ビオチンについて語る
栄養学と生化学が大好きな豊田浩史です。
普段はパーソナルトレーナーやサプリメント開発に携わっています。
今回は「ビオチン」について少し解説していきます。
筆者は最近このビオチンの恩恵は強く感じています。
ビオチンは皮膚炎症予防因子として発見され、ニキビの治療などにも用いられいて、2mg摂取し始めてからニキビが大きく減っていることを感じています。
食品中のビオチンはアミノ酸のリジンと結合した形で存在します。
摂取すると、タンパク質の分解を受けて、ビオシチンやビオチニルペプチドとなります。
次にビオチニダーゼによって加水分解されて、ビオチンが遊離して吸収されます。
ちなみに卵白に含まれる「アビジン」は消化管内でビオチンと特異的に結合するため、ビオチンの吸収を阻害します。
ビオチンは、カルボキシラーぜの補酵素として炭酸固定や炭酸転移反応に直接関与しています。
ビオチン酵素は、ピルビン酸カルボキシラーゼ(PC)、β-メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼ(MMC)、プロビオニルCoAカルボキシラーゼ(PPC)、アセチルCoAカルボキラーゼ(ACC)があります。
PCは、ピルビン酸をオキサロ酢酸に変換する時に働きます。
MMCは、ロイシンをアセトアセチルCoAに代謝する時に働きます。
PPCは、プロビオニルCoAをスクシニルCoAに代謝する時に働きます。
AACは、アセチルCoAをマロニルCoAに代謝する時に働きます。
つまり、代謝において多くの反応にビオチンは補酵素として活躍するのです。
体内のビオチン含量が低下すると、発赤や疲労感、筋肉痛、知覚異常、嘔吐、ヘモグロビン減少、コレステロール増加などの症状が現れます。
また、ブリミドンやカルパマなどの抗こうれん剤を長期投与すると体内のビオチン濃度が低下します。
ビオチンにはAMPK活性化の効果もあることが報告されています。(※1)
さらに(※1)の論文ではSREBP-1cも減少させることが報告されています。
SREBP-1cは、肝臓において脂肪酸やトリグリセリドの合成を支配する転写因子であるため、簡潔にいうとSREBP-1cが増加すると肥えます。
また、SREBP-1cが過剰発現するとインスリン抵抗性や血中トリグリセリド、レムナントリポタンパクの上昇、HDLコレステロールの低下、脂肪肝など引き起こすことが分かっています。(※2)
上記のような効果を体感するには2mg程は必要でしょう。
<参考文献>
(※1)Aguilera-Méndez A, Fernández-Mejía C. The hypotriglyceridemic effect of biotin supplementation involves increased levels of cGMP and AMPK activation. Biofactors. 2012 Sep-Oct;38(5):387-94. doi: 10.1002/biof.1034. Epub 2012 Jul 17. PMID: 22806917.
(※2)日本糖尿病学会 「SREBP-1cとインスリン作用、メタボリックシンドローム」島野 仁 (2006)
僕に学ばせてください。