき、悲しく、私の家族ごと私自身を否定された気持ちでいっぱいでした」

「それなら、私は旦那様に『私という存在そのものを認めさせてやる』と思うようになったのです。そこからは、私の人生でお伝えした通りの状況です。私が頑張れば頑張るほど、旦那様は私を遠ざけ、そして私の女性的な部分を否定するように、側室を増やし、自室にこもるようになっていったのです」

「本当にそれが情けなく、苦痛で仕方がなかったです。けれど、領民は旦那様ではなく、私のことを頼りにし、家族からの信頼も厚く、旦那様以外の人々の存在に私はずっと支えられていました。なので、私は、その支えてくれる人達に意識を向け続けるよう、必死だったのです」

「悲しいことですが、旦那様が私を女性として求め続けていてくれれば…と思うことも何度もありました。でも、それが、領民よりも優先すべきことか、と言われると、『否』と即答出来る…私はそういう責任を持つ必要があったのです」

…ということでした。
その後、ザルいっぱいの麦なのか稲穂なのか…農作物を抱えて、大きなカゴを背負い、優しい声で歌を歌いながら、光の中へと戻っていかれました。

旦那様の妻であり、女性として在りたかったけれど、領民やそれを支える沢山の人達のことを考えると、そういうわけにも行かなかった…

これも一つの「ノブレス・オブリージュ」の形だとは思いますが…

彼女は、元々決断力や行動力に優れ、頭も良かったので、状況を客観的に判断し、対応していく強さもあったのでしょう。

そして、自身もそれがわかっていたから、「弱い」旦那様を奮い立たせるのではなく、ぬるま湯に浸けた状態で体面を保ち、自分自身で動くことを選んだ…仕方がなかったとは言え、苦しい決断だったかと思います。

女性らしさ、男性らしさ、それに伴う役割……

それらは一体、どういう形であれば理想的な状態でいられるんだろうか。

そんなことを考えてしまう過去世でした。

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

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