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【小説】灰色の海に揺蕩う 完結

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北海道の田舎町。 恋愛関係で問題を引き起こす母親と二人暮らしの澄華は、それぞれ家庭に問題を抱える幼なじみの二人と一緒に灰色の中学校生活を送っていた。 スクールカースト。不穏な噂。…
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#青春

【小説】灰色の海に揺蕩う⑨

 怒鳴り過ぎて、泣き過ぎて頭が痛い。  目覚めは最悪の気分で、乾いた涙が固まって瞼が開か…

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【小説】灰色の海に揺蕩う⑧

「――何がどうなってんの?」  玲の問いかけに、澄華は目を逸らして答えた。 「カッとなって…

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【小説】灰色の海に揺蕩う⑦

 ボロボロの机の前で呆然としてから、澄華は職員室に駆け込んだ。  まだ教師の大半が出席し…

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【小説】灰色の海に揺蕩う⑥

「――玲ちゃん、土日泊まらせてくれない?」  顔を出した玲の部屋では、亮が泣き言を口にし…

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【小説】灰色の海に揺蕩う⑤

 タカサキやクラミチが率いるキラキラ女子たちへのあざみの対応は見事だった。  甘ったるい…

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【小説】灰色の海に揺蕩う④

 転校生・セキグチアザミへの風向きが変わったのは、転入の次の日だった。  スマートフォン…

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【小説】灰色の海に揺蕩う③

 休み明けの月曜日、ということを差し引いても教室のざわめきは普段のそれより大きかった。早朝の海辺に響く海鳥たちのさえずり。あれに良く似ている。  興奮と好奇心と期待が入り交じった囁き声。 「転校生」 「見た?」 「女」 「今、職員室」 「東京から」 「なんで?」 「きょうだい、いる?」 「どこに住んでるの?」 「可愛い? 可愛くない?」  勿論、それらの囁きは澄華の耳にも届いてはいた。内容も理解出来ていたが、感想を抱く気にはなれなかった。ハッキリ言ってどうでも良かった。  胸

【小説】灰色の海に揺蕩う②

 太陽が昇りきって間もない、ひんやりとした空気の中に、爽やかな潮の匂いがする。風の影響だ…

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【小説】灰色の海に揺蕩う①

 教室は海に似ている。  青いのに透明な水だとか、白い砂浜だとか、ああいう陽気な南の海で…

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