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【知らないとやばい】閉経後の食事指導

このnoteを読まれている方は女性や女性に食事を指導される方々ではないのかと思います。

今回は女性に食事指導する上で大切な「閉経後の食事指導」について、分かりやすく解説していきます。

①閉経後の変化

閉経とは

そもそも閉経の定義とは何なのでしょうか?
閉経とは「最終月経から12ヶ月以上無月経」である状態のことです。
つまり、月経周期が終わったことを意味します。

閉経は女性であればいつかは訪れるものです。
そのため、女性に食事指導をする人はもちろんのこと、女性の方も閉経後の体の変化について知る必要があります。

閉経後のカラダの変化

閉経後はホルモンに大きな変化が起こります。
それは”エストロゲン(女性ホルモン)の減少”になります。

出典:https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/health/symptom/30_kounenki/

こちらがエストロゲンの年齢推移になります。
閉経を迎える平均年齢は約50歳と言われており、このグラフを見ても50歳以降にエストロゲンが減少していることがわかります。

ちなみに更年期とは閉経の前後5年のことです。

ではこのエストロゲンが減少するとどのような変化が起こるのでしょうか?

②エストロゲンが減少すると

エストロゲンの主な作用

・生殖機能の発達や維持
・肌の張りを保つ
・骨を強くする
・血管壁をゆるめる
・コレステロールを減らす
・認知機能の維持
・代謝を高める
・食欲の抑制(レプチン活性を高める)

閉経後のカラダの変化

閉経後はエストロゲンが大きく減少することから、エストロゲン作用が弱くなることを意味します。

特に栄養指導においては代謝の低下、食欲の増進などが関係性が深いのではないでしょうか?

実際に厚生労働省が発表しているデータによると、女性は閉経を迎える年齢から基礎代謝が減少することが分かります。

30〜49歳 1.150kcal
50〜69歳 1.100kcal
70歳〜   1.020kcal

そんなに大きな変化ではないと感じるかもしれませんが、これが365日積み重なると大きな違いになります。

代謝の低下で太りやすくなる以外にも、閉経後よく見られる症状としては下記の通りになります。

・骨粗鬆症
・心疾患系疾患
・認知症
・うつや不安
・自律神経の乱れ

これらの症状が起きることも頭に入れておく必要があります。

③閉経後における指導上の注意点

内臓脂肪型になる

閉経前はエストロゲンが豊富にあるため、脂肪の蓄積が皮下脂肪先行になります。逆に閉経後になると、内臓脂肪先行型になることが分かっています。(※1)
また、(※1)のメタアナリシスによると閉経後は総体脂肪率は低下していることに注目する必要があります。

話は少し脱線しますが、女性のボディビルを見ていると、年齢を重ねている選手の方が絞れているように見えます。これは閉経を迎えた競技者などで食事を制限する人は内臓脂肪の増加もなく、皮下脂肪がより落ちやすくなったことによってさらに一つ上の絞りができるようになったということでしょう。

内臓脂肪は皮下脂肪に比べて様々な疾患につながりリスクが高いです。
そのため、閉経後は血液検査などで疾患の早期発見や予防を心がける必要があります。

そのため、カロリーの摂取量を閉経前よりは減らすことが無難になります。(※2)(※3)しかし、過度なカロリー制限は骨密度の低下につながるので注意が必要になります。

また、ホルモン療法などもありますので、こちらに関してはお医者さんと相談すると良いでしょう。

骨密度の低下

閉経を迎えると骨密度が低下することによって、骨折のリスクが増加します。特に高齢になってからの骨折はQOLを急激に下げてしまうことに繋がります。そのため、骨密度に視野に入れて食事指導を行う必要があります。

このnoteを読んでいる方は骨密度低下を防ぐにはマグネシウムやカルシウム、ビタミンD、タンパク質などをしっかり摂取するのは承知のことだと思います。
実際にメタアナリシスでもビタミンDとカルシウムを追加摂取することによって、骨密度を大幅に改善したことが報告されています。(※4)

これらの栄養素に追加するとするならば、レスベラトロールが良いかもしれません。レスベラトロールを1日150mg摂取したグループは腰椎と大腿骨頸部の骨量減少を遅らせることができたようです。(※5)
しかし、ビタミンDやカルシウムほどは効果が見られなかったとあるため、基礎的な栄養素をしっかり摂取した上で追加すると良いかもしれません。

また骨密度の低下を防ぐには運動も効果的です。
特に水中運動が効果的なようで(※6)、関節にも負担が過度にかからないことから、スイミングを始めるのも良いかもしれません。
フィットネスクラブのプール利用者の平均年齢が異様に高いのはこれが理由かもしれません、、、。

参考文献
(※1)Ambikairajah A, Walsh E, Tabatabaei-Jafari H, Cherbuin N. Fat mass changes during menopause: a metaanalysis. Am J Obstet Gynecol. 2019 Nov;221(5):393-409.e50. doi: 10.1016/j.ajog.2019.04.023. Epub 2019 Apr 26. PMID: 31034807.
(※2)Seimon RV, Wild-Taylor AL, Keating SE, McClintock S, Harper C, Gibson AA, Johnson NA, Fernando HA, Markovic TP, Center JR, Franklin J, Liu PY, Grieve SM, Lagopoulos J, Caterson ID, Byrne NM, Sainsbury A. Effect of Weight Loss via Severe vs Moderate Energy Restriction on Lean Mass and Body Composition Among Postmenopausal Women With Obesity: The TEMPO Diet Randomized Clinical Trial. JAMA Netw Open. 2019 Oct 2;2(10):e1913733. doi: 10.1001/jamanetworkopen.2019.13733. PMID: 31664441; PMCID: PMC6824325.
(※3)van Gemert WA, Peeters PH, May AM, Doornbos AJH, Elias SG, van der Palen J, Veldhuis W, Stapper M, Schuit JA, Monninkhof EM. Effect of diet with or without exercise on abdominal fat in postmenopausal women - a randomised trial. BMC Public Health. 2019 Feb 11;19(1):174. doi: 10.1186/s12889-019-6510-1. PMID: 30744621; PMCID: PMC6371569.
(※4)Liu C , Kuang X , Li K , Guo X , Deng Q , Li D . Effects of combined calcium and vitamin D supplementation on osteoporosis in postmenopausal women: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. Food Funct. 2020 Dec 1;11(12):10817-10827. doi: 10.1039/d0fo00787k. Epub 2020 Nov 25. PMID: 33237064.
(※5)Wong RH, Thaung Zaw JJ, Xian CJ, Howe PR. Regular Supplementation With Resveratrol Improves Bone Mineral Density in Postmenopausal Women: A Randomized, Placebo-Controlled Trial. J Bone Miner Res. 2020 Nov;35(11):2121-2131. doi: 10.1002/jbmr.4115. Epub 2020 Jul 14. PMID: 32564438; PMCID: PMC7689937.
(※6)Aboarrage Junior AM, Teixeira CVS, Dos Santos RN, Machado AF, Evangelista AL, Rica RL, Alonso AC, Barroso JA, Serra AJ, Baker JS, Bocalini DS. A High-Intensity Jump-Based Aquatic Exercise Program Improves Bone Mineral Density and Functional Fitness in Postmenopausal Women. Rejuvenation Res. 2018 Dec;21(6):535-540. doi: 10.1089/rej.2018.2069. Epub 2018 Nov 28. PMID: 29886815.

僕に学ばせてください。