【小説】灰色の海に揺蕩う③
休み明けの月曜日、ということを差し引いても教室のざわめきは普段のそれより大きかった。早朝の海辺に響く海鳥たちのさえずり。あれに良く似ている。
興奮と好奇心と期待が入り交じった囁き声。
「転校生」
「見た?」
「女」
「今、職員室」
「東京から」
「なんで?」
「きょうだい、いる?」
「どこに住んでるの?」
「可愛い? 可愛くない?」
勿論、それらの囁きは澄華の耳にも届いてはいた。内容も理解出来ていたが、感想を抱く気にはなれなかった。ハッキリ言ってどうでも良かった。
胸