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本と大学と図書館と-26- SNSでの文章力 (Fmics Big Egg 2020年12月号)
友人・知人・同僚・仲間・家族との繋がり,連絡,情報交換をするためのSNS(social networking service)は,現代人の必須アイテムでしょう。文章,画像,動画を扱えるので,初期のウェブページと同等の表現力,それを超える影響力があります。スマホが一台あれば,誰でも簡単に使いこなせます。更に,SNSは,日常的な出来事や自らの考えを世界に向けて発信することで,「友人の友人」やグループの関係性を通じて,新たな人間関係を構築・促進するツールとしての優れた機能も備えています。
今の若者に人気なのは,動画共有のTikTok(ティックトック)やYouTube(ユーチューブ),写真共有のInstagram(インスタグラム)です。日記風ウェブサイトのBlog(ブログ)や,SNSでの交流の先駆けとなったFacebook(フェイスブック)は,文字の分量が多いです。140字以内で投稿するマイクロブログ的なTwitter(ツイッター)は,従来のブログより気軽に投稿できる点が,手軽で人気です。最近は,政治家や企業も活用しています。メッセージ交換のLINE(ライン)は,テキストだけではなく,写真や映像も扱え,通話もできてしまいます。
図書館員としての司書資格は,教職,学芸員,社会教育主事と共に,多くの大学で開講されているのでFMICSの皆さんもよくご存知かと思います。課程科目に「図書館情報技術論」があり,この科目を担当していた関係で,新しく登場したSNSにはすべて登録して,一定期間投稿していた時期がありました。今でも定期的に更新しているのはウェブページだけになってしまいました。自分の性格や目的に合ったツールだけが残るのでしょう。
今回は,インターネット時代の文章術の本を紹介します。久米さんは,公的な「知恵の図書館」とブログを表現しています。毎日の花鳥風月から題材を見つけて思いを伝える「一億総ブロガー時代」も落ち着いています。
久米信行『ブログ道』(NTT出版 2005)
伝達や発信に際しては,土台としての文章力,基礎知識としての社会人マナーや読む力などのリテラシー,利便性と危険性のバランス感覚も必要です。岡本さんは,<伝わる>ための4つのポイントをまとめています。1)主節部分を前に従属部分は後に,2)意志や要件の明示,3)過剰な敬語は使わない,4)キーワードを意識して書く。
岡本真『ウェブでの<伝わる>文章の書き方』(講談社現代新書 2012)
インターネットを通した対面でないコミュニケーションが増えました。大学における初年次教育や教養教育での「読んで,話して,書く」ことの訓練の必要性を,改めて実感しています。